シニアユーチューバーが熱い!「YouTuber」になってみたら、老後がもっとおもしろくなった
先頃、タレントのデヴィ夫人が79才にしてYouTuber(以下、カナ表記)デビューした。彼女のようなシニア世代のユーチューバーが今、増えている。彼らはなぜ、ユーチューバーになったのか。そこには、若者とは別の理由や楽しみ方があった──
シニア世代にこそ向いている世界
ユーチューバーになりたいのは、何も若者だけではない。最近では定年退職後、ユーチューバーとして活躍するシニアが増えている。実際、シニアの方がユーチューバーに向いていると、ITジャーナリストの三上洋さんは言う。
「ユーチューブは毎日動画をアップした方が有利なのですが、これが大変。しかしシニアなら、比較的時間に都合をつけやすい。また、経験が豊富で話術に長(た)けているかたが多いので、話がおもしろく、若者とは違う見せ方ができます」(三上さん・以下同)
しかし、老後の生活費をまかなうのは厳しいという。
「登録者数が1000人以上か、月の再生時間が4000時間を超えないと広告が入らないため、利益につながりません。広告料も1回の再生で0.05~0.2円程度です」
若者がユーチューバーになる場合、少なからず生活をかけることになるため、稼げないと続けるのは厳しい。しかし、シニアの目的は若者と違い、趣味の動画をアップするケースが多い。つまり、老後の生きがいに重点が置かれているのだ。
では、どんなチャンネルがあるのか以下に紹介しよう。
最高齢ユーチューバーの夢は同じ趣味の人を見つけること
リバースシンガーYoshiko Nakada/中田芳子さん(88才)
・チャンネル開設日:2015年4月5日
・チャンネル登録者数:7455人
・トータル視聴回数:50万9171回
・毎月の平均収入:0円
・https://www.youtube.com/channel/UCZEWrGenvz7zPLCmDS6ebRQ
4年前にデビューした中田さん。月1本ペースで“逆さまから歌ってみた(逆さ歌)”というシリーズ動画を投稿しており、すでに44曲以上を発表。現在、“最高齢ユーチューバー”としても知られている。
逆さ歌とは、一見支離滅裂な歌を歌っているようだが、録音した歌を逆再生することで、きちんとした歌になるというもの。
「私は10人きょうだいの六女でね、終戦後15才で台湾から日本に引き揚げてきたの。当時はお金がなくて、楽しみといえば、上から読んでも下から読んでも同じ文になる“回文(かいぶん)”などの逆さ言葉遊び。その後電子オルガン講師になったので、2つの“得意”を掛け合わせて発表してみては、と知人にアドバイスをいただいて挑戦してみたの」
目標は、世界のどこかにいる同じ趣味の人を見つけること。そのため、外国人にも聴いてもらえるよう、英語やドイツ語の歌も投稿している。ユーチューブのおかげで毎日が楽しいと笑顔を見せてくれた。
【「逆さ歌」ができるまで】
今年デビューの新人ながら、登録者数がうなぎのぼり!
Dangerous爺ちゃんねる/デン爺さん(82才)
・チャンネル開設日:2019年2月13日
・チャンネル登録者数:4万2737人
・トータル視聴回数:265万3054回
・毎月の平均収入:3万~4万円
・https://www.youtube.com/channel/UCJbWwKqtS577Hj4xFNgiBnQ
「女性のシニアユーチューバーを紹介しているテレビ番組を見て、自分もできるんじゃないかと思ったのが、始めるきっかけ」と語るデン爺さん。
今年2月のデビュー以降、平均週3本の動画を投稿している。内容は、「免許返納で車を手放す」「豆を炒りながら時事問題を語る」など、デン爺さんの日常をつづっただけなのだが、低音ボイスで語られる話がとにかくおもしろく、わずか半年で登録者数が4万人を超えた。
おもしろさの理由は、彼の話が波乱万丈な人生に裏打ちされているから。幼少期に北朝鮮に渡ったデン爺さんは終戦後、命からがら家族で帰国した経験を持つ。
「こんなじいさんの話を聞いてもらって、小遣い稼ぎにもなるなんてありがたいね」
元気なうちは自然体で続けたいと語る。
“奇跡の69才美魔女”がオリジナルの美容メソッドを発信!
junjunチャンネル/上野潤子さん(69才)
・チャンネル開設日:2018年2月1日
・チャンネル登録者数:1127人
・トータル視聴回数:10万1511回
・毎月の平均収入:未収入
・https://www.youtube.com/channel/UCXyxYiH3UT9VtLak2W1c6ng
「私が本当にやっている美容法を発信することで、“年を取るのは恐くない”と思ってもらいたくて始めました」とは、第8回ミセス日本グランプリ60代の部でグランプリを受賞し、“奇跡の69才美魔女”として、テレビなどでも紹介されている上野潤子さんだ。
彼女はエステサロンを経営しているため、ユーチューブは趣味と実益を兼ねた“表現の場”となっているという。
シニアユーチューバーの先駆者 動画アップはもはや生活の一部
nariwaCh 73歳成羽のチャンネル/成羽さん(73才)
・チャンネル開設日:2014年11月16日
・チャンネル登録者数:8209人
・トータル視聴回数:227万2349回
・毎月の平均収入:非公開
・https://www.youtube.com/results?search_query=nariwaCh+
69才の時にユーチューバーデビューした成羽さん。動画数の多さと挑戦し続ける姿勢が評価され、2019年に人材派遣会社が主催する『PERSOL Work-Style AWARD』で、シニア部門賞を受賞した。これがテレビなどで報道され、シニアユーチューバーの先駆け的存在として話題になった。
「介護をしていた父が亡くなり、喪失感にさいなまれている時、ユーチューブの存在を知り、やってみようと思いました」
動画の内容は、「コスプレ」「東海道を歩く」「カードケース作り」「ぬか漬けを漬ける」のほか、ゲームやメイクなど、成羽さんがやってみたいことで構成されている。
「顔を全世界に公表するのは抵抗がありましたが、今はもう動画アップが私の日常に。命ある限り続けたいと思っています」と笑顔で語ってくれた。
※各データは2019年9月9日現在。画面画像はすべてYouTubeより転載。
※女性セブン2019年10月10日号
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