健康

デジタル画面の見過ぎで認知症に!?|デジタル疲労度をチェック|脳疲労の解決法

 家にいる機会が増え、パソコンやテレビ、スマホを見る時間が激増。「目が疲れた~」「首がカチカチ~」などと体が悲鳴を上げている。この、デジタル画面の見すぎは老眼に追い討ちをかけ、頭が前に傾く「ストレートネック」を引き起こす。すると、眼精疲労や首痛が慢性化して…。

 放っておいて認知機能を低下させないために目と首の痛みの改善法を教えます。まずは、その元凶かもしれない「脳の疲れ」についてのチェックリストから始めましょう!

あなたのデジタルによる“脳過労”度は?

 目と首のコリのもとは脳疲労かもしれません。まずは、3つのチェックリストで疲労度をチェックしてみましょう。

【行動チェック】

□家事の間もテレビはつけっぱなし
□気がつくとテレビ・スマホを見ている
□出てこない言葉はスマホで即検索
□備忘録としてスマホで写真を撮っている
□スマホなしでは目的地へ行けない
□いつも時間に追われている
□世の中の情報に乗り遅れたくない

【脳チェック】

□人の名前がすぐに出てこない
□何かを取りに来て、その目的を忘れる
□3日前何をしていたか思い出せない
□最新ニュースを3つ挙げられない
□以前より漢字が書けなくなった
□簡単な計算を間違えることがある
□道順が覚えられなくなった

【心身健康チェック】

□頭も体も、常に疲れている
□慢性的に睡眠不足だ
□体のあちこちに不調がある
□集中力がなく凡ミスが増えた
□ものごとに興味がなくなった
□家事や仕事の段取りが悪くなった
□最近あまり笑っていない

 14項目以上当てはまる人は「脳過労の危険度大」、7~13項目当てはまる人は「脳過労の危険度中」です!7以下の人は、危険度が上がらないよう、注意しましょう!

“脳過労”は、認知症につながる危険性大!? 知らないうちに陥る「デジタル依存症」

●目や首の痛みの原因「脳過労」とは

 上記のチェック項目にある現象の多くは、中高年になれば経験するものだと思う人もいるかもしれないが、その原因は老化だけではない。

 24時間途切れることなく情報が流れる現代。便利な半面、私たちの目や首は酷使されている。と同時に、脳には処理能力の限界を超えたゴミ(不要な情報)がたまっていく。これにより、心身の不調が生じるというのだ。

「毎日テレビやスマホをよく見る人の目や首の痛みは、『脳過労』が原因の可能性があります」

 そう言うのは、脳のエキスパートである脳神経外科医の奥村歩さん。

「たとえば、首が痛いと思っても、実は痛みを感じているのは脳なので、脳過労で誤作動が起こると、悪くもないのに体のあちこちが痛くなったりイライラする。目や首、姿勢などにいくら気をつけても、脳の体調管理システムが疲れていては、不調は解消されないでしょう」(奥村さん・以下同)

●脳にゴミがたまり認知症につながる可能性も

 特に、忙しい女性は、要注意だという。

「家事や子育て、近所づきあいと、女性は男性よりマルチタスク(複数の作業をこなす能力。一見効率がよさそうだが実は効率が低下し、脳の疲労度を高めるといわれている)に長けています。いまは働く女性が増え、昔以上に脳はクタクタ。息抜きのつもりで見ているテレビやスマホが、さらに脳や体を疲れさせているのです」

 脳の処理能力が落ちると記憶力、思考力、集中力、判断力、コミュニケーション力、体力などが低下。脳のゴミは40~50代からたまり始めるため、その先の認知症につながる危険性も高まる。さらに恐ろしいのは「とりあえず見る」という行為が、依存症の一種であるとの指摘。

「脳は、疲れると手っ取り早く快感が得られるものに依存しがちです。たとえば、飲酒やギャンブルが代表的ですが、デジタル依存も同じ性質です。ハードルが低いという点では、むしろ飲酒などより危険かもしれません」

目と首をデジタル情報のシャットアウトで守る!「ぼんやり」して脳を活性化

●ぼんやりする時間を作る

 そんな怖い脳過労を軽減するにはどうしたらよいのか。

「20年ほど前に発見された『デフォルト・モード・ネットワーク(以下DMN・詳細は左上に)』が機能する時間を作ることが大切です」

 かつては、脳は活動しているときにのみ、働いていると思われていたが、この発見により、ぼんやりしているときにこそ、脳内ではものすごい勢いで情報の取捨選択や優先順位付け、さらには心身を安定させる働きまでもが行われていることが解明されたのだ。

「現代人は視覚から得る情報が多いため、目や首が酷使され、疲労に直結しやすい。そのため、過労を助長させるテレビやスマホ、ラジオなどの人工的な視覚・聴覚情報を遮断し、ぼんやりと何も考えないDMNの時間を作ることが大切なのです」

 意識的にぼんやりするには、皿洗いやぞうきんがけ、青竹踏みなどのリズミカルで単純な作業、散歩などがおすすめだ。その際、歌詞のないクラシック音楽なら流してもOK。

「衰えがちな嗅覚や聴覚を鍛えるためにも、季節を鼻や耳で感じながら歩くのも効果的。電車の窓から過ぎゆく景色を眺めたり、入浴もいいですね。いずれも目的を持たず、無心でいることが重要です」

 テレビやスマホを見る前に、「いま、必要なのか」を自問することも忘れてはいけない。

「私はDMNを、デジタルから離れて“我に返る行為”だと思っています。DMNが活性化されれば、脳は何才になっても進化を続け、心身の健康につながるのです」

【デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)とは…】

 脳内にあり、無意識にぼんやりとしているときに働く機能で、脳が使うエネルギーの75%前後が、ここで消費されているという。

 前頭葉の内側前頭前野や後帯状皮質、その他の脳領域から構成されている。情報の整理整頓や傷ついた脳を修復するほか、DMNのハブ(集積機)である前頭葉では、心身の体調管理も行われている。リンゴが落ちるのを見たニュートンが万有引力を発見し、山中伸弥教授がシャワー中にiPS細胞のアイディアを思いついたなど、クリエーティブなひらめきにもかかわっているといわれている。

教えてくれた人

脳神経外科医・奥村歩さん/おくむらメモリークリニック院長。「もの忘れ外来」にて延べ10万人以上の患者を診断。『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?』(幻冬舎)ほか著書多数。

※女性セブン2020年6月25日号
https://josei7.com/

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