後期高齢者には12・2の「マイナ保険証」完全移行後も「資格確認書」を自動発行へ
厚生労働省は、2024年12月2日に保険証の新規発行が停止されてマイナ保険証に一本化されるのに伴い、特に高齢者を中心とした混乱を避けるため「資格確認書」を発行する方針を示した。デジタル大臣の平将明氏は就任会見で、「母数の大きい保険医療のデジタル化で得られるメリットは桁が違う」と述べ、マイナ保険証に原則一本化する意義を強調していたが、後期高齢者については混乱を避けるために本人申請を待たず「資格確認書」を発行する。
資格確認書で保険証失効後の医療利用を確保
保険証が従来の紙やカードからマイナ保険証に移行することで、健康保険証の機能を担うのは原則マイナ保険証のみとなる。しかし、ITに不慣れな高齢者がマイナ保険証を利用できない場合や、マイナ保険証の存在を認識しないまま保険証が失効してしまうリスクが指摘されていた。これに対応するため、資格確認書が自動的に交付され、保険医療を受けるための手続きを円滑に進めることができるようになる。
特に75才を迎えた際や転居などによって健康保険の適用範囲が変わる場合、マイナ保険証をすでに持っていても新たに資格確認書が送付される仕組みだ。これにより、予期せぬトラブルを未然に防ぐ狙いがある。
資格確認書の対象者と様式
資格確認書の交付対象は、マイナ保険証に一本化される12月2日以降に75才を迎えた後期高齢者や、転居や加入保険の変更により保険適用範囲が変わる人たちである。マイナ保険証の保有者であっても、これらの状況に該当する場合には資格確認書が交付される。 資格確認書の様式は3種類存在し、それぞれの状況に応じた情報が記載される。まず、保険証に代わる基本的な資格確認書として交付されるもの。
次に、後期高齢者医療制度に基づく資格確認書、そして特定の医療支援を受けるための資格確認書が存在する。これらの確認書には、保険者名、被保険者番号、氏名、住所、発行日などが記載される予定だ。
今後の展望
資格確認書の発行が円滑に行われるよう、厚生労働省は各自治体や医療機関との連携を強化する方針だ。特に高齢者がスムーズに医療サービスを受けられるよう、周知徹底を図ることが課題となる。資格確認書とマイナ保険証の併用期間を設けることで、デジタル移行に伴う混乱を最小限に抑える狙いがある。
構成・文/介護ポストセブン編集部