「34才の長男は結婚する気が毛頭ない」60代母親の悩みに92才料理研究家・小林まさるさんが回答|まさるの人生相談 第9回
70代から料理研究家の小林まさみさん(息子の嫁)のアシスタントとして活躍しているまさるさんが、普段料理に欠かせない道具を見せてくれた。
持ってきたのは、長年愛用する「砥石」。その風合いに歴史を感じる3つの砥石は、まさみさんとまさるさんの大事な仕事道具である包丁の切れ味を支える影の立役者だ。
「包丁を研ぐのは俺の仕事。まさみちゃんの料理教室の生徒さんにも、“俺が研いでやるから”とよく話しているよ。この木の台は、砥石が動かないように、ピタッとはまる大きさに自分で作ったんだ。包丁の刃を寝かせてゆっくりと丁寧に研ぐんだよ」
右から荒砥石、中砥石、仕上砥石。この順で研ぎ、切れ味のよいなめらかな刃に仕上げる。これらは使い始めて4〜5年のもの。まさるさんが昔から愛用していた砥石は既に使い切ってしまい、この3つはまさみさんが買ってくれたそう。
ちなみにまさるさんが愛用する包丁は、平野レミさんがプロヂュースした包丁(オレンジの柄のもの)を筆頭に、他3本。九州で買った片刃包丁、大阪『堺正亀』の出刃包丁、『美味工房』の三徳包丁。
「片刃包丁は九州に行ったときに買ったの。有名な鍛冶屋のだよ(名前わかりますか?)」
自分が使いやすいように工夫しながら、長年使う道具たちには、まさるさんの料理への真摯な想いが詰まっていた。
――次回のお悩み相談もお楽しみに!
撮影/菅井淳子 取材・文/岸綾香