倉田真由美さん「果物の味が染み渡る」くらたまね~&らいふVol.27
猛暑が終わり急に肌寒くなったせいなのか、インフルエンザの流行も始まっている。そんな中、漫画家の倉田真由美さんも「喉の違和感」を覚えた。体調を崩し、寝ていたときのこと。妹がしてくれた行動に、しみじみと子供時代を思い出し――。
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。夫の叶井俊太郎さん(享年56)の闘病から看取りまでを綴った書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
喉の痛みから始まった
久しぶりに体調を崩しました。
日中「ちょっと喉が痛いな」と感じたその夜、布団に入ってもなかなか寝付けず、具合も悪いので寝室を出て熱を測りに行きました。
「どうしたの?」
ベッドに戻ってきた時に気配で起きたのか、隣で寝ていた妹が聞いてきました。寝床の数の関係で、妹が来た時には私と妹はダブルベッドで一緒に寝ています。
「熱が出た。高熱ではないけど、38度くらい」
「え?そういえば、昼頃に喉痛いって言ってたね」
「うん。でも大したことないし、熱が出るとは思ってなかったよ」
「水でも持ってこようか?」と妹が言ってくれましたが、「今飲んできたから大丈夫」と断りました。こういう時、同じベッドで寝ていると相手に迷惑をかけてしまいます。その後もなかなか熱で寝つかれず、何度も寝返りを打ったりトイレに立ったりして、妹は熟睡できなかったと思います。
やっとうとうとした頃に目覚ましが鳴り、起きて熱を測ると37.4度。動けないほどではないので子どもに超手抜き弁当を作り、子どもを起こした後、超手抜き朝食を用意して再びベッドに潜り込みました。
ベッドの振動で目を覚ました妹に「熱はどう?」と聞かれたので、「微熱。7度4分」と答えました。
「そっか、でもつらいよね。後のことは私がしとくよ」
と、起き出しました。
「ありがとう。せっかく来てくれてるのにごめん」
「気にせんでいいよ。ゆっくり寝とき」
そう言って妹は寝室を出て、ドアを閉めました。妹の言葉に甘え、具合が悪い上に寝不足だった私はそのまますぐに眠りにつきました。目が覚めたのは昼頃です。
トイレに行った後熱を測っていると、妹が「お茶淹れようか」と言ってくれました。
「うん、あったかいお茶飲みたい」
「洗濯は終わっとるよ」リビングの椅子に座った私の前に、緑茶を置いてくれた妹がいいました。熱は37.2分、また少し下がっています。
「ありがとう」
「買い物行ってくるよ。何か欲しいものない?」
私は何か果物、とお願いして再びベッドに入ることにしました。
妹が買い物から戻ってきて…
布団の中でスマホをぽちぽちしたり、漫画を読んだりしていると、買い物から帰ってきた妹が「これ食べたら」と、りんごとオレンジをお皿に入れてペットボトルの水と一緒に持ってきてくれました。
皮を剥き、食べやすい大きさに切って爪楊枝を刺してある果物。誰かが自分のためにこれをしてくれるって、しかも弱っている時に、なんてありがたいんだろうとしみじみ感じ入りました。食欲はなかったけど、果物なら食べられます。私はすぐに、カットされたりんごに齧り付きました。
爽やかに甘いりんご。そして程よい酸味のオレンジ。ほてった身体に水分とビタミンが染み渡る気がして、一切れずつ、大事に食べました。
自分が子供の時は、母が果物を剥いたり切ったりしてくれていました。当時は当たり前のように感じていたけど、自分で剥くことが当たり前になってからは、口に入る果物の処理を人にやってもらう機会など皆無なことに今更ながら気づきます。
「あれって贅沢なことだったんだなあ」と当時を回想し、親子や姉妹でも少し皮の剥き方やカットの仕方が違うことを不思議に思いました。料理上手とは言えない母ですが、りんごをうさぎに切ったりすることもありました。私はりんごをうさぎにはしません。妹は、私のカットより小さめに切ります。
お世話になった妹には、全快したらご馳走するつもりです。「何食べたい?」と尋ねたら「焼肉」と即答されたので、コスパのいい美味しいお店を探しています。
