「まごはわさしい」で作る腸活メニュー|日本の発酵食品はやっぱりすごい

 30万部突破のベストセラー「「空腹」こそ最強のクスリ」が話題の医学博士・青木厚さんは、プチ断食(16時間ものを食べない)事こそが健康に、さらにはアンチエイジングやダイエットにも効果があると語る。だが、せっかく断食をしても偏ったものばかり食べていては効果が半減しそうだ。そこで、「空腹時間」明けの体には何が最適なのか、ファスティング(断食)の専門家に話を伺った。

70才以上なら腹五分目で充分

 健康と長寿の心得を著した江戸時代のベストセラー『養生訓(ようしょうぐん)』。著者の貝原益軒(かいばらえきけん)は、「腹八分に医者いらず」と、粗食の効能を説いている。 それについて島田さんは、

「当時の食事は一汁一菜程度で、充分に質素なものでした。これを現代に置き換えたら、腹八分目かな?と思う量の、さらに3分の2くらいが適量ではないか」と言う。

 たとえば、40代で腹七分目、50~60代で腹六分目、70才以上は腹五分目で充分だというのだ。

 では、16時間断食の効果を上げる「腸内環境を整える食事」では、何をどう摂ればいいのだろうか?

→健康になる”空腹時間”の実行スケジュール3つ|朝食・昼食・夕食どれを抜く?

一汁三菜を基本とした和食献立が理想的!

「なんといっても、栄養バランスのよい献立づくりの標語『まごわやさしい』に基づいた、一汁三菜の和食メニューです。特別なものはなく、身の回りにある食材ばかりですが、これらには、ミネラルや食物繊維、ビタミンが豊富な食材がそろっています」(島田さん・以下同)

 「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された際の定義に、「一汁三菜を基本とする食事スタイルは理想的な栄養バランスで、動物性油脂の少ない食生活は日本人の長寿や肥満防止に役立っている」とある。

 肥満という問題を抱える諸外国も注目する「WASHOKU」は、栄養学的にも理にかなったヘルシーフードなのだ。

摂るべき食材「まごわやさしい」とは…

■ま(め)

<豆類>

 豆腐や納豆、みそなどの大豆製品や、グリーンピース、そら豆、小豆などの豆類。“畑の肉”ともいわれる大豆は、良質なたんぱく質、ミネラル、食物繊維が豊富。

■ご(ま)

<ナッツ類>

 ごまやアーモンド、くるみ、ピーナッツ、栗など。ごま類の脂質に多く含まれる不飽和脂肪酸は、血中のコレステロール値を下げる作用がある。おやつに最適。

■わ(かめ)

<海藻類>

 わかめやひじき、のり、昆布、もずくなど。日常生活に不足しがちな水溶性食物繊維やミネラルが多く、新陳代謝を上げ、アンチエイジング効果がある。

■や(さい)

<野菜>

 緑黄色野菜や淡色野菜、キャベツ、アスパラガス、ほうれん草など野菜全般。ビタミン、ミネラル、食物繊維の宝庫。旬の野菜を摂れば栄養価が高まる。

■さ(かな)

<魚介>

 魚類全般やいか、えびなど。おすすめはDHAやEPA、タウリンが多く摂取できる青魚(あじ、いわし、さんま)。血液サラサラ、疲労回復効果も高い。

■し(いたけ)

<きのこ類>

 しいたけやなめこ、まいたけなど、きのこ類全般。カルシウムの吸収を助けるビタミンDなどのビタミン類や食物繊維、ミネラルも豊富なダイエット食。

■い(も)

<いも類>

 じゃがいもやさつまいも、山いもなど。糖質やビタミンC、食物繊維が豊富。特にじゃがいものビタミンCは加熱しても壊れにくい。

食事の摂り方(朝食抜きの場合)

 夕食抜きの場合、昼食抜きの場合の人も下記を参考にしてみよう。

【朝】コップ1杯の水か白湯(さゆ)、ノンカフェインの飲み物
【昼】一汁三菜の昼食(具だくさんみそ汁、玄米か雑穀米、主菜1、副菜2)
【夜】昼よりも軽めの一汁三菜

★良質な水またはノンカフェインの飲み物を毎日1.5~2L摂ろう

 水分は老廃物や毒素を排出し、新陳代謝を促すのに必須のものだが、多くの人が不足気味。

「水代わりに飲んでいるお茶やコーヒーは利尿作用があるため、1日2杯程度にしましょう」(島田さん)

善玉菌を多くすることが健康のカギ

 人間の腸には1000種、1000兆以上の腸内細菌が生息しており、善玉菌優性の腸内環境を作ることが、健康への近道だ。

「善玉菌を増やす食事法として、ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌を食事から取り入れて腸内の善玉菌を増やす『プロバイオティクス』と、善玉菌の“エサ” となる食物繊維やオリゴ糖を摂取してお腹の中の善玉菌を育てる『プレバイオティクス』という2つの考え方が提唱されてきました」

 その後、この2つを組み合わせて摂取すれば、より効果的に腸内環境の改善を図れるのではないかという概念が生まれた。それが「シンバイオティクス」である。

「それぞれに属する食材をざっくりと頭に入れておき、メニューを考える際、両方の食材を組み合わせれば、腸内環境を整えるためのダブル効果になります。面倒なカロリー計算もないので簡単に実践できます。それに、『まごわやさしい』の食材と重なるものが多いので、日常の食事作りの際のヒントにもなると思います」

■献立づくりの強い味方!■
2成分の組み合わせで腸への相乗効果を目指す!

【プロバイオティクス】生きた善玉菌を腸に届け、有害菌の活動を抑える成分

【プレバイオティクス】腸内細菌の“エサ”となり、善玉菌を育てる成分 

 興味深いのは、ダイエットの敵と目される糖質に含まれるでんぷんが、実は健康にいいということだ。

「でんぷんの中には、消化されずに大腸まで届くものがあり、これは『レジスタントスターチ』と呼ばれています。食物繊維のような働きをする『プレバイオティクス』の仲間で、ご飯も冷えるとレジスタントスターチに変わります。つまり、炊きたてご飯よりも、おにぎりやお寿司の方がレジスタントスターチの豊富なヘルシーフードになる。お弁当の冷やご飯も、温めずにそのまま食べた方がいいですね」

 知れば知るほど奥深い腸活メニュー。これを機に、ふだんの食事を見直してみよう。

時短! 簡単!!  おすすめ腸活(シンバイオティクス)メニュー5

【1】<みそ> 大根のピリ辛みそサラダ

細切りにした大葉(10枚)、かつおぶし(小分けパック1袋)、すりごま適量、ラー油少々、亜麻仁油(大さじ1)をみそ(大さじ2)と合わせ、細切り大根とあえる。

【2】<ぬか> ぬか漬け炒め

きゅうり、白菜など好みのぬか漬け(50g)と細切りのにんじん(1/2本)をオリーブオイルで炒め、かつおぶしとすりごま(各適量)をかける。

【3】<納豆> しらすとめかぶ納豆

納豆(2パック)にしらす適量、めかぶ(小分けパック2つ)、かつおぶし適量を加えて混ぜる。

【4】<塩麹> きのこの塩麹米粉パスタ

米粉パスタ(160g)を茹で、きのこの塩麹漬け(茹でたえのきたけやしめじ、それぞれ1パック)、しいたけ(4枚)を熱いうちに塩麹(大さじ1)に漬けたものと炒める(絡めるだけでもOK)。

【5】<豆乳>  フルーツ豆乳ヨーグルト

市販の豆乳ヨーグルト(300g)にバナナ(1本)、りんご(1/2個)、はちみつ、きなこ(各大さじ1)、ごま適量、亜麻仁油(大さじ1)を加える。

教えてくれた人

青木厚さん/医学博士。あおき内科 さいたま糖尿病クリニック院長。生活習慣病の治療を専門とし、著書に『「空腹」こそ最高のクスリ』『内臓リセット健康法』(ともにアスコム)。https://www.aoki-n-r.jp/page1

島田旬志(じゅんじ)さん/ファスティングの専門家として一般から芸能人、アスリートまで幅広く指導を行う。各種SNSでも情報を発信中。著書に『人生が好転するファスティング』(セルバ出版)。https://ameblo.jp/js-fasting/

取材・文/佐藤有栄 イラスト/はまさきはるこ

※女性セブン2021年3月4日号
https://josei7.com/

●免疫力UPに!発酵食品で作る健康鍋レシピ|いつもの鍋にキムチ、塩麹…をプラス

●「納豆」最強の食べ方6選【まとめ】|血栓予防に認知症予防も!

●失敗しない【ぬか漬け】入門|ぬか床の作り方、野菜別漬け方、ぬか漬けのお悩みQ&A

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