合計年齢375才!「快速四兄弟」に学ぶスーパー高齢者への道
世の中には遺産相続や親の介護などさまざまな要因で仲違いする兄弟が多いが、この兄弟4人が集まると、いつも笑顔が絶えない。
「けんかすることはありますか?」と記者が尋ねると、良作さんがこう答えた。
「けんかはそんなにないけど、意見が合わん時はあるわな」
関係がギクシャクして、誰かが集まりに出なくなることもあるが、少し時間が経つと“元サヤ”に戻るという。
「腹が立ったら集まりがあっても2、3回は行かんとこうと思うけど、4回目には『もうええか』ってなるんや。ほかに行くとこもないしな(笑い)」(栄一さん)
どうしようもなく腹が立った時、四兄弟には、気持ちを治める「ルーティン」がある。
「腹が立った時は、家の水槽を1時間でも2時間でもじーっと見てるんや。すると気持ちが落ち着いて、イライラがだんだん消えていく。魚が動いているのを見ているとほんとに落ち着くで」(栄さん)
良一さんの解決法は、「少しでいいから我慢する」だ。
「言い争いになった時に自分の思いを通そうと思ったら、さらにひどい争いになるけど、少し我慢すれば自然に落ち着くわね。人間は我慢することで初めて芽が出るんや。何でも我慢なんやで(笑い)」
親しき仲にも礼儀ありの精神で
実はこれらの解決法は、争いの多い現代の家族にとっても有効なものだ。
家族問題評論家の池内ひろ美さんが指摘する。
「本来、同じ環境で育ってきた兄弟は価値観が似ているため仲がいいもの。争いになる理由は、それぞれに配偶者や子供ができて“他人”が身内に入ってくることにより、意見の違いや競争心が生まれ、ぎくしゃくしてしまうのです。集まるときに兄弟だけで集まるというのは、いくつになっても仲よくいられる秘訣なのかもしれません。また、仲のいい兄弟や恋人の間でも“親しき仲にも礼儀あり”の精神は絶対に必要です。意見をぐっとこらえて我慢したり、一旦距離を置こうとすることは、4人が“礼儀”を持って兄弟づきあいをしているがゆえの行動なのだと思います」
超高齢化時代の今、私たちはいろいろなことを、この兄弟から学ぶことができる。
日本人初の100m9秒台を出した桐生選手の存在が刺激に
4人が出るレースは今年が最後とされる。でもまた4人の走りを見たいと願う人は多いはずだ。良一さんが言う。
「もう100才でまた来年も走りたいけど、無茶にやることもないわな。これで終わりが最高でねえかなって。でも来年は走らんでも、1年おきか2年おきに走るようにすればいいかもな。毎年毎年じゃ面白みがないでしょうよ」
その気がないわけではないようだ。さらに、9月9日、桐生祥秀選手(21才)が福井県営陸上競技場(福井市)で日本人初の100m9秒台という記録を出したことは4人の気持ちをさらに前向きにしている。
「地元でこんなすごい記録が出て、みんなの記憶に残るなあ」(良作さん)
4人の“新記録”にも期待がかかる。
※女性セブン2017年9月28日号
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