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事業者が5年で4倍に急増!おひとりさまの老後を託す「終身サポート」の実態と費用相場、事業者を選ぶポイントを専門家が解説

 多くの事業者が参入し、2024年に事業者向けのガイドラインができた高齢者等終身サポート。身寄りがいないおひとりさまや親族に頼りたくない高齢者にとって便利なサービスだが、現在過渡期の業界で事業者選びがポイントになるという。老後の不安に寄り添う終身サポートの活用術を専門家に聞いた。

教えてくれた人

黒澤史津乃(しずの)さん/高齢者等終身サポートアドバイザー、行政書士、消費生活アドバイザー、OAGウェルビーR代表取締役。全国高齢者等終身サポート事業者協会理事長。親や自身の介護、終活の“基本のき”を学び、情報交換ができるオンラインサロン「大人の未来LABO」が2月より運用スタート。共著書に『家族に頼らないおひとりさまの終活』(ビジネス教育出版社)ほか

家族に代わる「終身サポート」という選択

「誰にも迷惑をかけたくない、でもその方法がわからない」という人の味方になると注目されるのが「終身サポート」。入院や転居に必要な身元保証、安否確認や通院の付き添いといった生活支援から葬儀や埋葬、死後事務などの手続きを、家族に代わって事業者が行ってくれるサービスだ。おひとりさまの増加に伴い、そのニーズは高まっている。

 サポート先の選択肢は、主に3つ。

「民間による『高齢者等終身サポート事業者』と、自治体や社会福祉協議会(地域に設置された非営利組織)が運営するものがあり、事業者によってサービス内容や利用条件、費用などが変わってきます」(高齢者等終身サポートアドバイザーの黒澤史津乃さん・以下同)

 身の回りの世話は親族に、死後の手続きは専門家に頼むなど、事柄に応じてサポート先を変える方法もある。

 健康状態、予算の事情などでサポートを受ける時期は人それぞれだが、意思決定しておくと安心だ。

誰に相談したらいいの?<老後生活の主なサポート先>

主なサポート先を紹介する。

【サポート先1】高齢者等終身サポート事業者

 民間企業が運営。生前から死後事務までトータルでサポートが受けられる半面、事業者選びが難しく、地域に事業者がいないことも。初期費用の目安は100万〜200万円。

【サポート先2】自治体、社会福祉協議会等

 自治体から委託を受けた社会福祉協議会などが運営。地元という安心感があり、民間業者より費用も安い。65才以上を対象とし、葬儀・埋葬を行える親族がいないことなどの条件がある。費用の目安は数十万円〜。

【サポート先3】親族や友人、民間事業者、自治体などを組み合わせる

 死後の手続きは民間事業者、遺言は公証人、日常の支援は知人など、目的に応じて支援先を選ぶ。費用が抑えられるが、知人からの支援が受けられなくなったなど不測の事態も生じやすい。

自立期から死後までを丸ごとサポート。高齢者等終身サポート事業者の活用法

 民間の「高齢者等終身サポート事業者」が提供するサービス内容を、黒澤さんが代表を務める「OAGウェルビーR」の「ベーシック会員」を例に見てみよう。

「生前から死後まで、トータルでサポートするものです。『生活環境整備』とは、病院から自宅に戻る際のバリアフリー化や介護保険の準備など、日々の生活環境を安全にするための提案をすること。また、延命治療を望むかどうかの意思もあらかじめお聞きします」

 出歩くのが困難になったときの支払いの代行も担ってくれるという。

「ただ、認知症になった場合、賃貸マンションの解約や老人ホームなどの施設の入居金の契約・支払いといった行為は、法的に権限を与えられた後見人でないと行えません。サポートに登録後、認知症になるというかたも多いので、発症してからもサポートが滞らないよう、事前に任意後見契約を結びます」

 登録の年齢制限がなく、サポート範囲が広く、安心感があるのが民間業者のメリットだが、その分費用が高く、事業者選びが難しいというデメリットも。

「家族に代わって登録者のかたの人生をお預かりする、大変責任の重い事業ですが、どうしても丸抱えでブラックボックス化しやすい点が問題です」

主なサポート内容(OAGウェルビーR「ベーシック会員」の場合)

意思決定・実行支援

●生活環境整備

●入院・手術・通院対応

●延命治療の希望などの伝達

●安否確認・生活状況把握

●入院・入居時の身元保証

●居所の選定支援

●葬儀・納骨その他の死後事務

日常生活支援

●外出・通院同行など

金銭管理

●支払い代行、後見契約

●死後事務原資の預かりと支払い

費用の目安

 契約金88万円、死後事務預かり金100万円〜。月会費 年齢により異なるが、たとえば70〜74才で1万3200円。会員の同居人に対する「同居人割」がある(同居している期間に限る)。

※上記のサービスをトータルで行う事業者、身元保証だけを行う事業者など、サポートする種類は事業者によって異なる。それにより費用も大きく変わる。

5年間で4倍増!事業者選びのポイントと落とし穴とは

 2009年頃に「孤独死問題」が話題となり、2012年に「終活」が流行語になるにつれ、事業者が増加したという。

「2017年から2022年までの5年間で、事業者数が4倍に増えました。にもかかわらず監督官庁がなく、参入の規定などの法整備がなされていなかったため、怪しい事業者も増えました。ようやく、2024年6月に『高齢者等終身サポート事業者ガイドライン』が策定されましたが、その状況はあまり変わっていません。そこで、私たちは『全国高齢者等終身サポート事業者協会』を設立し、今春からガイドラインを遵守した事業者を正会員として登録すべく、審査を始めるところです」

 過渡期のいま、事業者を選ぶポイントは何か。

「この事業は法律、福祉・医療、不動産など、かかわる分野が多岐にわたるので、行政書士や弁護士、不動産鑑定士などそれぞれの分野の専門家がそろった事業者は信頼できると思います」

 事業者選びの「落とし穴」も知っておこう。

「すぐに遺贈寄付をすすめてくるところには気をつけましょう。規定の報酬・手数料を極端に安価に設定していたり、死後の預託金(前払い金)を不要としたうえで、遺贈寄付により遺産で帳尻を合わせようとするやり方は適切とはいえません。

 また、老人ホームの紹介会社が事業者だった場合、まだ必要がないのに老人ホームへの入所をすすめるといった『利益相反』が起きることも。そうしたサービスを求めるかたもいるので一概にダメとは言えませんが、トラブルのもとになることもあるため、説明をよく聞く必要があると思います」

 人生を託す大決断になるゆえ、性急に結論を出さず、複数をリサーチすることが重要だ。

取材・文/佐藤有栄 イラスト/細川夏子

※女性セブン2026年3月5日号
https://josei7.com

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