「シニアの性生活」最新事情 女性の8割が抱える悩みと解決策を婦人科医が解説
「シニアの恋愛にはセックスは不要」と女性は思うかもしれないが、男性はそうもいかない事情もあるらしい。また「女性は50代から性欲が増す」ともいわれる。そこで、年齢を重ねた女性が抱える性生活の悩みや対策について、婦人科医の喜田直江さんに教えてもらいました。
シニア世代の性の相談実例「性交痛、見た目の悩み」
シニアの恋愛にセックスは不要と思う女性もいるかもしれない。しかし、男性はそう思っていないケースが多く、70歳だろうと80歳だろうと求めてくるものだ。また、閉経後は、性欲を司るホルモン・テストステロンが相対的に増えるため、女性も性欲が増し、セックスをしたいと思う人が増えるのだと、なおえビューティークリニック院長・喜田直江さんは言う。
しかし、ことシニアのセックスとなると、若い頃のようにはいかない。
「50代以上女性の性の悩みで最も多いのは“性交痛”です。若い頃から日常的にセックスをしているならいいのですが、年単位の時間を置いてから、何の準備もなくセックスをすると、けがをしかねません」(喜田さん・以下同)
代表的な問題が、外陰腟萎縮症(がいいんちついしゅくしょう)だ。これは、女性ホルモンの分泌が減る更年期や閉経後の女性の約8割に起こるという。腟の粘膜が薄くなり、乾燥、かゆみ、性交時の痛みや出血といった症状が表れる。潤滑ジェルなどを使わず男性を受け入れると、裂傷を負う可能性もある。痛みは恐怖となり、二度としたいとは思わなくなってしまうものだ。
「対策として、会陰部分をマッサージするのがおすすめ。会陰用のオイルを使い、腟内に指を関節1つ分程度入れ、小さく円を描いて広げるように1分程度マッサージします。バスタイムに毎日行うと、腟が柔らかくなってうるおいやすくなり、性交がスムーズになるだけでなく、性器のにおいも抑えられます」
次に多い相談が、性器の見た目に関する悩みだという。加齢による変化で、新たな恋愛に二の足を踏む人は多いという。
「大陰唇にヒアルロン酸などを注入してふっくらさせたり、黒さをピーリングで取り除く施術もあります」
見た目が変われば、性交渉にも積極的になれるもの。性にまつわる悩みで恋ができないなら、医療の力で解決できると覚えておこう。
読者のリアルエピソード「70代の彼との穏やかな関係が癒しに」
5年前に娘が結婚したのを機に、モラハラ夫と離婚しました。30年間の結婚生活では私に自由がなく、映画やテレビは見せてもらえませんでした。でも、離婚後は見放題です。あまりに楽しくて、誰かと感想を伝え合いたいとSNSを始めました。
SNSにはさまざまなグループがあり、私は「映画鑑賞サークル」に入りました。定期的に飲み会も開催されているということで、参加してみたところ、メンバーは毎回10人程度で、40~70代の男女が半々。毎週、水曜日と土曜日の夜に映画の感想についておしゃべりをしつつ、2か月に1回、みんなで新作映画を見に行くんです。SNSも楽しかったですが、やはり直接会って会話をするのはより楽しいですね。
しかし、よくメンバーを観察してみると、意外とカップルが出来上がっていて、中には不倫をしている人も…。
私は元夫のせいで男性に対して恐怖心があるので、自分から男性に積極的に話しかけられないんです。でも、カップルたちの中で、おとなしく話しかけられるのを待っていると、疎外感にさいなまれ…。そんなとき、“あぶれもの同士”で仲よくなったのが当時73歳の彼でした。年が離れているため、女性メンバーの恋愛対象にはならなかったようで、毎回2人きりで話すようになりました。奥さまとは20年以上前に離婚しており、40代の息子さんと2人暮らしをしていると聞きました。
元夫とは大違いで、やさしくて静かに話す彼に次第に惹かれていき、私から告白してつきあうことになりました。
「こんな一回り以上年上のおじいさんで本当にいいの?」
と何回も聞いてくれたのもうれしかったですね。年齢的に引け目を感じるのか、つきあってからは、それまで以上にやさしくしてくれます。
映画を見た後に散歩をするのが彼とのデートの定番。自分に無理することなく自然体でいられるので、彼との時間は本当に癒されます。お互いこれが最後の恋だとわかっているので、1回1回の逢瀬を大切にしているんですよね。この年になって、恋人以上、夫婦未満の関係になれる人に出会えたことは奇跡だと感じています。(62歳・パート)
取材・文/前川亜紀 イラスト/白ふくろう舎
※女性セブン2022年10月13日号
https://josei7.com/
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