《有名トレーナーが指南》「食事量を減らす」ではやせない?健康的に正しくやせるための方法
健康のためにはとにかく体重を減らしてやせなければ、と考える人は多いだろうが、やせるために大切なのは、まず正しい知識を付けること。単に体重が減るのではなく、筋肉を付けながら脂肪を落としていくことが健康的にやせるためには重要だ。『筋肉をつけて脂肪を減らすやせるしくみ化』(アスコム)の著者で、フィットネストレーナーとして活躍する森拓郎さんに、健康的に減量するための正しい知識を指南してもらった。
教えてくれた人
森拓郎さん/フィットネストレーナー
大手フィットネスクラブを経て、2009年に自身のスタジオ「rinato」を東京・恵比寿にオープンし、ボディメイクやダイエットを指導。足元から顔まで美しくする「ボディワーカー」として、運動の枠だけに囚われないボディメイクを提案する運動指導者として活躍。ファッションモデルや女優などの著名人のクライアントも多く、テレビ、雑誌など多くのメディアで注目されている。著書に『筋肉をつけて脂肪を減らす やせるしくみ化』(アスコム)など多数。
4つの役割を持つ体脂肪
体脂肪には4つの役割がある。1つ目は、必要なときに分解して使用するエネルギーとしての蓄え。2つ目は体温維持のための断熱材、3つ目は外部の衝撃から内臓を保護すること、4つ目は、レプチンやアディポネクチンといったホルモンを分泌し、食欲や代謝を調整することだ。
「多すぎれば肥満、少なすぎれば体調不良の原因になるので、適正範囲をキープすることが健康のカギとなります」(森さん・以下同)
食べる量を減らし過ぎるとやせにくい体に
食事で栄養素を摂取すると、消化・吸収を経て血中に放たれ、各細胞に運ばれる。そして、多くは体や脳を動かすエネルギーとなったり、体を作る材料となったりする。必要以上に摂ると栄養素が余り、体脂肪になるが、栄養素を余らせないためにやみくもに食べる量を減らすと、栄養不足を起こしたり、代謝を滞らせてしまったりする。
「ある程度、エネルギー不足を作らなければ体脂肪は減らせませんが、減らしすぎはエネルギー不足で代謝の低下を招き、かえってやせづらくもなります。必要なものを摂り、不要なものを削って、正しく食べることで、不要な体脂肪を減らしていくことが、正しくやせるということです」
筋肉があると代謝が上がる
代謝が下がらないように適量の食事をとることに加えて、筋肉をつけることも大切だ。筋肉には代謝を高める働きがあるためだ。例えば、50kgの女性でも、体脂肪率30%の人と20%の人では筋肉量が異なり、1日あたりの基礎代謝量には約108kcalの差が生まれる。
「また、筋肉は収縮によって熱を生み体温を維持するだけでなく、『マイオカイン』と呼ばれる物質を分泌して脂肪代謝やインスリン感受性を改善。これにより、血糖やホルモンバランスが安定。筋肉はボディメイクに不可欠な『宝』なのです」
筋肉の付け方
健康的にやせるためには筋肉が必要だが、年を取ると筋肉の分解を抑える女性ホルモンエストロゲンが減るうえ、たんぱく質を筋肉に合成する代謝自体も低下するため、筋肉は加齢とともに落ちやすく、つきにくくなる。筋肉量の低下を食い止めるには、筋肉の材料になるたんぱく質を食事からとり、筋トレをすることが有効だ。
「さらに、筋トレによる負荷で筋肉に刺激を与えると、それを修復・回復する過程でたんぱく質の合成が活発に。元の筋肉より強く太くなり、筋肉量も増えます」
健康的にやせるためにBMIを把握
健康的にやせるために必要なのは適切な食事を取りながら筋肉をつけることで、不必要な脂肪を減らすこと。そのためには体型の目安になる体脂肪率体格の指標であるBMI、身長に対して適切な筋肉量かを示す指標である除脂肪量指数(FFMI)を把握することが必要だ。
「体脂肪率を知るには体組成計が必要なので、これを機会に購入するか、設置してある公共のスポーツジムなどで測りましょう。BMIは身長と体重から、除脂肪量指数はBMIと体脂肪率から算出できます」
【BMIの計算方法】
体重(kg) ÷ (身長(m) × 身長(m)=BMI
【除脂肪量指数(FFMI)の計算方法】
体重(kg)×体脂肪率(%)÷100=体脂肪量
体重(kg)-体脂肪量(kg)=除脂肪体重(kg)
除脂肪体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=除脂肪量指数(FFMI)
BMIと除脂肪量指数の両方をチェック
ホルモンバランスのことも加味すると、基本的には、BMIは21以上、50代なら22以上、体脂肪率は21から24%を目指すのが良い。BMIが平均以下でも体脂肪率が30%前後ある場合は痩せ型に見えるが体脂肪量が多く、筋肉量が少ないかくれ肥満の傾向にあると言える。
一方、体脂肪率だけでは筋肉量は評価できない。そこで重要なのが除脂肪量指数だ。除脂肪とは体重から体脂肪量を除いた重さのことで筋肉や骨、内臓、皮膚、血液や水分の総量をさす。
「除脂肪の過不足分の評価は身長によって異なるので、指標が必要です。それが除脂肪量指数(FFMI)で、目指す数値は15.5~16。15以下なら、筋肉量が極端に少ない人、16以上の場合は、筋肉は標準だけれど体脂肪が多く、どちらも『かくれ肥満』、もしくは『肥満』の状態といえます」
かくれ肥満や肥満の人の正しいやせ方
かくれ肥満や肥満の人がやせようとする場合、指標の数値によって対応策は異なる。「標準値に対しての体脂肪率や筋肉量によって、4つのタイプに分類できます」と森さん。
BMIが21未満で体脂肪率が25%以上、除脂肪量指数が15.5以下の場合は、体重が少なく痩せて見えるが筋肉は極端に少ないタイプ。また、BMIが18.5以下で体脂肪率が25%以下、除脂肪量指数が15.5以下の場合は、低体重で体脂肪量が少ないが筋肉量も少ないタイプ。この2つのタイプはいずれも筋肉量を増やして体重を増やすことが大切だ。
BMIが21から25の間で体脂肪率が30%以上、除脂肪量指数が15.5以上の場合は筋肉量は標準値だが体脂肪が多い肥満体型。また、BMIが25以上で体脂肪率が30%以上、除脂肪量指数が15.5以上の場合は体脂肪量も筋肉量も多めなタイプ。この2つのタイプは筋肉量を減らさずに体脂肪を落とすことが大切だ。
「ダイエットというと『体重を落とす=体脂肪を落とす』に結びつけがち。そのために食事量を減らすのは間違いではありませんが、大きな落とし穴があります。食事量を減らせば、同時に必要な栄養も減ります。栄養が減ると、エネルギーや筋肉など体を作る材料が不足して筋肉量が減りやすくなります」
筋肉量が減ると代謝も落ち、やせにくい体になっていく。そのため、どのタイプの体型であっても、筋肉量を増やすあるいは維持したまま体脂肪を落とすという順序を守る必要がある。
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