《親が亡くなる前に…》相続時の負担軽減のためにやっておきたい「口座整理」 気づかないうちに余計なコストを払っているケースも
相続後の解約手続きは煩雑
また、銀行口座は持ち主が亡くなると、その銀行などの金融機関に連絡をして口座凍結の手続きをする必要があります。この時、相続手続きが完了するまでは預金の引き出しができません。遺産分割が確定したら、口座凍結を解除することができます。
相続後に新たに通帳が出てきた場合の手続きとしては、通帳の記載されている金融機関に連絡、予約をして相続の手続きをする必要があります。その際に必要となる書類は、相続人の戸籍謄本、被相続人の出生から死亡までの除籍謄本、相続人全員の印鑑証明を持参のうえ、原則窓口まで足を運ぶ必要があります。また、通帳の金融機関が存在していない場合もあります。例えば現在の三菱UFJ銀行は、東京銀行、三菱銀行、三和銀行、東海銀行が旧銀行となり、例えば三和銀行の通帳が見つかった場合は、三菱UFJ銀行で手続きをします。
このように複雑で手間がかかる相続手続きも、本人であれば比較的容易な解約手続きだけで済みます。使わない口座を持っておくメリットはないので、不要な口座は早めに本人に解約してもらいましょう。本人だけではなかなか動かない場合は、時間を作ってでも付き添いをして解約手続きをすることをおすすめします。
気づかぬうちに余計なコストを支払っていることも
さらに、口座を持っていることで、気づかぬうちに余計なコストを支払っているケースもあります。例えば銀行口座では、一定期間利用のない場合に「未利用口座」扱いとなり、口座の維持・管理にかかる費用が引き落とされることがあります。
口座の維持・管理費用が未利用口座の残高を超えた場合は、口座残高分がすべて引き落とされたうえで自動解約となるため、口座残高を超えて費用負担が発生することはありません。しかし、十分に残高があると知らないうちにお金を払い続けることになります。面倒だと思っても、使わないと思った時点で解約手続きをするようにしましょう。
口座整理は銀行口座から
口座整理は、まず基本的には必ずもっている銀行系から整理していきましょう。過去の通帳やメールなどをチェックし、過去に開いたまま放置している口座がないかなどを確認します。不要な口座があった場合は、解約手続きを進めましょう。
なお、未利用口座扱いになる際は事前に銀行から通知が届くため、そこで気が付けることもありますが、住所変更などを適切に行っていない場合、通知を受け取れないまま未利用口座扱いになることもあるため、注意が必要です。
また、10年以上お金の引き出しや預け入れなどの取引がない口座は「休眠口座」扱いになります。休眠口座に入っているお金は「休眠預金」として預金保険機構に移管され、金利はつかなくなり、引き出しには本人確認書類の提示が必要になるなど、手続きが面倒になるため注意しましょう。
証券口座整理は紙ベースの資産に注意
銀行口座を整理した後は、証券口座も忘れず整理しましょう。投資をしている場合は、ネットで取引しているケースも多いと思いますが、紙の株券が残っていないかなども確認することが大切です。紙の株券が出てきた場合は、証券会社や信託銀行などの金融機関で手続きをする必要があります。
併せてクレジットカードも整理
口座の整理と併せて、クレジットカードも整理するのがおすすめです。年会費無料となっているクレジットカードでも、1年に一度も利用がなかった場合は年会費が発生するカードもあり、気づかぬうちに年会費が引き落とされ続けているということもあります。
口座整理で通帳をチェックする際、使っていないのに引き落としのあるカードがないかを確認し、不要なカードが残っていた場合は解約してもらうようにしましょう。
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