《僧侶が説く片付け術》もったいなくて捨てられないメンタルを変えるために必要な“心の免疫”「処分したら購買欲のままに新しい服を買ってもいい」
長く暮らした家でも、さまざまな物があふれ、なんだか落ち着かない空間になってしまっていることがある。今は不要になってしまっているものや何となく所有したままのものなどを、きちんと見直して手放すことで空間に余裕ができれば心にも余裕ができる。そう説く『60歳を過ぎたら面倒ごとの9割は手放す』(アスコム)の著者・真言宗 密蔵院住職の名取芳彦さんに、60歳を過ぎたら物を上手に整理して、心を軽くしていく方法を教えてもらった。
教えてくれた人
真言宗 密蔵院住職・名取芳彦さん
なとり・ほうげん。大正大学米英文学科卒業後、英語教師を経て、東京都江戸川区鹿骨 元結不動密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所所長、豊山流大師講(ご詠歌)詠監。密蔵院でご詠歌・写仏・読経・法話の会などを主催し、仏教の教えをわかりやすく説く切り口が好評を博す。著書に『60歳を過ぎたら面倒ごとの9割は手放す』(アスコム)など。
服を減らすためには「処分」の経験を積むこと
服を減らすために必要なのは、「処分する」という具体的な行動を取ることだ。名取さんは、処分してクローゼットに隙間ができたら、購買欲のままに新しい服を買ってもいいという。せっかく処分したのに、新しい服を買えば意味がないと思うかもしれないが、「捨てようと思えば、捨てられるものだ」という、処分に対する心の免疫ができるようになるためだ。
また、保有する服の数を決めてしまうのもおすすめだ。処分する服を選ぶのではなく、着る服を選ぶため、処分に踏み切れない人でも採り入れやすい。
「上下三着でもいいし、三着だけ処分するのでも構いません。具体的な数を決めて実践するのです。大丈夫、やってみて服が足りないと思ったら、ショッピングセンターがいつでもあなたの来店を待っています」(名取さん・以下同)
期限を決めて、家具も見直し
服を減らしたら、家具についても見直すのがおすすめだ。処分するのはもったいない、と感じるのであれば、処分することで生まれる空間で実現できることを想像するといい。これまでは家具の配置を変えて模様替えをしてきたかもしれないが、家具がなくなれば、単に場所を変えるだけの模様替えとは違った配置が可能になる。
「『そのうちに……』なんて思っていると、何十年も変化のない“今のまま”が続きます。今月中、今年中と期限を決めて取りかかることをおすすめします」
食器も必要最低限の数に
友人や親戚が来たときのためにと用意しているうちに、気付くと家族の人数を優に超える量がそろってしまいがちな食器も早めに整理したいもの。「まだ使えるからもったいない」と考えていると、徐々に物理的、精神的に負担となってくる。
「人生後半で、大切にしていたお金や人脈、見栄などを整理していくように、いつ集まるかわからない来客のための食器なら、整理したほうがいいでしょう。最近では、デザインもバリエーション豊かなプラスチックや紙製の容器が簡単に手に入りますから、自宅に大勢人が集まるときは、それを使えばすみます」