兄がボケました~認知症と介護と老後と「第90回 なかなか終わらない初回報告書」
認知症の兄のサポートを全方位で続けているライターのツガエマナミコさん。このたび、祖父母からの相続手続きのため、兄の成年後見人になることを決意、無事に申請が認可されたのですが、後見人の役割は思いの外難しく大変、「初回報告」から悪戦苦闘中です。病院の手続きなどもマナミコさんの役割。奮闘する日々を綴ってくれました。
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先が思いやられる
やっと初回報告書を家庭裁判所へ提出いたしました。正式な兄の成年後見人としての最初のお仕事でございます。
ドキドキしていた司法書士さまからの追記や修正もそれほどなく、「締め切り日まであと1週間なら速達で出した方がいいですね」というお言葉に従い、その日のうちに郵便局へ。
「これで一仕事終わったわい」と思っておりましたら、2日後、家庭裁判所からお電話がありました。
「相続財産目録が入っていなかったので送ってください」とのこと。
相続財産目録…それは、わたくしの場合は祖父母の家と叔母の遺産のこと。亡き母が受け取るはずだった分の遺産を相続することになっております。
預貯金ならどこ銀行にいくらあるのか、不動産なら所在や面積、居宅なら床面積など、細かく知らなければ書けない内容になっております。
それがまったくわからなかったので、当初司法書士さまにお伺いを立てたのですが、「それは後見人の申立ての書類としてすでに裁判所に提出しているから不要です」と言われておりました。
その旨を裁判所の方に申し上げると「確かに後見申立ての際に資料はいただいているので必要ないのですが、“目録”は必要なのです」と言われました。
2~3週間の間に送らなければいけません。一難去ってまた一難。また司法書士さまを頼るほかございません。なかなか終わらない初回報告書。先が思いやられます。
終わると思ったら終わらなかった話がもう一つございます。
兄の病院問題でございます。てんかん発作の頻度が上がってきたので、病院で検査を受けてほしいと施設からのお話があったので、これまでお世話になった遠い病院(仮にA病院)をやめて、近場の病院(仮にB病院)に変えたいとわたくしが希望したお話です。
施設から「A病院で、B病院への紹介状を書いてもらえないか聞いてもらえませんか?」と言われたので、A病院にお電話をしたところ「すでに診察は終了していて、施設の往診医あてにデータをお渡ししているので、往診医に書いていただいてください。もしそちらで書けないと言われた場合は、こちらで書けないこともないのでまたご連絡ください」とのお答えでした。
直近で兄が診ていただいた春に診療は終了であり、次に診察を受ける際は紹介状が必要だという紙はいただいておりました。今週はそれを持って兄の面会に行き、施設職員さまにA病院からのお返事を申し上げました。
「あとは施設で対応してくださるだろう」と肩の荷を下ろしたところ、看護師さまと職員さまが「う~ん、往診医の先生は書けないと思うんだよね」と困り顔。「やっぱりA病院で書いていただいた方が詳しくわかっていらっしゃるし、いいと思うんです」とおっしゃるのです。何が何でもA病院で紹介状を書いてほしい空気がビンビン伝わってまいりました。
「では、もう一度お願いしてみます」といって、昨日A病院へ再びお電話をして紹介状をお願いしてみました。前回とは違う看護師さまに頭から説明し「前回のお電話では、もし往診医の方で書けないと言われたら云々~と言われたんですけど…」と食い下がってみました。すると「こちらの診療は終わっているので、基本的にはかかりつけ医が書くものなんです。どうして書けないのか、その理由は聞いていませんか?」とおっしゃり、「理由がわからないとこちらも先生にお願いのしようがありません。その理由によって書くか書かないかを判断させていただきますので、理由がわかりましたらまたご連絡ください」と言われてしまいました。
おっしゃる通り、今は往診医がかかりつけ医なのですから紹介状を書くのが筋というもの。そのくらいのことは素人のわたくしでもわかります。なぜ施設職員さまも施設の看護師さまも往診医さまにお願いしないのか不思議でございます。「書いてください」と言えない雰囲気があるのでしょうか。それとも兄をほとんど診察していない?
一方でこうも思います。春まで診た患者なのですから、A病院も頼まれたら紹介状を書いてくださってもいいではないですか、と。
わたくしは、A病院から言われたままのことを施設職員さまにお電話で伝えました。「そうですよね…」と、声からがっかりされた様子がうかがえました。「わかりました。なんとか書いてもらいましょう。紹介状なしでも行けるかもしれないし…。では、またご連絡します」と言ってお電話は切れました。
どうなることやら。こちらの問題も先が思いやられることでございます。
文/ツガエマナミコ
職業ライター。女性63才。両親と独身の兄妹が、2012年にそれぞれの住処を処分して再集合。再び家族でマンション生活を始めたが父が死去、母の認知症が進み、兄妹で介護をしながら暮らしていたが、母も死去。そのころ、兄の若年性認知症がわかる(当時57才、現67才)。通院しながら仕事を続けてきた兄だったが、ついに退職し隠居暮らしを開始。2024年夏から特別養護老人ホームに入所。
