名取裕子 愛憎入り交じる継母の介護と最期にかけた言葉告白
「家を出て、身の回りのことをすべて自分でやらなくてはならなくなったときに、名取さんは継母も継母なりに面倒を見てくれていたことに気づいたそうです。それからは、両親のために家を建てたり、旅行にも連れて行ったり、少しずつ雪解けしていったようです」(名取の知人)
「同級生」みたいな最愛の父は1996年に亡くなった。継母との関係を思い悩むさなか、継母がアルツハイマー型認知症を発症。20年近い介護生活が始まる。
「夫の死に、継母は人が変わったようにふさぎ込むようになり、徐々に認知症の症状が表れたようです。そんな継母を見て、名取さんは父を本当に愛してくれていたんだと感じ、継母の面倒を見ようと覚悟を決めたそうです」(前出・知人)
多忙な女優業と介護生活。兄は結婚して実家を離れていたため、独身の名取はひとりきりで継母を看続けた。次第にストレスが募っていき、自律神経失調症で倒れたこともあった。それでも名取は、継母が寂しがらないように、継母が入居する老人ホームへ通った。
「すっかり幼女に戻ったようなお義母さんに対して、名取さんは髪を洗ってあげたり、一緒に散歩をしたりしていました。名取さん、とにかく面倒見がいいですからね。“病気は進んだけど、かわいくなって“と話すまでになっていました」(前出・知人)
継母が亡くなったのは2015年3月。体調が急変したと連絡を受けた名取が駆けつけてすぐのことだった。
「亡くなったことはごく親しい人にしか伝えていませんでした。わだかまりがなくなっていたとはいえ、名取さんの中で継母との関係と、その死を消化するのには、時間が必要だったのではないでしょうか。その話題を自然に口にするようになったのは、ごく最近のことです」(前出・知人)
「大丈夫だよ、もう頑張らなくていいよ」
今年6月、『サワコの朝』(TBS系)に出演した名取は、介護生活には触れながらも継母の死については明かしていない。本誌・女性セブンは名取に直接話を聞いた。
──朝日新聞の記事が話題です。お義母さんの介護が大変だったそうですね。
「いえいえ、私は何もしていないので。施設に入ってよく看ていただけただけなのでね。何もしてなくて申し訳なかったぐらい。でも、最後は本当に、(亡くなったのが)私と会ってすぐだったので…」
──看取ることができたんですね。
「そうですね、本当に最後のところで。それで(継母に)“大丈夫だよ、もう頑張らなくていいよ”って言ってあげたらすぐに召されたので。そう声をかけてあげられたのがよかったなと思っています」
──大人になってから、お義母さんとの関係性が変わったそうですね。
「あんまりもうお答えするのは…でも、90才で天寿を全うした感じで、本当にみなさんによくしていただけました」
愛する3人の肉親の死を乗り越えた彼女は今、愛犬とメダカの世話を焼きながら、忙しい毎日を過ごしている。
※女性セブン2017年10月5日号
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