6月は隠れ脱水に要注意!室内の熱中症も多い梅雨時に心がけたい「高齢者の水分補給」
総務省の調査によると昨年は、熱中症による救急搬送者数は6月が過去最多を記録、住居発生場所は「住居」が最も多い。介護経験をもつ社会福祉士の渋澤和世さんによると、この時期、とくに高齢者は気がつきにくいといわれる「隠れ脱水」に注意が必要だという。高齢者の水分補給について対策を解説いただいた。
この記事を執筆した専門家/渋澤和世さん
在宅介護エキスパート協会代表。会社員として働きながら親の介護を10年以上経験し、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。自治体の介護サービス相談員も務め、多くのメディアで執筆。著書『入院・介護・認知症…親が倒れたら、まず読む本』(プレジデント社)、監修『親と私の老後とお金完全読本』(宝島社)などがある。
6月に熱中症も「隠れ脱水」にご用心
昨年の熱中症による搬送者数(令和7年5月~9月)は過去最多を記録。中でも急激に人数が増えるのが「6月」。 これから気温も湿度も上昇しますが、まだ身体が暑さに慣れていないため、汗が蒸発しにくく、体温調節が難しい時期でもあります。特に高齢者は、気づかないうちに体内の水分が失われる「隠れ脱水」に注意が必要です。
*総務省「消防庁」令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r7/heatstroke_nenpou_r7.pdf
高齢者施設を訪問した際、利用者から「トイレが近くなるから、あまり水を飲まないようにしている」という声を何度か耳にしました。忙しそうな職員にトイレに行きたいと声をかける後ろめたさや、特に夜中はトイレで声をかけるのは大きな負担になる気持ちもわかります。
筆者は認知症だった実母を在宅介護していました。あるとき仕事から帰宅してみると、母は蒸し暑い部屋で厚着をして水も飲まずに過ごしていて驚いた経験も。お茶を飲んでもらおうと思ってもなかなか口にしてくれず、困ったこともありました。
年齢を重ねると、体内の水分量が減るだけでなく、のどの渇きを感じにくくなるといわれています。のどが渇いていないから大丈夫と思っていても、体の中ではすでに水分が足りていない状態に陥っているかもしれません。
梅雨時は「雨だから気温が上がりにくいだろう」という油断や、ジメジメした室内で汗をかき、知らず知らずのうちに体内の水分が失われ、隠れ脱水が進んでします恐れもあります。
筆者も介護中に実践していた、隠れ脱水の対策を考えてみましょう。
「食べる」ことでも水分補給は可能
高齢者の中には水をたくさん飲むのが苦手というかたが少なくありません。そのような場合、食事から水分を補給するという考え方もあります。
野菜の多くは重量の9割以上が水分のため、食事で自然と水分を摂ることができます。水分量が高い野菜の中でも高齢者が食べやすく、栄養価く水分量が高い野菜には「白菜」「キャベツ」「トマト」「ほうれん草」などがあります。
野菜から水分を最大限に摂るにはサラダがよいですが、生野菜が食べにくいと感じる場合には、スープや鍋物がおすすめです。野菜を煮込むことで水分やミネラルなどの栄養素を汁ごと摂取できます。私も母親の在宅介護をしていたときは野菜スープをよく作っていました。
脱水対策には、水分に加えて適度な塩分を摂ることも大切です。塩分補給もできる「味噌汁」は理にかなっているといえます。高齢のかたにとっては「水をたくさん飲む」よりも「水分たっぷりの食事を摂る」ほうがハードルが低いかもしれません。
「おやつ」でも水分を補える
野菜など食事のほか「おやつ」で水分を摂る方法もあります。嚥下機能が落ちているとお茶や水だとむせてしまい、飲みにくい場合もあるかもしれません。
筆者の実母もお茶は拒むことがありましたが、プリンやゼリーだと食べやすいようで、口にしてくれました。栄養価が高い市販のゼリーなどを利用するのもよいでしょう。
高齢の親の脱水を防ぐ環境づくり
高齢の親御さんと同居をしていればすぐに変化に気づけますが、離れて暮らしている場合はとくに「水分を摂取しやすい」環境を整えておきたいもの。「のどが渇いた」という感覚が低下している高齢者には、水分を摂ることが習慣になるような仕組みを作っておくことが大切です。
【1】定位置に「飲み物セット」を配置
「のどが渇いたから飲む」ではなく、視点を変えて、「目に入ったから飲む」状態をつくっておきます。
例えばいつも座っている「ソファの近く」「ベッドの横」など、いつもくつろいでいる定位置に飲み物セットを置いておきましょう。また、薬を飲むタイミングは確実に水分を摂るチャンスです。薬箱やお薬カレンダーの近くに置くのもよいでしょう。
【2】面倒な状況を見直す
高齢者になると「飲み物を取りに行くのが億劫」「階段など移動が大変」「ペットボトルや飲料を運ぶのが重い」といった理由から、水分を摂れなくなっているケースもあります。筆者は2階の寝室に20リットルほどの小型冷蔵庫を設置していますが、これがとても便利です。ホテルや病院の個室をイメージするとわかりやすいかもしれませんが、小型の冷蔵庫がすぐ近くにあれば、夜間や起床直後の水分補給がスムーズになります。
【3】キャップやコップを見直す
握力が弱って「フタが開けられない」ということもあるかもしれません。100円ショップなどでも売っている「ストロー付きキャップ」をペットボトルに装着しておき、ベッドサイドに置いておくとよいでしょう。ペットボトルを握るのが難しい場合には、取っ手つきのコップなど、持ちやすいものを探してみましょう。
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高齢者は特に注意したい隠れ脱水ですが、介護を担う子世代も他人ごとではありません。毎日の食事で水分補給をしつつ、脱水予防をルーティン化しておきたいもの。起床時・食事の前後・入浴前後など、時間を決めて水分補給をするなど習慣化できるとよいですね。6月は隠れ脱水に気を付けながら、本格的な熱中症シーズンに備えましょう。
