悪い姿勢が全身の不調を招く? 「肩甲骨はがし」で寝たきりを予防
健康のためにウオーキングを習慣にして、足腰を鍛えている人が多い中、肩甲骨が固まると歩幅が狭くなり、つまずきや寝たきりのリスクが高まる。実は肩甲骨こそ要。背中に張りついた肩甲骨を心地よく「はがし」て、動ける体を取り戻そう。
教えてくれた人
遠藤健司さん/東京医科大学整形外科学分野教授。著書に『完全版 自律神経が整う 肩甲骨はがし』(幻冬舎)がある。
長時間の座りっぱなしやスマホ使用で肩甲骨が固まる
肩甲骨まわりの筋肉は、「長時間座りっぱなしの生活やスマホ利用による前傾姿勢によって固まる」と指摘するのは、東京医科大学教授の遠藤健司さんだ。
「スマホの長時間使用やストレスなどで背中が丸くなると肩甲骨の動きが悪くなり、僧帽筋(そうぼうきん)が固まり首の筋肉が緊張します。そうなると血行不良や自律神経の乱れが起こり、全身のバランスが崩れて心身の不調が表れます。
また、首は、体重の約10%もの重さがあるといわれる頭を支えており、30度傾くだけでも首の付け根には頭の重みの3倍分もの負荷がかかります。悪い姿勢が続くと首に負担がかかり、やがて全身に不調が表れはじめ、最悪の場合は動くのが億劫になることから、寝たきりにつながる可能性があります」
寝たきりリスクを改善するためにも、すぐに肩甲骨まわりのこりを解消する必要がある。
「それには『肩甲骨はがし(肩甲骨周囲ストレッチ)』がおすすめです。固まった肩甲骨まわりの筋肉をはがすように動かしストレッチをすることで、こりがほぐれ、自律神経も整います。姿勢もよくなり、長く歩いても疲れにくくなる。1回1分程度なのですが、それだけでも体がポカポカするのがわかります。3日も続ければ、効果を実感できます」(遠藤さん)
まずは、チェック法で、あなたの肩甲骨の固まり具合を確認しよう。
肩甲骨の状態を簡単チェック
<やり方>
壁に頭、背中、お尻、かかとをつけてまっすぐ立つ。両腕は体側に沿って下ろす。片腕を真横に伸ばし、手の甲を上に向け、ゆっくり壁沿いに上げていく。痛みや違和感があったらそこで止めよう。
<やわらかい>60度超え
肩甲骨まわりの柔軟性は問題なし。多少の肩こりがあっても日常生活に支障がないレベル。この状態をキープするためにも肩甲骨はがし体操を取り入れて。
<やや硬い>45〜60度
肩甲骨の動きが悪くなっており、猫背や慢性的な肩こり、疲労が抜けにくい状態に。放置するとどんどん硬くなるので、肩甲骨はがし体操で予防して。
<とても硬い>45度未満
肩甲骨まわりの筋肉が固まり、肩こりや頭痛、目の疲れなど体の不調が重症化している可能性が。毎日1回は、必ず肩甲骨はがし体操を行い、習慣化を目指そう。
深呼吸を意識すると筋肉が緩みやすい
「肩甲骨まわりの筋肉は、ゆっくり動かすのがポイント」と、遠藤さんは続ける。
「姿勢を維持する肩甲骨まわりの筋肉は、急いで動かしても緩められません。1つの動作を5秒くらいかけてゆっくり行うことで効果が得られます。ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら行うといいですよ」(遠藤さん・以下同)
体操はいつ行っても問題ないが、続けやすいのは起床時と寝る前だ。
「朝行うことで交感神経のスイッチが入り、気持ちが前向きになって行動的になります。寝る前は胸が開くことで副交感神経が優位になり、入眠もスムーズに」
早く結果を出したいからと、1日に何度も行うのは逆効果だという。
「やりすぎはかえって自律神経を乱し、めまいを引き起こすこともあります。正しく行えば1日2〜3回で充分効果が期待できます」
朝と夜に続けたい!「肩甲骨はがし体操」
「肩甲骨はがし体操」を毎日続けることで、日々の不調が和らいでいくという。次の4つの体操を1回1分程度からはじめて、続けていこう。
【1】肩の力を抜いた状態で、ひじを曲げて脇を締める。手指は軽く握って肩につける。【1】〜【4】の動きに合わせて大きく深呼吸をする。
【2】5秒かけてゆっくり両ひじを動かし、限界まで上げ、V字になるよう意識する。肩甲骨も一緒に引き上げるイメージで。
【3】上げたひじを後ろに回し、左右の肩甲骨を寄せながら5秒かけてゆっくり下ろす。このとき肩甲骨が動いているのを意識する。
【4】5秒かけてひじを後ろから前に回し、脇を締め、【1】の姿勢に戻る。【1】〜【4】を5回繰り返す。
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/早瀬あやき 写真/PIXTA
※女性セブン2026年7月2日号
●「肩甲骨と腕は一緒に動かせる?」疲れない・痛まない体を作る筋トレ不要の夏バテ解消法
