精神科医・和田秀樹さん「60代こそ新たな恋をしよう」恋愛スイッチの入れ方3選
年齢を重ねると、恋人や話し相手が欲しいと思っても、そもそも恋愛は面倒だし、自信もないし…。そんな風にあきらめていないだろうか? 精神科医の和田秀樹さんによると、人生100年時代、“ときめく心”は必要だという。恋愛やときめきがもたらす脳への効果について、アドバイスいただきました。
恋愛は認知症予防につながる
内閣府の調査によると、シニア女性の「おひとりさま」は増加傾向にある。ひとりでは寂しいと、恋人や話し相手が欲しいと思っても、久々に恋愛をするのは面倒だし、自信がないという人もいるだろう。そもそも、年を取っても恋愛は必要なのだろうか。
「恋愛は何歳になってもすべきです。なぜなら、脳の前頭葉を刺激するので、認知症対策に効果的だからです」
とは、『80歳の壁』などのベストセラー著者で精神科医の和田秀樹さんだ。
「前頭葉は放っておくと、加齢とともに萎縮し、機能が衰えます。そうすると、新たな挑戦をしなくなったり、同じ行動を繰り返すようになります。自発的な行動が減って、自分や周囲に対して無関心となり、何事にも“面倒くさい”“いまのままで充分”という気持ちが強くなります。
これでは、知らない人と一から関係を築きづらくなります。これを私は、“感情の老化”と呼んでいます。そうなると、新たな恋どころか人づきあい自体が億劫(おっくう)になり、最終的には認知症につながります」(和田さん・以下同)
100回の脳トレより1回の恋をしよう!
感情の老化を予防するには、前頭葉を鍛える必要がある。
「認知症予防というと、計算や連想ゲームといった、いわゆる“脳トレ”をする人がいますが、実は脳トレでは前頭葉は刺激できないんです。計算問題で鍛えられるのは頭頂葉で、連想ゲームで鍛えられるのは側頭葉と、効果が表れるのは別の部分だからです」
前頭葉を鍛えるには、何かを夢中で好きになることが大切だという。
「推しを作るのもいいですが、リアルな恋愛の方が脳への刺激は絶大です。恋愛は、相手の心をとらえるために、見た目を気にしたり、話題を考えたりと、前頭葉を使うからです。
さらに、想像もしていなかったことが起こるので、いつもの行動パターンから外れていき、日々新しい出来事と遭遇することになります。これこそ前頭葉へのいい刺激になるのです」
外見を変えれば恋愛スイッチオン!
とはいえ、夫ではその相手にならない、好きな人がいない、恋愛スイッチが入らない場合、どうしたらいいのか。
「手っ取り早いのは外見をきれいに整えることです。たとえば新品のワンピースを着る。すると気持ちがワクワクして、ヘアスタイルやメイクも整えたくなります。きれいにおめかししたら人に会いたくなりますし、美しさは自信にもつながるので、自然と笑顔も増えます。おしゃれをするだけで、これだけ行動が変わるのです」
きれいで笑顔が素敵なら、自然と人を引き付けるようになり、恋愛に発展する機会も増える、というわけだ。
「女性は閉経すると、“人づきあいホルモン”ともいわれるテストステロンの分泌量が増えて、アクティブになります。60代こそ、年齢や人目を気にして、閉じこもっていてはもったいないですよ」
夫や友達と出かけるのも楽しいだろうが、恋愛のようなときめきは感じられないだろう。それでは前頭葉への刺激は足りない。
恋のスイッチが入らないなら、まずはおしゃれをして出かけてみよう。ときめく心は脳も見た目も若返らせる、最高のアンチエイジングなのだから。
恋愛スイッチが入らない人は、まずやってみよう!!
●いろいろなレシピに挑戦!
おすすめは海外の料理。見たことがない食材や調味料に触れ、未知の感動を得る過程が脳を刺激する。
●いつもと違う店に入る
飲食店、美容院など人からサービスを受ける店ほど、時々変えてみよう。新たな出会いと体験が脳を若返らせる。
●普段触れないジャンルの本を読む
恋愛小説を好む人はミステリーや時代小説など、違うジャンルの小説に触れると好奇心が刺激される。
教えてくれた人
精神科医 和田秀樹さん
取材・文/前川亜紀 イラスト/白ふくろう舎
※女性セブン2022年10月13日号
https://josei7.com/
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