失敗しない介護食とろみのつけ方Q&A|誤嚥防ぐとろみ濃度を実演
水溶き片栗粉だと失敗しやすい「とろみのつけ方」について、介護食の指導や実演を行なっている宮源の高橋浩幸さんに聞いた。介護食に必要なとろみのつけ方の基本から便利なとろみ調整食品、誤嚥を防ぐとろみの濃度まで、Q&A形式でやさしく解説。
Q:介護食でとろみが必要なのはなぜ?
A:噛む力が弱り、飲み込む力が落ちてくると、食べ物がいきなり喉に入ったときにむせてしまったり、誤って気管に入ってしまったりして、いわゆる誤嚥の原因になります。これを防止するために、とろみが必要です。大きくわけてとろみをつける目的は2つ。
【1】液状の食材、飲み物の、喉へ流れ込むスピードを遅くします。
加齢や、病気の為、飲み込みのタイミングが合わなくなって、むせてしまうことがあるので、口の中での水分や、液状の食べ物の動きを遅くさせるのです。
【2】粘度をつけて、食べ物をまとめやすく、飲み込みやすくします。
食べ物を噛みすりつぶした後、飲み込むために舌や唾液でまとめるのですが、唾液分泌が少なってきたり、舌の機能が低下してきたりすると、食べ物をうまくまとめることができません。そこで、上手に食べてもらうために、とろみ剤等で粘度をつけて、まとめやすく、飲み込みしやすく調整するために使います。
Q:お茶や水などの飲み物にもとろみは必要?
A:必要です。液体は固形物よりも喉に流れ込むスピードが速いため、お茶や水でも誤嚥の原因になり得ます。その人の嚥下機能の状態によって適正な粘度があるので、医師や管理栄養士さんに確認してください。
Q:とろみをつけるにはどんな方法はありますか?
A:水溶き片栗粉を入れて加熱をする方法のほか、小麦粉で練り上げたり、たんぱく質の粘性を使用したり、市販のとろみ調整食品を使う方法も。
最近では、簡単に粘度の調整ができて、調理の手間がかからない、とろみ調整剤を使用する人が増えています。粘度の変化も少なく、溶かすだけなので加熱の必要がありません。
『トローミファイバー』(宮源)の場合、体にやさしい水溶性食物繊維が原料。無味無臭で食べ物や飲み物の味を変えることもありません。
なお、デンプンを主原料とする片栗粉でつけたとろみは、冷めるととろみが弱くなり、時間がたつと分離してしまったり、唾液などによりデンプンが分解されて、ゆるみやすくなったりします。その点、とろみ調整食品はしっかり溶かせば形状が安定するため、素材を選ばずとろみをつけやすいというメリットがあります。
Q:とろみ調整食品の使い方は難しくない?
A:飲み物、液状の食べ物に溶かすだけで、とろみがつくので簡単です。
ただし、分量を正しく計測することが大事。各メーカーごとに商品の特性があるので、必ず使用前にパンフレット等を確認してください。それでもわらない場合は、メーカーに直接聞いて下さい。みなさん優しく教えてくれますよ。