体を温める野菜と冷やす野菜の種類、夏野菜の調理法「たまねぎはスープが◎」【医師監修】

 コロナ禍によるマスク生活に加えて、熱中症で救急搬送される人が多く発生している今年の夏。暑さをしのぐため、例年以上に冷たいものを頻繁に摂ったり、エアコンの効いた部屋で過ごす時間も増えたことだろう。しかし、それが新たな不調を招く原因にも。万病のもととなる夏の”冷え”について食事や生活習慣について専門家に聞いた。

健康の大敵、冷えを防ぐ食事内容

 体の冷えが恒常化すれば、体温を維持するために血管が収縮し、その結果血流も悪くなる。 血の巡りが悪くなれば末端の手足の冷えが悪化して代謝が悪くなり、肌荒れやむくみ、肩こり、生理痛などの原因に。加えて、代謝が落ちることで太りやすくもなる。

 冷えは女性の美容と健康の大敵なのだ。冷えを防ぐには、食事内容にも気をつけたい。

体を冷やす野菜、温める野菜とは?

 1日350g──これは厚生労働省が推奨する野菜摂取量だ。健康のために野菜は積極的に食べたいが、「冷え」を防ぐためには取捨選択が必要になる。大平医院副院長の田邉真帆さんが解説する。

「確かに野菜は体にいいですが、種類によっては冷えにつながるものも少なくありません。例えば、トマトやきゅうりなどの夏野菜は水分を豊富に含み、利尿作用に優れているため、尿と一緒に体の熱を逃がし、体温を下げ、夏バテを防止する効果がある。翻っていえば、食べすぎれば冷えの原因になってしまうのです」

玉ねぎは丸ごと炒めてスープに

 それでは、どんな野菜を摂るべきなのか。田中病院院長の田中優子さんは摂るべき野菜の共通点として「育つ場所と時期」を挙げる。

「地面の下で育つ玉ねぎや地中にまっすぐ根を伸ばすしょうがなど、体を温める野菜の共通点は土の中で育っていたり、寒い時期が旬であること」

 前出の田邉さんが熱視線を送るのは玉ねぎだ。

「玉ねぎにはにんにくと同じ辛み成分の『アリシン』が含まれているため、血流をよくする効果が期待できます。さらに、抗酸化作用や血管拡張作用のある『ケルセチン』も多く含有する。

 これらの成分は水に溶けやすく、油との相性もいいため、玉ねぎを丸ごと炒めてスープにして食べるのがおすすめです」(田邉さん)

夏野菜は加熱して冷え予防

 かつては夏野菜を積極的に食べて体の熱を取るのが健康の秘訣とされていたが、それはエアコンがなかった時代の話。

 とはいえ、いまが旬で栄養豊富なトマトやなす、きゅうりなどの夏野菜を「冷えるから」という理由で食卓から退けるのはあまりにも残念だ。田邉さんはこんな食べ方を提案する。

「加熱することで冷えを予防できるため、好きな夏野菜を使ってアヒージョを作るのがおすすめです。たっぷりのオリーブオイルに体を温める効果のあるにんにく、唐辛子も入れるため、相乗効果で食べた後には体がポカポカになります」

【体を温める野菜】

 土の中で育っていたり冬が旬の野菜は体を温めてくれるものが多い。しょうが、玉ねぎ、かぼちゃ、ごぼう、山いも、れんこんなどが当てはまる。

【体を冷やす野菜】

 トマトやなす、きゅうりといった、水分が多く夏が旬の野菜は体を冷やす特徴が。ほかにはレタスやすいか、ゴーヤー、ほうれん草などが当てはまる。

冷えを防ぐ食べ方「良く噛む」「朝食は必須」

 冷えを防ぐ食品がわかったら、早速食卓に取り入れてほしい。管理栄養士の磯村優貴恵さんは食品選びに加え、食べ方も重要だと話す。

「夏バテで食欲がなくなると、そうめんや冷や奴など冷たいうえに軟らかいものばかり食べるという人も多いですが、体を温めるために必要なのは、何よりもよく噛むこと。あごや口を動かすことで上半身の筋肉が動き、体温が上昇します。したがって、お肉や野菜など歯ごたえのあるものを積極的に食べることをおすすめします」

 テレワークや夏休みなどで不規則な生活にもなりがちだが、朝食は必須だ。星子クリニック院長の星子尚美さんが言う。

「朝からしっかり食べて体にエネルギー源を入れることは必須です。エネルギーがなければ体は温まりません。“朝食べなくても、昼食べればいいや”という人は、起きた後なかなか体が温まらず、いつも代謝が悪いような状態になってしまう」

食事と並行して、生活習慣の改善を「入浴は湯船につかって」

 体にいいものをしっかり食べることと並行して取り組むべきは、体を冷やさないための生活習慣の改善だ。医学博士の上馬塲(うえばば)和夫さんは冷えない体をつくるためには入浴を欠かしてはいけないと説く。

「ぬるま湯でもいいので、毎日お風呂につかることも大切です。塩や炭酸は冷えを取る効果があるため、バスソルトや炭酸入浴剤を使うのもいいでしょう。一日の終わりにゆっくりお湯につかることで、自律神経も整います」(上馬塲さん)

 この夏は冷え知らずの体で乗り切りたい。

教えてくれた人

大平医院副院長・田邉真帆さん/田中病院院長・田中優子さん/管理栄養士・磯村優貴恵さん/星子クリニック院長・星子尚美さん/医学博士・上馬塲和夫さん

※女性セブン2021年8月19・26日
https://josei7.com/

●60才過ぎたら毎日食べるべき”最強食品”ランキング18|1位はあの食材!【専門家30人が厳選】

●夏の冷えと疲れに!体の中から温めるスープレシピ|ウー・ウェンさん

●「内臓冷え」で免疫力低下、太る、命に関わる病気も。チェックリストと対策

関連キーワード
ニックネーム可
入力されたメールアドレスは公開されません
編集部で不適切と判断されたコメントは削除いたします。
寄せられたコメントは、当サイト内の記事中で掲載する可能性がございます。予めご了承ください。

最近のコメント

シリーズ

介護付有料老人ホーム「ウイーザス九段」のすべて
介護付有料老人ホーム「ウイーザス九段」のすべて
神田神保町に誕生した話題の介護付有料老人ホームをレポート!24時間看護、安心の防災設備、熟練の料理長による絶品料理ほか満載の魅力をお伝えします。
「老人ホーム・介護施設」の基本と選び方
「老人ホーム・介護施設」の基本と選び方
老人ホーム(高齢者施設)の種類や特徴、それぞれの施設の違いや選び方を解説。親や家族、自分にぴったりな施設探しをするヒント集。
「老人ホーム・介護施設」ウォッチング
「老人ホーム・介護施設」ウォッチング
話題の高齢者施設や評判の高い老人ホームなど、高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップ。実際に訪問して詳細にレポートします。
「介護食」の最新情報、市販の介護食や手作りレシピ、わかりやすい動画も
「介護食」の最新情報、市販の介護食や手作りレシピ、わかりやすい動画も
介護食の基本や見た目も味もおいしいレシピ、市販の介護食を食べ比べ、味や見た目を紹介。新商品や便利グッズ情報、介護食の作り方を解説する動画も。
介護の悩み ニオイについて 対処法・解決法
介護の悩み ニオイについて 対処法・解決法
介護の困りごとの一つに“ニオイ”があります。デリケートなことだからこそ、ちゃんと向き合い、軽減したいものです。ニオイに関するアンケート調査や、専門家による解決法、対処法をご紹介します。
「芸能人・著名人」にまつわる介護の話
「芸能人・著名人」にまつわる介護の話
話題のタレントなどの芸能人や著名人にまつわる介護や親の看取りなどの話題。介護の仕事をするタレントインタビューなど、旬の話題をピックアップ。
介護の「困った」を解決!介護の基本情報
介護の「困った」を解決!介護の基本情報
介護保険制度の基本からサービスの利用方法を詳細解説。介護が始まったとき、知っておきたい基本的な情報をお届けします。
切実な悩み「排泄」 ケア法、最新の役立ちグッズ、サービスをご紹介
切実な悩み「排泄」 ケア法、最新の役立ちグッズ、サービスをご紹介
数々ある介護のお悩み。中でも「排泄」にまつわることは、デリケートなことなだけに、ケアする人も、ケアを受ける人も、その悩みが深いでしょう。 ケアのヒントを専門家に取材しました。また、排泄ケアに役立つ最新グッズをご紹介します!