倉田真由美さん「捨てられない服」くらたまね~&らいふVol.12
漫画家でエッセイストの倉田真由美さんには、『だめんず・うぉ〜か〜』を描いていた時代から着用していた捨てられない服がある。「あの頃は着られたのに」「いつか着られるから…」。そんな昔の服にまつわる思いとは?
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。新たな描きおろし漫画も収録した最新の書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
捨てられない服
まったく着ない、いや着られないのにずっと捨てられなかった服があります。
30代の頃、気に入ってよくはいていたデニムのジーンズです。今より10キロくらい体重が軽かった頃、『だめんず・うぉ〜か〜』を連載していた頃、シングルマザーとして多忙な頃に、一番着用した回数が多いんじゃないかというボトムです。
娘を妊娠した後なかなか体重が戻らず、40代になってからはウエストのボタン…いやファスナーすら閉まらなくて履けなくなりました。一度だけ、40代後半に、とある女性誌の企画でダイエットをして8キロ痩せ、なんとか無理して履けたことがあるんですが、半年ほどでリバウンドしてしまってからは一度もはけたことはありません。
今はファスナーどころか、太ももから上に上がりません。「もう少し痩せたらはける」というレベルではない、大きな乖離ができてしまいました。でも、なぜか今まで捨てられずにいました。
未練があったんですね。痩せていた頃の自分に。「きっともう一度痩せるから、その時にまたはくために」と、タンスの奥にしまい続けてきたジーンズ。引っ越しで物を大量処分する時も、何度も悩んでは「やっぱり、いつかはくかもしれないから」と手元に残してきました。
でも、特にダイエットをしているわけでもないので、ここ10年ほど体重は毎年のように微増しているので体型は遠ざかる一方です。
そろそろ手放せる?
そろそろ諦めてもいいかな。
諦める、というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、意外とそうでもありません。私も今年55歳、50代後半に入ります。昔のジーンズがはける50代は素敵ですが、自分はもうそうじゃなくなってもいいな、と自然に手放せる気分になってきました。
そもそも、仮に履けたとしても、デニムのジーンズのようにスタイリッシュだけど動きにくいパンツ、着ていくところがありません。パンツならゆったりしたウエストゴムが最高だと思っているので、ジーンズはもう私の人生に出番がないのです。
「楽に着られる」ということが、今の私にとって大事なポイントです。ちょうど妹が来ていたので、事情を話して「捨てようと思う」というと、妹は「まだ捨ててなかったことに驚いたけど、うん、捨てていいんじゃない?」と賛同してくれました。
これを捨てたら、未練がましくしまったままの他の服も捨てやすくなります。夏までにはがっつり服の断捨離を敢行して、すっきりした7月23日、55歳の誕生日を迎えたいと思います。
