介護施設訪問レポート|離職率9%!人材育成に力を入れている総合福祉施設<後編>
高齢者向けの住宅の中から、話題の施設をピックアップ。記者が訪問し、施設で働く人の思い、設備、サービスなどをレポートする。今回は、東京都杉並区にある総合福祉施設「リバービレッジ杉並」だ。
リバービレッジ杉並
急速に高齢化が進んでいる日本。65歳以上の人口は2042年に約3900万人となり、ピークを迎えると予想されている。国はその対策として、高齢者の尊厳の保持と自立支援のために、できる限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるように支援・サービス提供体制の構築を目指している。これが地域包括ケアシステムと呼ばれているものだ。
特別養護老人ホーム(以下、特養)、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、訪問看護の4つのサービスを地域に提供しているリバービレッジ杉並。多岐にわたるサービスの中で、地域の高齢者のニーズにきめ細かい対応しているのが小規模多機能型居宅介護だという。
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地域のニーズに応える小規模多機能型居宅介護
2006年から制度化された小規模多機能型居宅介護は、住み慣れた地域で、通い・訪問・宿泊サービスを組み合わせて24時間365日利用者の暮らしを支えるもの。地域包括ケアシステムの中心としての役割が期待されている。
「小規模多機能型居宅介護は地域密着型で、必要なサービスを組み合わせて利用することができます。ショートステイやデイサービスのようにも使えますし、自宅にヘルパーを呼ぶこともできます。例えば、月曜日と火曜日はデイサービス、木曜日は家にヘルパーのサービスを利用し、週末だけ泊まるという利用の仕方が可能です。利用料が月額定額制であることも特徴ですね」(リバービレッジ杉並統括施設長の野崎康弘さん。以下、「」は同)
小規模多機能型居宅介護の月額利用料は、宿泊費や食費、おむつ代などの実費を除いて、利用者の介護度や負担割合に応じた定額制となっている。そのため、毎月の介護保険利用限度額を超えてしまう不安はなく、家族の都合に合わせた利用もしやすい。また、同じ場所で顔なじみのスタッフにサービスを受けられるので、環境変化に敏感な認知症の人でも安心しやすいという。
地域の総合福祉拠点として、住み慣れた地域で健康に暮らしていくためのサポートをするためには、医療面の体制整備も欠かせない。リバービレッジ杉並には、看護師が日中の時間帯に常駐しているので、利用者に何か問題が起こってもスムーズに医療につなげることができるという。また、看護師のいない時間帯の対策として、機能強化型在宅療養支援診療所を運営している医療法人社団「悠翔会」と連携しているそうだ。機能強化型在宅療養支援診療所とは、24時間往診に対応できる体制を確保することや過去1年間の緊急往診の実績件数など、厳しい基準を満たしている診療所のこと。ターミナルケアを積極的に行い、全国的にも評価されている悠翔会との連携は、利用者や家族にとって大きな安心感となっているようだ。