《冷湿布と温湿布で効果は違うのか》整形外科医が明かす湿布・鎮痛薬の落とし穴「一度に貼っていい上限枚数」は?
首や肩、足腰などに痛みを緩和させたいときに活躍するのが「湿布」。手軽で便利な湿布だが、正しい使い方を知っているだろうか。身近ながら、正しい使い方を知らない人も多い「湿布」について、「首の痛み・コリ・しびれ 自力でできるリセット法』(アスコム)を上梓した整形外科専門医の吉原潔さんに詳しく教えてもらった。
湿布は多くても4枚まで
痛みが強いとまんべんなく何枚も湿布を貼りたくなるものだが、一度にたくさん貼ると、湿布の成分が過剰に吸収され、血液中の濃度が高くなってしまう。胃や腎臓へ負担がかかり、副作用のリスクが高まるので、いろいろなところに痛みがある場合でも、一度に貼るのは「4枚まで」にしよう。
「湿布の成分によっては、貼っていると動悸や息苦しさを感じる方がいます。そんな場合は、無理に使い続けず、医師や薬剤師に相談してください。別の成分の湿布に切り替える必要があります」(吉原さん・以下同)
基本的には冷湿布がおすすめ
湿布は冷湿布と温湿布の2種類があり、貼っていると「冷たさを感じる」のが冷湿布で、「温かさを感じる」のが温湿布だが、どちらも実際の温度変化はなく、痛みや炎症をやわらげる効果自体は同じだそうだ。
「温湿布は冷湿布に唐辛子エキス(カプサイシン)などの、温感成分を加えたものです。そのぶん皮膚への刺激が強く、かぶれやすい方もいるので、私は患者さんから強く希望されない限り、温湿布は処方しません」
紫外線に気を付ける
湿布を貼ったときには、紫外線に当たらないように気をつけることも大切だ。特に、ケトプロフェンという成分を含む湿布では、湿布を貼った箇所に直射日光が当たると、皮膚が赤くなったりかぶれたりと、光線過敏症と呼ばれる副作用が起こりやすくなるという。
「屋外で過ごすときは、湿布を貼った部位を衣服で覆うなど、紫外線を避ける工夫をしてください」
市販でも手に入る痛み止めは正しく使うことが大切
湿布と同様に、すぐに痛みをおさえたいときには市販の痛み止めも便利だが、こちらも正しく使うことが大切だ。例えば、「ボルタレン」「ロキソニン」「セレコックス」「イブ」などの商品名で売られている、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」は炎症を抑える力が強いが、胃潰瘍などの胃腸障害を引き起こす可能性があるほか、高齢者は腎機能障害のリスクも高まるため、長期間にわたって漫然と使い続けるのは避けたほうがいいと吉原さんは言う。
長期間使う場合は、「カロナール」「タイレノール」「ノーシン」などの「アセトアミノフェン」が含まれた痛み止めを吉原さんはすすめている。
「風邪薬にも含まれている成分で、発熱や軽い痛みに使われます。炎症を抑える作用はありませんが、副作用が少なく、小児や高齢者でも比較的安心して使える薬です。長く飲む必要がある場合には、非ステロイド性抗炎症薬ではなく、こちらをおすすめします」
痛み止めは使用前に医師などに相談が必要な場合も
市販薬は処方箋がなくとも買うことができて便利だが、使う前に医師や薬剤師に相談したほうがいい人もいる。例えば、「アスピリン喘息がある」「腎機能が著しく低下している」「鎮痛薬や解熱薬で、喘息やアレルギー症状を起こしたことがある」「胃炎や胃潰瘍で治療中」といった場合は注意が必要だ。
また、痛み止めの成分が重複することがあるため、市販の風邪薬を服用中の場合や、飲み合わせの問題から、すでにほかの診療科で薬を処方されている場合なども事前に相談しよう。
「痛み止めは痛みが激しいからといって、通常量より多く服用したり、短時間のうちに何度も服用したりすると、副作用のリスクが高くなり大変危険です。医師から指示を受けている場合を除き、自己判断で増量してはいけません」
一瞬楽になると感じても「ポキポキ施術」は避けるほうがいい
痛みを緩和するために整体やマッサージを受けに行く人もいるが、吉原さんによると、それらの効果は現状賛否両論であり、医学的にはっきりとした結論は出ていないという。しかしその中でも、首を急激にひねって鳴らす「ポキポキ施術」だけはどうしても避けてほしいと吉原さんは言う。
「施術で首をひねると、音が鳴って一瞬楽になったように感じるかもしれません。しかし、これは一時的な感覚にすぎず、実際には関節や靭帯、さらには血管や神経を傷める危険があります。特に、高齢の方や頚椎疾患のある方、骨粗しょう症の方は絶対に避けたい施術です。ちなみに、自分で首を急に回して鳴らす癖も、同様に危険です」
教えてくれた人
吉原潔さん/整形外科専門医
よしはら・きよし。整形外科専門医、フィットネストレーナー、医学博士、アレックス脊椎クリニック名誉院長、日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。著書に『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』(アスコム)など。
●《医師が解説する体力回復術》睡眠は7時間がベスト、入眠後90分がカギ! 食事はたんぱく質がとれる「ささみめかぶ」と「酢納豆」がおすすめ
