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健康

《不調や病気を遠ざけるカギ》自律神経を整えるために「寝起きにシャワー」はなぜ有効なのか?自律神経研究の第一人者が解説

 不調や病気を遠ざけるカギとなるのは自律神経が整えることだ。自律神経には1日のなかで一定のリズムがある。例えば、起床後、心身を活動的にする交感神経が活発になり、夕方から夜にかけてはリラックスして気持ちを落ち着ける副交感神経が活発になるといったことだ。しかし、このリズムは簡単に崩れてしまうため、意識的に整えていくことが大切となる。そこで、『科学的に証明された自律神経を整える習慣』(アスコム)を上梓した順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんに、自律神経を整えるための1日の過ごし方を指南してもらった。

朝は太陽の光を浴びる

 朝はまず、朝日をしっかりと浴びることを小林さんはすすめている。最も望ましい起床の形は、たっぷりの朝日で自然に目が覚めること。自律神経は朝日を浴びた瞬間から活性化され、そこから心身を活動的にするスイッチが入るためだ。

「もちろん、朝日を浴びなくても起きることは可能ですが、いうならば、起きたことは起きたけれど、なかなかスイッチが入らずだらだらしている状態が続きます」(小林さん・以下同)

カーテンの工夫で朝日を味方につける

 現代のほとんどの寝室にはカーテンが引かれているが、朝日でしっかりと目を覚ますのであれば、寝る直前、照明を消したあとにカーテンを開けておくか、光を通すレースなどのカーテンだけにしておくのが望ましい。最近はスマホで設定して、カーテンを自動で開けてくれる装置も販売されているため、こうした機器を使うのもおすすめだ。

「とはいえ、私たち医療従事者を含め、朝早く起きて夜早く寝るという習慣を取り入れるのが難しい環境の方々も一定数います。夜勤や不規則な勤務形態で、朝や昼間に睡眠をとらなければならない人にとっては、光はむしろ大敵になってしまいます。そういった方々は、質のいい睡眠を確保するために遮光性の高いカーテンを使用するのがよいでしょう」

寝起きでシャワーを浴びる

 朝日で目を覚ましたあと、シャワーを浴びると、さらに体を目覚めさせることができるほか、交感神経を活性化していく切り替えにもなる。まずはぬるめの38度くらいのお湯で体を慣らし、40度くらいの自分にとっての適温までお湯の温度を上げていこう。徐々に温度を上げることによって、急に交感神経が刺激されてしまうことを防ぐことができる。

「そして、仕上げがポイントです。温水と冷水を3~4回交互に浴びて、最後は冷水で終わります。こうすると、頭も体も引き締まります」

朝食を食べられないときは飲み物だけでも

 体が目覚める朝に腸を刺激しないと、副交感神経が下がりすぎてしまうため、朝は食事をとることも大切だ。時間がない場合は、ヨーグルトとバナナや、みそ汁などの汁物だけでもOK。しっかり咀嚼ができるものであれば、脳を刺激し、体温を上げることができるため、より適している。

「どうしても食べられない場合は、せめて水や白湯、お茶だけでも体に入れるようにしてください。腸はその重さを感じただけでも動きます」

夜は眠る3時間前までに夕食をとる

 夜の食事は、眠る3時間前くらいまでに終えるようにしよう。腸が食べ物を消化するのに3時間程度の時間は必要で、消化が不十分なまま寝ようとすると、うまく消化できず、睡眠の質が下がってしまうためだ。睡眠の質が下がると、夜の間に副交感神経が高まり切らず、翌朝以降、副交感神経が下がりすぎてしまう。

「睡眠の質を下げないためには寝る3時間前までには夕食をとるのがベストですが、どうしても夕食の時間が遅くなってしまう場合は、なるべく消化のいいものを食べるようにしましょう」

夜はお風呂に浸かる

 夜はしっかりとリラックスするとともに、睡眠の質を上げるために、お湯に浸かるようにするのがよい。寝る2時間くらい前までに、39~40度くらいのぬるま湯に15分ほど浸かることで、寝る時間に向けて徐々に体の深部体温が下がっていくため、自然に眠くなりやすい。

 また、大きな浴場のある温泉やスーパー銭湯を使うのもおすすめだ。例えばジェットバスなら、勢いよく出てくる気泡は破裂する際に超音波を発し、血流をよくする効果がある。サウナも、非常に強い温かさがある場所では交感神経と副交感神経が連携を取り合って体温調節を行うようになるため、体温調節機能(自律神経)がしっかりと働くようになる効果が得られる。

「そして、最強のリラックス入浴法は、やはり露天風呂です。景色や空を眺めながらの入浴は、単に入浴の効果を得るだけではなく、最高のリラックス状態を生み出し、副交感神経への助けになります。自然を感じられる時間は、自律神経を整える観点からはいい効果しかありません」

眠りのスイッチをつくっておく

 規則正しい睡眠をとるためには、毎日の睡眠時間や就寝・起床時刻を決めておくことが大切だ。そして眠る際に「枕に向かって誓う」ようにすると自然と意識も変わってくる。また、寝る時間に副交感神経にスイッチをしっかりと切り替えられる「眠りのスイッチ」をつくっておくのもいい。眠りのスイッチとは、それをすると自然と「寝る時間だ」と思える、リラックスして眠れるような仕掛けだ。

「リラックスできる音楽、眠りを誘う香り、読むと必ず眠くなる本…。そんな、睡眠のきっかけになるものをつねにそろえておくようにするといいでしょう」

教えてくれた人

小林弘幸さん/順天堂大学医学部教授

こばやし・ひろゆき。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。順天堂大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。著書に『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『整える習慣』(日経ビジネス人文庫)など。

●作家・佐藤優さんが語る、人生を楽しむための45歳からの「時間」の考え方 「足し算の時間」と「引き算の時間」とは?

●《体力がない人の健康術》精神科医・和田秀樹さんが体調を崩さないために「ショッピングモールでの散歩」をすすめる理由

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