《理学療法士が解説》腰痛解消の近道は「2つの場所」へのアプローチ いすに座って行う「沖倉流筋膜はがし」のやり方4つ
実は、腰痛の大半は原因不明であることを知っているだろうか。しかし、『筋肉のつながりを知れば「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる』(アスコム)を上梓した、理学療法士の沖倉国悦さんは、これまでの経験上、腰痛の原因の多くは筋肉や筋膜などの癒着によるものと話す。腰痛の解消方法とあわせて、詳しく教えてもらった。
教えてくれた人
沖倉国悦さん/理学療法士
おきくら・くによし。治療家育成講師、整体師、サンミュージック所属。理学療法士として16年間勤務するなか、リハビリスタッフ130名を超える病院で係長も務めた。原因不明の痛みやこりに向き合う中で、テコの原理を応用した独自の手技「六層連動操法」を開発。現在は表参道に整体院を構え、重症患者の施術を行うほか、整体技術「六層連動操法」を普及させるため、セミナー講師として東京・大阪で活躍中。著書に『筋肉のつながりを知れば「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる』(アスコム)など。
腰痛の大半は原因不明
腰痛患者のうち、約15%は椎間板ヘルニアや骨折、腫瘍など、明確な原因が判明するが、残る約85%は原因不明だという。しかし、沖倉さんによると、腰痛は、筋肉を包んでいる膜(筋膜)などの癒着が原因である可能性が高いそうだ。筋膜の癒着とは、筋膜が筋肉や骨などとくっついてしまうこと。癒着が起こることで、筋肉や関節がスムーズに動かなくなり、無理な負担がかかって痛みにつながるという。実際、沖倉さんが癒着を解消するための施術を行うことで、症状が改善するケースは多いそうだ。
癒着が原因でも、病院では原因不明として扱われてしまうのは、癒着がレントゲンには映らないため。腰痛などの症状に関してはレントゲンで診断することが多いが、レントゲンに写るのは骨だけだ。骨折などの骨が原因で腰痛が起きている場合はレントゲンによる診断で判明するが、数自体多くない。
「医師は、明確な根拠がないのに診断はできません。そのため、これだけ原因不明が多くなっているのではないかと推測できます」(沖倉さん・以下同)
腰痛の原因となる癒着が起こりやすい2つの箇所
腰痛の原因となる癒着が起こりやすい箇所は2つあると沖倉さんは言う。一つ目が、頭の先からかかとまで、背中側を通っている筋肉・筋膜のライン上にあるものだ。なかでも、首から腰にかけた筋肉(脊柱起立筋)に癒着が起きやすいという。背中側の腰回りを親指で押したとき、痛気持ちいい感覚がある場合は、このラインに癒着があることが多い。
「ここの筋肉の癒着は、体の外側、皮膚に近い部分にあるため、背中をマッサージすればとれることがありますが、こりだけがとれている場合もあるので、腰のための沖倉流筋膜はがしで確実に癒着にアプローチするのがよいでしょう」
鼠径部に違和感があるタイプはマッサージでの解消が困難
もう1つが、首から足裏までつながった体の奥のラインだ。なかでも、腰から太ももの付け根についている筋肉(腸腰筋)に癒着が起きている場合が多い。このタイプは、足の付け根の溝の内側にある下腹部のV字の部分(鼠径部)にゴロゴロと硬いものや、はりがある場合が多い。
「この場合、体の内部に癒着があるので、マッサージなどの外から与える刺激ではなかなかとれません」
腰痛を解消する4つの「沖倉流筋膜はがし」
腰痛を解消するための「沖倉流筋膜はがし」は、その1からその4まで全部で4種類。その1とその3は背中側の癒着をとるもので、その2とその4は体の奥の癒着をとるためのもの。
本来、癒着をはがすためにはテープを端から引っ張るように、筋肉や筋膜を引っ張る必要がある。その1とその2は直接的に筋膜・筋肉を引くものではないが、筋膜・筋肉の伸び縮みする性質を利用し、効果的に体を動かすことで、体の奥の筋膜・筋肉を引っ張るやり方だ。
「どれも効果があるので、4つともぜひやってほしいのですが、試してもらった結果、その1、その2は特に効果を実感する方が多いようなので、少なくともこのふたつは、毎日やるのをおすすめします」
沖倉流・腰のための筋膜はがし その1
《やり方》
【1】いすなどに腰をかけ、足をできるだけ大きく開く。
【2】腰の背中部分、おしりのところにあるごつごつしたでっぱり(腸骨部分)を親指で内側に押す。親指で押しにくいという方はそれ以外の4本の指で押してもOK。
【3】【2】の上体でゆっくり10秒かけて深くおじぎして、また10秒かけて元に戻す。これを1回行う。
沖倉流・腰のための筋膜はがし その2
《やり方》
【1】いすなどに腰をかけ、足を肩幅に広げる。
【2】両手で腰の横の骨(骨盤のふち)を触る。そのまま指を骨に沿って前(おへその方向)へすべらせると、前のほうに硬い骨の出っ張りがある。それが上前腸骨棘(ASIS)と呼ばれる場所で、左右2か所のASISの少し内側(おへそより)で少し下のあたりを親指で押す。親指で押しにくい場合は親指以外の4本の指で押してもOK。
【3】【2】の状態で、左右交互にももを上げて足踏みをする。左右10回ずつ、計20回行う。
沖倉流・腰のための筋膜はがし その3
《やり方》
【1】背もたれのあるいすに深く腰をかけて、片足をまっすぐに伸ばし、できる範囲でつま先を体側に倒す(背屈する)。
【2】そのままの状態で足をゆっくり上げてまた元の位置に戻す。これを10回繰り返す。反対も同様に行う。倒れないようにひじ掛けや座面を手で持ちながらやってもOK。
沖倉流・腰のための筋膜はがし その4
《やり方》
【1】いす、もしくはベッドなどに浅く腰かける。
【2】太ももの内側の固い筋肉を手でつかみ(外側にある手は押さえているだけ)、そのままひざの方向に10秒間押す。反対側の足も同様に行う。手が疲れる人は、慣れるまでは10秒より短くてもできる時間で行えばOK。
「4つの『腰のための沖倉流筋膜はがし』は、いつやっていただいても構わないのですが、そのなかのひとつでもやることをおすすめする時間帯は、朝。それも寝起きです。なぜなら、寝起きが腰にとってのデンジャラスタイムだからです」
朝は酸素不足で体が動きにくく、腰痛が起きやすい時間帯のため、寝起きのタイミングで「腰のための沖倉流筋膜はがし」を行うようにするのがおすすめだ。
●《散歩でもっと健康に!》体の土台となる足裏の筋肉「足底筋群」を鍛える簡単トレーニング「手足のおしくらまんじゅう」など3種
●《「陰気に生きる」のはなぜやってはいけないのか》世界的なベストセラー作家が「1年間、笑わない」をやり通して気づいたこと&口角を再び動かして起こったこと
●YouTube登録者数75万人超の僧侶が教える、怒りから解放されるための方法「嫉妬には喜びを」「後悔には反省を」とは?
