介護施設訪問レポート|離職率9%!人材育成に力を入れている総合福祉施設<後編>
人材不足に長年悩んでいる介護業界。苦労して採用した介護職員の離職率の高さに頭を痛めている施設は多く、職員の不足感を訴える声は70%近くにも達している。平均離職率は16%前後で推移しており、介護の質に直結する職員の能力を継続した教育によって高めようにも現実は厳しい。そのような状況のなか、リバービレッジ杉並を運営する真光会(しんこうかい)の離職率は9%だという。
「介護の仕事はネガティブなイメージを持たれがちですが、人生の大先輩をお世話できる魅力的な仕事です。キャリア支援や働きやすい職場の整備、理念の共有を進めて、専門性を持った意欲のある人材を育てています。職員がいずれ外に出た時に、地域の介護の質を高めていく人材に成長してほしいですね。ここに来れば成長できると言われることを目指しています」
こちらでは、利用者のニーズ、期待に応えられる人材を育てるために、ワークスタイルの選択制を導入しているという。また、キャリアアップのために取り組みを行っているそうだ。
「1日8時間勤務・週休2日か1日10時間勤務・週休3日というワークスタイルから選べるようにしていて、ライフスタイルに合わせた働き方ができるようにしています。また、資格支援制度を導入し、資格取得や研修参加のために費用を補助したり、休みを調整しています」
それぞれの職員が描く将来像に合わせたキャリアのコースを用意し、はしごを登っていくように成長できる仕組みを用意。ケアを極めていくケア熟練コースや教育・指導者を目指すコース、施設長などマネジメント職を目指すコースなどが用意され、目標を持って介護の仕事を続けていくためのステップが評価方法と共に仕組み化されている。将来の目標を明確にしておくことで、日々の仕事への取り組み、利用者への接し方が変わっていくという。これらの施策が離職率9%という結果を生み、利用者の満足を高めることにつながっているそうだ。
いかがだっただろうか。小規模多機能型居宅介護は地域の高齢者のニーズに柔軟に合わせられるため、高い利用率を維持しているという。特養など他のサービスを含めて質の高いケアを支えているのは人材育成の賜物。間もなく1年を迎えるリバービレッジ杉並が、総合福祉施設として地域の福祉を支えていく様子が目に浮かぶ。
撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ
【データ】
施設名:リバービレッジ杉並
公式WEBサイト:https://rvsuginami.jp/
所在地:東京都杉並区清水3-3-13
最寄駅:JR「荻窪」駅からバス(7分)「中瀬中学校」下車徒歩4分、西武新宿線「下井草」駅から徒歩15分、または「下井草」駅からバス(5分)「中瀬中学校」下車徒歩4分
類型:特別養護老人ホーム、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、訪問看護
運営法人:社会福祉法人真光会(しんこうかい)
敷地面積:3506.83平方メートル
延床面積:3882.84平方メートル
室数・定員: 特別養護老人ホーム・60人、ショートステイ・10人、小規模多機能型居宅介護・登録定員29人、通い18人、宿泊9人、訪問看護(外部事業所と事業連携)
入居要件:特別養護老人ホーム・、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、訪問看護
構造:鉄筋コンクリート造・地上3階
開設年月日:2019年3月1日
料金:小規模多機能型居宅介護の月額料金の目安
(1)基本サービス+(2)サービス提供体制強化加算+(3)総合マネジメント体制強化加算+(4)訪問体制強化加算+(5)介護職員処遇改善加算+(6)自己負担
(1)要支援1・1割負担3793円~要介護5・3割負担8万9790円
(2)1割負担710円~3割負担2131円
(3)1割負担1110円~3割負担3330円
(4)1割負担1110円~3割負担3330円
(5)総単位×10.2%分の金額
(6)食事代:朝食400円・昼食620円・夕食510円、宿泊費1泊3100円、おむつ代実費、おやつ代110円
例:要介護1で1割負担の利用者が週2回の通いサービス、週に1回2泊3日の宿泊サービスを利用した場合:月額5万8808円
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。