認知症の母との外出時に必携!急な排せつ対策に最強のライフハック《緊急持ち歩きアイテム6選》中身を公開
岩手・盛岡に暮らす認知症の母を遠距離介護している作家でブロガーの工藤広伸さん。便利な道具や知恵を駆使して認知症介護を13年続けてきたが、外出時の排せつで困った経験があるという。長年経験から編み出した認知症の母とお出かけする時のライフハック、いつも持ち歩いている緊急セットとは?
執筆/工藤広伸(くどうひろのぶ)
介護作家・ブロガー/2012年から岩手にいる認知症で難病の母(82才・要介護4)を、東京から通いで遠距離在宅介護中。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護して看取る。介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。最新著『工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント』。ブログ『40歳からの遠距離介護』https://40kaigo.net/ Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』https://voicy.jp/channel/1442
認知症の母との外出時のマストアイテム
介護中、予期しない場所やタイミングで起こる排せつの失敗。
わが家では母に紙パンツをはいてもらっているため、トイレ以外の場所で排せつがあったとしても大丈夫です。しかし、吸収量の上限を超える排尿があった場合や、尿取りパッドが正しく装着できていなかった場合は、尿漏れが発生します。
便失禁の対応は、さらに難しくなります。固形の便が出てしまうと、ニオイが周囲に広がるため、介護者はすぐに対応しなければなりません。
軟便の場合は軟便専用のパッドがニオイや便を吸着してくれますが、急に軟便になった場合は、通常の尿取りパッドでは対応しきれないこともあります。
こうした経験を重ねる中で、『緊急粗相セット』と名付けたグッズをまとめて、外出時に持ち歩くようになりました。
母の排せつの失敗で最も後悔しているエピソードと、現在携帯している『緊急粗相セット』の中身をご紹介します。
緊急粗相セットを持ち歩くようになった理由
2年半ほど前、母がレンタカーの後部座席を尿で汚してしまいました。
その日はもの忘れ外来の受診日で、母をレンタカーに乗せて病院へ行きました。院内は混雑しており、予約時間を過ぎても診察の順番はなかなか回ってきませんでした。母に「トイレは大丈夫?」と何度も声をかけましたが、「大丈夫」と答えるばかり。
当時はまだ、母の「大丈夫」を信じていました(今は信じていません)。結局そのまま診察を終え、自宅に帰る途中に回転寿司店へ立ち寄りました。そこでも「トイレは大丈夫?」と声をかけると、「大丈夫」と返答する母。
今日はたまたまトイレの回数が少ない日なのだろうと思いつつ、食事を終えました。歩行介助しながら駐車場へ移動し、母をレンタカーに乗せようとお尻を持ち上げたとき、ズボンが尿で濡れていることに気づきました。歩行介助中はズボンが濡れていなかったので、駐車場の真ん中で尿漏れしてしまったようです。
レンタカーの返却時間まで残り90分。時間延長ができなかったため、その間に母を自宅に送り届けて着替えを済ませ、ガソリンスタンドで給油をして、返却まで完了しなければならない状況でした。
時間も着替える場所もない。頭をフル回転させて出した苦肉の策は、自分が来ていた防水性の上着をレンタカーの後部座席に敷き、さらに持っていたナイロンのショッピングバックを重ねて、その上に母に座ってもらいました。
急いで自宅に戻り、着替えを済ませて車に戻り、後部座席のシートを恐る恐る確認すると、尿のシミができていました。「やってしまった…」と思いながらも、応急処置はしなければと考え、クエン酸や消臭スプレーをかけ、ドライヤーで乾かしました。
処置後にレンタカー店へ電話をして、正直に状況を伝えました。「介護中に尿漏れが発生して、後部座席を汚してしまいました。申し訳ありません。応急処置はしました。今から返却に伺いますので、確認していただけますか?」
クリーニング代の請求を覚悟しながらレンタカー店に到着し、シートを確認してもらいました。すると「シミもニオイもないので問題ありません」と言われ、胸をなでおろしました。
この事件がきっかけとなり、どこへ外出する際にも必ず『緊急粗相セット』を持参するようになったのです。
いつも持ち歩いている『緊急粗相セット』の中身とは?
わたしが緊急粗相セットに入れているものは、以下のとおりです。
・ショッピングバック(尿などで汚れても問題ないナイロン素材のもの)
・ズボン1本、靴下1足
・紙パンツ1枚、尿取りパッド1枚
・おしりふき1パック(重くなるので使いかけのものを活用)
・おむつが臭わない袋BOS 1枚~2枚
・ビニール手袋 4枚
この中で最も大切なアイテムは、『おむつが臭わない袋BOS』です。紙パンツが便で汚れたとき、近くに捨てる場所がなくてもこの袋に入れるだけで、便臭を封じ込めることができます。ズボンや靴下が汚れた場合も、この袋に入れて自宅に持ち帰り、洗濯すれば問題ありません。
次に大切なアイテムは、ビニール手袋です。汚れた紙パンツを脱がせたり、おしりふきで拭き取ったりする際に、尿や便を素手で触れないようにするために欠かせません。
あとは着替えを入れておけば、急な尿漏れ、便漏れの対応はできます。介護者の皆さんそれぞれが、ご自身なりの『緊急粗相セット』を準備されているのではないでしょうか。
最近はトイレの誘導回数を増やしたり、吸収量の多い尿取りパッドを使ったりして、セットを使う頻度は減りました。それでも万が一に備えて外出の際には、必ず持参しています。介護者の気持ちを安心させるためのお守りのようなものですね。
今日もしれっと、しれっと。
