【肩こり】治らない原因、実は肘下、腰、股関節にあるかも
日本の肩こり人口は約1200万人。2013年の「国民生活基礎調査」(厚生労働省により実施)によると、体の不調箇所の女性1位、男性2位が、肩こりだった。マッサージなどのケアをしても改善しない長引く肩のこりや痛み。実は、ほかに原因があるのです。
湿布を貼っても、マッサージや鍼治療などをしても、すぐにぶり返す肩こり。一体、なぜ治らないのか?
「肩から背中にかけてが常に張った状態」のこりはどこ?
肩こり歴12年の里田恵梨子さん(35才・会社員)とともに、肩こりなど慢性痛の専門医で、横浜市立大学附属市民総合医療センター麻酔科ペインクリニックの北原雅樹さんを訪ねた。(※『横浜市立大学附属市民総合医療センター麻酔科ペインクリニック』は、現在新患の受付を停止しています。相談は『認定NPO法人 いたみ医学研究情報センター』まで)
里田さんの仕事は、デスクワーク中心。普段からパソコンを使うことが多く、家では5才の娘を抱き上げることも多いため、肩から背中にかけて常に張った状態だ。
そんな症状を告げると、家庭環境や仕事についての問診後、北原さんは肩を軽く触ってこり具合を確認。首を前後左右に傾けるなどして、具体的に、どの部分にこりや痛みがあるかを探っていく。
猫背、眼精疲労、巻き肩が影響
「パソコンやスマホなどを使う機会が増えると、肩こりが起きやすくなります。猫背などの姿勢の悪さや、眼精疲労からくる場合もあります。
腕や手、指の状態を気にしていない人が多いのですが、手が硬直すると、腕全体の使い方がおかしくなり、肩にも影響を与えます。里田さんの場合、肩が内側に入っている巻き肩になっているから、腕もこっているはずですよ」(北原さん・以下同)
里田さんのように肩こりで来院する患者さんには、肩首以外に大きく分けて次の3か所を確認するという。
【1】肘下にこり固まった部分があるかどうか
写真の腕の辺りを北原さんが触ると、里田さんの顔がゆがむ。こり固まった部分はゴリゴリしており、触っただけで痛いのだ。
腕を曲げたときにできるしわの上側の部分を触るとゴリゴリし、痛みがあるなら腕橈骨筋(わんとうこつきん)がこっている。指がこっていれば、指の付け根部分を触ると痛みを感じる。
ちなみに、親指と人さし指の骨が交差する手のひらのくぼみ(合谷のツボ)に痛みがあれば、腕~肩がこっている。
【2】仰向けに寝て、腰の隙間に手が入るかどうか
仰向けに寝て腰が浮き、隙間があれば注意が必要だ。仰向けに寝たとき、腰と床の間に隙間ができる「反り腰」は、腰や首肩に負担がかかりやすい。この姿勢で寝るのがつらいため、睡眠の質も悪くなる。
「中央で指先がついてしまうほど隙間がある場合は、寝れば寝るほど疲れやすい傾向にあります。
これは、インナーマッスルである腸腰筋が縮んで硬くなり、骨盤が前傾しているから。いわゆる反り腰になっているため、腰の動きが悪くなり、これに連動して首や肩にこりが生じます」
【3】仰向けに寝て、股関節が開くかどうか
仰向けに寝て、片足の膝を曲げて外側に倒していく。里田さんの場合、股関節が硬く、ベッドから約30度の角度までしか開かなかった。
骨盤が前傾気味で股関節が硬い場合、深部筋である腸腰筋や内転筋が硬いことが多い。腰回りの動きが悪いため、上半身でバランスを取ろうとして、肩に負担がかかる。
「本来なら膝がベッドに着くくらいまで開きます。股関節が硬く、動きが限定されると腰に負担がかかり、さらには肩こりになるんです。
このままでは肩をいくらマッサージしても、こりはぶり返します。腰と下半身のケアをしっかりすることが、こりの解消につながりますよ」
里田さんのようなケースは、子育て中やデスクワークが多い女性によく見られる症状だ。
撮影/矢口和也
※女性セブン2017年11月23日号
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