冬よりもダメージが大きい“夏の冷え” メンタルの不調も引き起こす「冷えバテ」対処法
悪天候と長引く外出自粛で、例年以上に屋内で過ごす時間が長い今年の夏。実は、クーラーでキンキンに冷えた部屋で冷たいものを食べる快適な生活が、真冬以上に体を冷やし、不調の原因に。放っておくと深刻な病気にもつながる「夏の冷え症」は、早めにケアして、残暑を元気に乗り切りましょう!
夏に冷える3大原因
「夏に不調を訴える人のお腹を触るとたいてい冷たい。内臓が冷えている証拠です」と、話すのは、医師の石原新菜さん(以下同)。
まずは、外気の寒さで冷える冬とは異なる夏冷えの原因から解説していこう。
【1】内臓の冷え
冷たいものの摂りすぎが不調へとつながる
「冷たい食べ物、飲み物につい手が伸びてしまいますが、内臓が冷えることで内臓の血流が悪くなります。すべての臓器は血液が運ぶ栄養や酸素、水分で働くため、血流が悪くなると、冷え以外にもさまざまな不調が起こります」
【2】クーラー
降りてきた冷気で足元からヒエヒエに
薄着でクーラーの冷気が当たると、体の深部から冷やすことに。さらに冷気は下に降りてくるため、足が冷えて血流が悪くなる。
「女性は男性に比べて体温が低めなので、家庭や職場のエアコンの設定温度には注意を」
【3】薄着
夏のおしゃれが冷えを招く
「冬は重ね着などで寒さ対策をする人も、夏はケアを怠りがち」
酷暑の外からクーラーが効いた部屋に入ると、ノースリーブの腕や素足にクーラーの冷気が直撃。
夏の冷えが引き起こす不調とは
■内臓の冷えから自律神経が乱れる“冷えバテ”
<こんな不調が…>
・頭痛
・便秘・下痢
・食欲不振
・不眠
・肩こり
・生理痛
内臓が冷えると、内臓を動かす自律神経が元の状態に戻そうと働きすぎ、乱れてしまう。さらに外では汗をかき、冷えた屋内では血管を収縮させるという体温調節の繰り返しも、自律神経が乱れる原因に。
「夜眠れない、気分が落ち込むなどメンタル面の症状が出やすいのも“冷えバテ”の特徴です」。
■むくみも内臓の冷えからくる
「体に入った水分は、酸素や栄養と一緒に心臓から動脈にのって出て行き、各細胞に届きます。体が冷えて血流が悪くなると水分や老廃物が静脈やリンパ管に回収されず、細胞と細胞の間に溜まったり、顔や体のいろいろなくぼみに溜まったりします。その結果むくむのです」
冷えを克服するには…
体が冷えるからといって冷房をつけないのは、熱中症のリスクがあるのでおすすめしない。とはいえ、このまま体が冷えた状態も良くない。そこで、石原先生に冷えを克服する方法を教わった。毎日の生活に取り入れ、冷房と上手に付き合っていこう。
■体の中から温める
夏が旬の食材は食べ方に工夫を
辛み成分が含まれるスパイス類、エネルギーのもととなる油類、筋肉を作るうえでも欠かせない肉類など、体を温める食材を積極的に摂る。体を冷やす夏野菜は、加熱や薬味をたっぷり合わせるなどの工夫を。
■血流をよくする
ぬるめの風呂に毎日つかる
冷えやすい手や足の先まで血流を促すために、夏でも毎日お湯につかる習慣を。38~40℃のぬるめのお湯に10~15分程度でOK。汗だくにならなければ、入浴後にクーラーで冷やしすぎることもない。
■筋肉をつける
体温の40%は筋肉で作られる
加齢により筋肉量が落ちることで体温を作れなくなり、より冷えやすい体に。毎日の生活にウオーキングやスクワットなどの簡単な運動を取り入れて、筋肉量をアップさせる。
さらにこんな工夫も!
■外気との差は3~7℃に
外と屋内の気温差は、外の気温が35℃ぐらいなら5~7℃程度、30℃前後なら3~4℃がベスト。
「クーラーだけで冷やそうとせず、サーキュレーターや扇風機を一緒に使って空気を循環させると涼しく感じます。カーディガンや靴下などで体温調節をすることも大切です」。
■汗をかいたら下着を着替える
「クーラーで汗が冷えるとかなり冷たく感じるので、下着だけでも着替えるか、速乾性の下着を着るなどの工夫を。湯上がりや、寝ている間に汗をかいた場合も同様です」
■軽い運動でめぐる体に
体の冷えと心の疲れには深い関係があるという。
「血のめぐりが悪くなると気もめぐらなくなり、メンタルも不調に。少し運動するだけでも血がめぐり、結果、気もめぐってスッキリしますよ」。
教えてくれた人
石原新菜さん/医師
イシハラクリニック副院長。漢方医学、自然療法、食事療法などさまざまなアプローチで治療を行う。『やせる、不調が消える 読む 冷えとり』(主婦の友社)など著書多数。
写真/PIXTA イラスト/朝倉千夏
※女性セブン2021年9月2日
https://josei7.com/
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