猫が母になつきません 第291話「おわらせる」
猫の抱っこは癒し効果抜群。実家はもともと犬派でいろんな犬を飼ってきましたが、犬と猫の抱き心地はまったく別物。猫はとにかく柔らかい。「犬は個体、猫は液体」と言ったりしますが、液体はおおげさだとしても猫はいくらでも伸びいくらでも縮み、どんな形にでもハマるんじゃないかと思うくらいの柔らかさ。抱っこするとこちらの形にハマってくれて、しかもそれがなめらかな毛に覆われているのですから気持ちよくないはずがありません。友人のお宅で犬と猫両方飼っていて猫ちゃんの方が先に亡くなってしまったしばらく後のこと、犬を抱っこしていたお母様が突然「猫が抱きたいっ!」と吼えられたとか。お気持ちお察しいたします。自らひざに乗って来たりするわびに対して、さびの抱っこはイヤイヤ。「あからさまに拒むのも悪いから」みたいなある種の諦めを漂わせながら抱っこさせてくれます。目が遠くを見てるし…。「わぁ、こんなかわいい猫みたことない!こんな子がうちの猫だなんてー、夢みたい」とほめそやす私の言葉に表情も変えず1分ほどで脚ピーン…「はい終わりー」抱っこ強制終了。それでも思わず「ありがとうございまーす」とお礼を言ってしまうくらいありがたい、そんな相変わらず猫依存のエブリディ。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。