猫が母になつきません 第222話「きずつく」
猫は悪口がわかる。言葉が理解できるわけではなくて、耳がとてもいいので人間と暮らしているうちに声のトーンや口調で経験的にわかるようになるらしいです。母が猫を抱っこしたそうな時は私が抱っこして母のところまで連れて行くのですが、母は近くでまじまじと見ながら顔が「こわい」とか「かわいくない」とか言うので、さびはすぐに逃げてしまいます。もともと抱っこがあまり好きではないさび、しかし飼い主が望めばある程度は我慢して抱っこさせてくれる気遣いの猫です。それなのに…ゴメン。私も母の言葉に傷つくことはよくあります。「高齢者だから」とか「遠慮がないから言える」とか「悪気はない」とかそういうことで自分の傷ついた気持ちを押し込めていても、やはり言葉というのは残るものです。在宅介護においては肉体的、金銭的負担よりも精神的な負担が一番大きいといわれるのも納得。さびを追ってだーっしゅ!!(気持ちだけ)。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。