【部屋干しの洗濯物を早く乾かしたい】高齢者が使いやすい《衣類乾燥除湿機》特徴と選び方を家電の達人が解説「洗濯物が最短90分で乾く」「移動のしやすさも重視して」
間近に迫る梅雨。洗濯物も乾きにくいし、カビや雑菌が繁殖する心配もある。そんな季節に役立つのが「衣類乾燥除湿機」だ。「部屋干しの洗濯物が短時間で乾く優れた商品が登場しています」と家電ライターの田中真紀子さんは語る。中でも高齢者が使いやすいものもあるという。選び方のポイントを教えてもらった。
教えてくれた人
田中真紀子さん / 家電ライター
家電ライター/家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。特に白物家電・美容家電に詳しい。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。公式HP https://makiko-beautifullife.com/
洗濯物の乾燥と室内の除湿が両立する「衣類乾燥除湿機」
衣類乾燥除湿機を導入するメリットは何か。田中さんは、「何と言っても室内に干した洗濯物を素早く乾かせることです」と話す。
「高齢になると、庭先やベランダまで洗濯物を運ぶのが大変という人もいるのではないでしょうか。また雨の日に限らず日常的に部屋干しをしている人もいるでしょう。その場合、ぜひ衣類乾燥除湿機を使ってほしいと思います。
そもそも洗濯物を部屋干しすると生乾き臭が発生しやすく、部屋の湿度も上がってジメジメしますよね。生乾き臭の原因菌は、5時間後から爆発的に増えるといわれるため、洗濯物は5時間以内に乾かしたいもの。ですが、実際は気温や湿度によって7~8時間、あるいはそれ以上かかってしまうこともあります」(田中さん・以下同)
しかし、衣類乾燥除湿機であれば、製品によっては2㎏相当の衣類が最短で90分程度、長くても5時間以内で乾くため、生乾き臭や室内のジメジメも抑えられるというわけだ。
「扇風機やサーキュレーターで風を当てると洗濯物が乾きやすく、湿気も飛ぶだろうと思うかもしれませんが、梅雨時はとくに注意すべき。
風によって衣類の水分が飛ばされ、乾燥時間が短くなるので部屋干し臭は抑えられますが、飛ばされた水分は室内に漂っているのです。この水分によって室内の湿度が上がってカビの原因になったり、衣類に戻ったりしてしまうことも。
その点、衣類乾燥除湿機なら、洗濯物の水分も周囲の湿気も取り除くことができます」
衣類乾燥除湿機のタイプを知ろう
除湿機には、大別して3種類の除湿方式がある。それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで選ぶことが大切だ。
コンプレッサー式
「コンプレッサー式は、気温が高い夏場の使用に向いていて、省エネ性が高いことが特徴。そのため電気代を抑えながら梅雨シーズンだけ使いたいにはおすすめですが、一方で、運転音が大きく重量感があること、気温が下がると除湿能力が落ちるのが注意点です」
デシカント式
「デシカント式は、冬場を含めて一年を通して除湿能力が落ちにくいうえ、コンプレッサーを搭載していない分、軽量でコンパクトなのがメリット。ただしヒーターを利用するため消費電力が大きいことが難点です」
ハイブリッド式
「ハイブリッド式は、コンプレッサー式とデシカント式のメリットを“いいとこどり”して一年中パワフルに除湿できます。ただし、その分、本体価格は3つの方式の中でもっとも高い傾向にあります」
高齢者が使いやすい「衣類乾燥除湿機」選びのポイント
衣類乾燥除湿機は日々のお手入れが必要なケースがほとんど。
「空気中の水分を取るのでタンクに水が溜まりますし、その水を持ち運んで捨てるという作業があるので、高齢のかたにとっては一苦労かもしれません。
しかし最近の製品には、こうしたデメリットをカバーしているものが出てきています」
排水タンクに取っ手があるか?
まずは一番の懸念である、タンクの排水について。
「前述の通り、除湿機は集めた水を排水する必要があります。排水しやすい工夫として、タンクにハンドル(取っ手)がついているか、ホースを取り付けて連続排水できるタイプかをチェックしましょう。
ハンドルがあれば持ち運びがしやすいですし、お風呂場などの近くで使うなら、集めた水をタンクではなくホースからそのまま排水できる『連続排水』機能を使うと、タンクを持ち運ぶ必要がありません」
脱衣所や浴室で洗濯物を乾かせるなら、断然、連続排水がおすすめだ。
キャスターはついているか?
衣類乾燥除湿機は、見た目以上に重量があり、本体が10kg以上に及ぶ製品もある。出しっぱなしにできればよいが、除湿機は湿度の高い時期や洗濯物を乾かしたいときなどに引っ張り出して使うものである。そのため、出し入れしやすいものを選びたい。
「持ち上げられる重さであれば、ハンドルがあるものでもよいですが、ベストはキャスターがついていて押して移動できるものです」
表示は見やすい?
表示の見やすさも大事なポイントだ。
「きめ細かく設定できる除湿機はニーズに合わせやすい半面、文字やボタンが多くて読み取りにくいもの、操作がわかりにくいものもあります。できれば文字が大きいもの、もしくはマークなどで直感的に使えるものを探しましょう」
消臭機能をチェック
「室内のニオイが気になっている人は、ナノイーやプラズマクラスター、オゾンなどを活用した消臭機能があると便利です。
なお最近では、除湿機に空気清浄機能や加湿機能が加わったタイプも出ていますが、機能が増えると操作やお手入れが複雑になるので、シンプルな単機能タイプのほうがおすすめです」