健康

50才以降の女性におすすめ!座ったままで簡単!「肩甲骨&横隔膜」ストレッチで肩こり撃退

 たっぷり寝たはずのに、なぜか肩がこっている。食事には気を使っているのに疲れが取れない――。自粛生活やリモートワークで「猫背」になり、肩甲骨や横隔膜の動きが制限されているかも。運動不足が原因だが、この寒い中、外で運動なんてしたくない。そこで、座ったままで簡単にできる、肩甲骨・横隔膜ストレッチを専門家に教えてもらいました。肩こりや疲れを速効リセット!

その不調、内臓機能の衰えが原因カモ

 一気に寒さが増し、外に出るのも、体を動かすのもおっくうになってきた。だが、これ以上座りっぱなし、寝ころびっぱなしの生活を続けるわけにはいかない。約3年間の巣ごもり期間の運動不足も重なり、体の不調を感じる人が増えている。

 整体師で『きれいな姿勢に生まれ変わる ねこ背伸ばし』(アスコム)の著書がある片平悦子さんが言う。

「“自粛生活やリモートワークの影響で5~10kgほど太った”という話を多く耳にします。また、頭痛や睡眠の質の低下などを抱える人も増えている。家から出ない生活が続くことで姿勢が悪くなり、猫背になっていることが大きな要因の1つです。充分に体を動かさないでいると筋肉がこわばったり、骨の位置がズレたりすることで、全身の不調を招くのです」

 もし、いまあなたが体のどこかに不調を抱えているなら、運動不足や姿勢の悪さが知らず知らずのうちに骨や筋肉のゆがみやこわばりを招き、その結果、内臓の機能まで衰えさせているのかもしれない。

 放っておくと、心臓や肺のほか、腸などの消化器官や子宮の働きまで悪くなっていく。取り返しのつかない事態になる前に、体の外側からほぐして内臓機能を上げる「ストレッチ」を試してみてほしい。

肩甲骨をほぐせば心臓と肺が元気になる

 自粛生活やリモートワークの影響で増えているのが「猫背」、つまり肩甲骨のこわばりだ。ここから、全身の不調へとつながる。肩甲骨は本来、上下左右、そして上下方向への回旋ができる。だが、これが運動不足などでこわばってしまっている人は多い。

「肩甲骨が正しく動かないようになると、体は“これ以上ズレないように”と、防衛本能によって肩甲骨回りの筋肉を硬くします。ねんざや突き指をしたところが硬くなるのと同じ原理です。その結果、硬くなった肩甲骨はうまく動かなくなり、胸郭にぴったりと接触し、隙間がなくなってしまうのです」(片平さん・以下同)

 心臓や肺といった重要な臓器は、背骨と胸椎、肋骨、胸骨からなる「胸郭」と呼ばれる空間に収まっているため、動きが悪くなった肩甲骨と胸郭の間に隙間がなくなると当然、これらの内臓にも影響が出る。

「第一段階として、肩こりや首こりがあります。これは肩甲骨の動きが制限されることによる筋肉の疲労。それが進むと、頭痛や耳鳴り、めまい、五十肩、手のしびれなどが現れます」

 猫背は体の前側を圧迫するため、肺がつぶされる。片平さんによれば、猫背になっていると肺の上部3分の1しか機能せず、酸欠状態になるという。

「全身に酸素が行きわたらないと、顔色が悪く疲れやすくなり、集中力も低下する。さらには、肋骨と心臓も圧迫され、何もしていないのに心臓がドキドキしたり、不整脈が出ることもあります」

 また、猫背であごが前に突き出た姿勢は咽頭(いんとう)が圧迫されるため、誤嚥(ごえん)のリスクも上がる。肩甲骨ストレッチは、肩に痛みがある場合以外、1日のいつ、何度行ってもいい。特に肩こりを感じた場合に行うと、症状を軽減できる。

肩甲骨ストレッチ

【1】背筋を伸ばしていすに浅く腰掛け、こっていない方のひじを直角に曲げて背もたれを順手で持つ。

【2】背もたれに体重を預けるようにして3回深呼吸する。

【3】【2】の肩甲骨の位置を保ったままの状態を意識しながらゆっくりと手を元に戻し、太ももの上に置く。反対側も同様に行う。

出典:片平悦子『3分間「内臓ストレッチ」で疲れないカラダをつくる』(KADOKAWA)

胸より下の内臓を横隔膜がマッサージ

 猫背で肺が圧迫されると、肺の下にある横隔膜の動きが制限される。

 横隔膜は、ちょうど胸部と腹部を仕切るようにして張られている膜で、胸骨、肋骨、脊椎などの骨につながっている。そのため、猫背になって骨がゆがむと当然、横隔膜も働きが悪くなる。

「横隔膜の動きに応じて肺が動くので、大きく息を吸えるようになるには、横隔膜がしなやかに動けなければいけません。普段から呼吸が浅い人は、横隔膜がうまく動かないといえます。横隔膜が動くことは、その下にある胃腸などの臓器を“マッサージ”することにもなるので、姿勢が悪く、呼吸が浅い人は、内臓全体の機能が低下する恐れがあります」

 特に多いのは、便秘や下痢、生理痛など。このほか、不整脈や息切れ、ぎっくり腰なども招きやすくなる。

50代以降の女性は積極的にストレッチを

 特に、50代以降の女性は、積極的にストレッチを行ってほしい。更年期になると女性ホルモンが相対的に減少することで、筋膜や靭帯などの結合組織が硬くなりやすい。悪い姿勢がそのまま固定されてしまうようなイメージだ。

「横隔膜の動きが悪くなることで特に大きなダメージを受けるのは、意外にも肝臓。横隔膜に隠れるような位置にあるため、猫背で背中が丸くなると、肝臓がもっとも圧迫されるのです。解毒や代謝など、生きるために不可欠な肝臓の機能が損なわれてしまう」

 横隔膜のストレッチのカギはやはり「深呼吸」。鼻から吸って口から吐くことと、深呼吸を始める前に、息を吐き切ることがポイントだ。  

 思いっきり吐き切った後は、体が勝手に深く息を吸い込むため、自然に正しい深呼吸がしやすくなる。いすに座ったまま短時間でできるので、家事やデスクワークの合間など、疲れたときや酸欠気味だと感じたときなどにもおすすめだ。

横隔膜ストレッチ

【1】背筋を伸ばしていすに浅く腰掛け、両ひじを直角に曲げ、二の腕が床と水平になるように腕を持ち上げる。手のひらは後ろに向ける。

【2】そのまま上体を10度ほど前傾させ、ゆっくりと3回深呼吸する。

【3】そこから上体を45度になるように前傾させ、ひじの角度は保ったまま机に手のひらをついて体を支え、3回深呼吸する。

【4】腕を下ろしながらゆっくりと体を起こすと、横隔膜のバランスが取れる。

出典:片平悦子『3分間「内臓ストレッチ」で疲れないカラダをつくる』(KADOKAWA)

教えてくれた人

片平悦子さん/整体師 

イラスト/勝山英幸

※女性セブン2022年12月8日号
https://josei7.com/

●YouTubeでも人気の整体師が教える「肩甲骨ストレッチ」で“やせスイッチ”オン|イラストでわかりやすく解説

●マスク酸欠を防ぐ横隔膜ほぐしや肌荒れなどマスク生活のリスク対策【専門医監修】

●一生歩ける体を作る「肩甲骨を開くトレーニング」ポイントは脇のインナーマッスル

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