サ高住で働く秋川リサ 「いつか自分も介護受ける」意識必要
認知症が進む人の生活には特徴があると感じる
母親の介護経験から、認知症の入所者にはつい敏感になってしまう。
「認知症が進んでいく人の生活を見ていると、面倒くさがり、趣味がない、人間関係を作らない、何に対しても興味を持たない…そういう人が多い気がします。やっぱり人間は多少のストレスを感じながらも、誰かに必要とされているという環境が大切なのかもしれませんね」
「どうせダメ」「年取ったから無理」「もういいの」。こういったキーワードが出てくると、心身がどんどん弱っていく。平均寿命が87才という今、年を取っても人生を楽しむという意識を持つことが大切なのだ。
“介護される側”になるには準備が必要だということにも気がついた。
「残念ながら認知症にならない保証は誰にもありませんよね。認知症でも“ありがとう”“ご苦労さまです”などと言ってくださる方と、そういう言葉が一切ない方がいます。なかには別人のようになってしまう方もいますが、やっぱり端々に人柄ってにじみ出るんですよ。そういう意味で自分が認知症になり得ると考えれば、少しでも愛される人間でありたいと思います。介護をする側は仕事ですけど人間ですから、感情がありますから」
そう、いつか自分も被介護者になるという意識が必要と秋川さんは言葉に力を込める。
「私も以前は介護は他人事だと思っていました。でも母の介護を終え、自分の年齢を自覚すると、そのうち介護される側になる可能性は大いにあると考えなければいけないと思うようになりました。だから認知症を予防できるのであれば努力しなきゃいけない。介護現場では、年寄りだけが寄り添っているのではなく、いろんな世代を巻き込んでの助け合いが必要になってくるんじゃないかな」
秋川リサ(あきかわりさ)
1952年東京生まれ。高校時代にモデルとしてデビュー。その後、女優、タレントとして活躍し、ビーズ刺繍作家という一面も。著書に実母の介護経験をまとめた『母の日記』(NOVA出版)がある。
撮影/浅野剛
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