ブログで人気!ばあさんとの愉快な毎日~「あっけらかん」と笑える介護<前編>
なとみさんが、夫の母親である“ばあさん”と同居を始めたのは約9年前。早くに夫を亡くした”ばあさん”は、千葉県内で元気に一人暮らしをしていた。ところが、胆石の治療のために数か月間入院したところ認知症の症状が見られるようになり、小学生の息子と3人暮らしだったなとみ夫妻は同居を決意。手狭だった家からも引っ越して、まったく新しい環境での生活を始めた。
同居当初こそ一時的に認知症が進んだが、家族と一緒に生活するようになって見る見る改善。そこから数年は介護認定も要介護1と要支援を行ったり来たりする程度まで落ちついていた。しかし、2、3年くらい前からは、転倒や熱中症など体調の変化があるたびに認知症状が進み、できないことが増えていったという。
「そんなとき、実の息子である夫は、怒っちゃうんですよ。『諦めないでリハビリを頑張れ!』って。母親の老いを認められないんですね。でも、できないことを認めて、寄り添い方を変えることも大切。諦めることは必ずしもネガティブなことじゃないって、何度も大げんかしました」
つまみ食いとの攻防もユーモラスに
普通なら「ボケちゃった?大丈夫?」と不安に感じたり、イライラしてしまうようなことでも、なとみさんの漫画ではクスッと笑える話になる。食いしん坊な”ばあさん”とのバトルの話など、食べ物にまつわる話は必読!
「ばあさんは糖尿病や腎臓病の持病があったので、あまり食べ過ぎてはいけないとお医者さんから言われていたんですよ。でも、とにかく食いしん坊で、目に付くところに食べ物があると何でも食べちゃう。なんとか隠しておこうと、食べ物を高いところにしまったりするんですが、それも見つけて食べてしまって。しかも、嘘をついているのか、ボケているのか分からないんですけど、食べていないとか言うんです。一度なんか、夕食のために作っておいたカレーを『これは夕ご飯だから絶対に食べないでね』と頼んで『絶対食べない』と約束したのに、帰ったら鍋の半分以上がなくなっていましてね。そのときも『食べてない』って言いましたけど、鍋から直接食べたようで床はカレーでべちゃべちゃだし。さすがに、あのときは頭にきましたけど、『子どもか!』っていうレベルの言い訳で、もう笑っちゃった」
現実には大変なことがたくさんあったはずだが、それでも可愛らしいばあさんを描き続け、読者を笑顔にし続けたなとみさん。本人も「笑いに変えなきゃやってられない」と笑うが、その視点をどうやって保ってきたのか。次回の後編では、介護生活を楽しむポイントなども話してもらった。
なとみ みわ
雑誌編集者、テレビ制作会社に勤務した後、イラストレーターに転身。ギャグ系4コマ漫画が得意。雑誌、書籍、ムック、広告等を中心に活躍するほか、オリジナルキャラクターの制作も行う。夫、息子、愛犬(ジャックラッセルテリア)と暮らす。2016年5月に介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)を取得。
ブログ「あっけらかん」https://ameblo.jp/akkerakan/
オフィシャルサイト http://www002.upp.so-net.ne.jp/natomi/index.html
撮影/松本幸子 取材・文/牛島美笛
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