災害時の熱中症対策、防災袋に入れておきたい経口補水液よりもおすすめなもの
台風、水害や土砂崩れ、また地震など災害はいつ起こるかわからない。厳し暑さが続く時期に避難生活を余儀なくされる場合もあるかもしれない。
災害用の防災用品も準備をする際、暑さ対策で気をつけるべきことはなんだろうか?防災の専門家に教えてもらった。
コロナ禍での避難所生活はより熱中症に注意を
「避難所は、寒さや暑さの対策が充分にされていません。特にいまは、新型コロナウイルス感染防止の観点から、避難所内では常にマスクを着用することになっています。エアコンなどが使えず室温や湿度が高い環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるため、注意が必要です」
と話すは、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんだ。
たとえ避難所でエアコンが使えても、換気のために窓を開けるため、快適な環境で過ごせるとは言えなさそうだ。
防災袋には水、塩あめ、スポーツ飲料の粉末の準備を
では、熱中症対策として夏用の防災袋に入れておいた方がいいものは何か?
「熱中症予防には、こまめな水分補給が不可欠。通常、防災袋に入れる水は1人500ml×2本が目安ですが、夏は1~2本多めに入れておきましょう。
さらに汗とともに失われたナトリウムなどの電解質を摂取する必要があるので、塩あめやスポーツ飲料の粉末を入れておくと安心です」(高荷さん・以下同)
経口補水液を用意してもいいが、重さもあり、小さな袋に入れるにはかさばる。その点、塩あめやスポーツ飲料の粉末は軽くてスペースをとらないうえ、水と組み合わせて使えるため汎用性が高い。
また、塩あめやスポーツ飲料の粉末は、ナトリウム不足を補い、熱中症を予防するのが目的なのに対し、経口補水液は脱水した体に必要な成分を素早く吸収できるよう設計されていて、脱水を伴う熱中症の治療に用いられる。どちらもあるに越したことはないが、まずは熱中症にならないよう予防に力を入れるべきという視点からも、塩あめやスポーツ飲料の粉末の方が優先順位は上だという。
そのほか、冷感タオルやうちわ・扇子などの風を起こせるアイテムも用意しておこう。
「体をタオルなどで濡らしてから風にあたると気化熱で涼しく感じられるので、冷感タオルとうちわはセットで用意しておきましょう」
手動の小型扇風機は、ハンドルを回し続けないといけないので疲れて結局使わなくなる恐れが。また、電池タイプも、予備の電池を用意しなければならないなど、準備するものが増えるので、うちわや扇子がおすすめだという。
熱中症対策用に防災袋に用意しておきたいもの【まとめ】
・水 1人500ml×3~4本
・塩あめ
・スポーツ飲料の粉末
・冷感タオル
・うちわや扇子
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃