酒やラーメン、肉の脂身もOK!日常生活で実践したい【中性脂肪・コレステロール値】をコントロールする生活習慣を医師が解説
血圧や血糖値と同様に、生活習慣病リスクの物差しとなる「中性脂肪・コレステロール」の数値。そのままにしておくと重大な疾患につながるリスクがあるが、40年以上患者を診察し続けてきた内臓脂肪研究の第一人者は「薬に頼らず改善可能」と断言する。そのメソッドとはーー。
教えてくれた人
栗原毅さん/栗原クリニック東京・日本橋院長
問題なのは中性脂肪
健康診断などで示される「中性脂肪・コレステロール」の数値は血圧や血糖値に比べて軽視されがちだが、そのままにはしておけないものだ。
「血液サラサラ」という言葉の生みの親で内臓脂肪の世界的権威、栗原毅さん(栗原クリニック東京・日本橋院長)が言う。
「血液中にはコレステロールや中性脂肪など様々な脂質が存在しますが、それらのバランスが崩れることで発症するのが『脂質異常症』です」(以下、「」 内コメントは栗原さん)
そのリスクは大きい。下記図の通り、脂質異常症には3つの診断基準があり、いずれも動脈硬化を促進させる。動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞につながり、悪化すれば人工透析が必要となる慢性腎臓病(CKD)になるなど、様々な疾患を引き起こす可能性がある。
「脂質異常症」3種の診断基準
【1】高中性脂肪血症 高トリグリセライド血症
(中性脂肪=トリグリセライド150mg/dL以上)
→中性脂肪が多すぎる!
【2】高LDLコレステロール血症
(LDLコレステロール140mg/dL以上)
→悪玉(LDL)コレステロールが多すぎる!
【3】低HDLコレステロール血症
(HDLコレステロール40mg/dL未満)
→善玉(HDL)コレステロールが少なすぎる!
中性脂肪増加で動脈硬化に!
「脂質異常症は重篤な病気の危険因子となり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳出血のリスクは正常な人に比べて5.1倍になるとの報告もあります。脂質異常症のほか高血圧、糖尿病、肥満が脳・心血管病の『4大危険因子』とされ、2つが重なるとリスクは9.7倍、3つ以上でリスクは31.3倍にまで跳ね上がります」
脂質異常症が「高脂血症」と呼ばれていた頃は“悪玉”とされるLDLコレステロールが注目・危険視されたが、近年は「中性脂肪こそが問題」であることがわかってきたという。
「コレステロールと中性脂肪については間違った“常識”が蔓延しています。善玉と言われるHDLコレステロールが少ないと動脈硬化が進みますし、一方で悪玉のLDLコレステロールが基準値より高くても、HDLが高ければ問題はありません。
そうしたなか、中性脂肪の増加は血液中のHDLを減らしLDLを酸化させるため、動脈硬化をより進めます。つまり、最も注意が必要なのは中性脂肪なのです」
血液中の中性脂肪が150mg/dL以上の「高中性脂肪血症」になると、いよいよ問題が深刻になる。
「血液中の中性脂肪の濃度が高いと血液がドロドロになり、血管を傷つけやすくなります。さらに最近の研究で、中性脂肪は通常のLDLコレステロールよりも小さい『超悪玉(sd LDL)コレステロール』を生み出すことがわかりました。超悪玉コレステロールは血管壁に入り込んで蓄積しやすく、酸化もしやすいため、動脈硬化により直結します」
「超悪玉コレステロール」発生のメカニズム
【血中脂質】
<中性脂肪が増加する主な原因>
・糖質の多い食生活
・過度な飲酒
・喫煙
・運動不足
【中性脂肪が増加すると…(血液ドロドロ状態)】
【1】HDL(善玉)コレステロールが減少
【2】LDL(悪玉)コレステロールが小型化
→「超悪玉(小型)sd LDLコレステロール」が発生!
→血管細胞を傷つける「酸化LDLコレステロール」に変化し……動脈硬化に!
※脂肪肝、糖尿病、高血圧、喫煙など危険因子が重なるとリスク激増