《4大認知症をどう防ぐか》専門医が解説する「生活習慣病」と認知症の深い関係 寄与率が高い項目として「LDLコレステロール高値」も
認知症の原因となる脳の障害を起こす病気は70以上もあることがわかっている。認知症と聞けば「アルツハイマー型認知症」が頭に浮かぶかもしれない。確かにアルツハイマー型認知症は全認知症の6〜7割を占め、数として多いことは事実だが、それ以外の認知症もあるのだ。
「アルツハイマー型」に加えて「血管性」「レビー小体型」「前頭側頭型」は4大認知症と言われている。そんな4大認知症を予防することはできるのだろうか。注意したいのは「生活習慣病」だ。
「恐れる」認知症から、「備える」認知症へと変わる「新しい認知症観」について現場を知り尽くす専門医が解説した『早合点認知症』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
教えてくれた人:内田直樹さん
認知症専門医。医療法人すずらん会たろうクリニック院長、精神科医、医学博士。1978年長崎県南島原市生まれ。2003年琉球大学医学部医学科卒業。2010年より福岡大学医学部精神医学教室講師。福岡大学病院で医局長、外来医長を務めたのち、2015年より現職。福岡市を認知症フレンドリーなまちとする取り組みも行っている。日本老年精神医学会専門医・指導医。日本在宅医療連合学会専門医・指導医。編著に『認知症プライマリケアまるごとガイド』(中央法規)がある。
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「生活習慣病」と認知症はここまで深く関係している
認知症の最大のリスク因子は「年をとること」とされますが、それは年齢を重ねるというより、年齢を重ねて老化が進むことです。私の臨床感でも、老化のスピードが速いほど、認知症のリスクは高いと感じている、とも。
そのこととも関係するわけですが、体の老化を進めてしまう「生活習慣病」は認知症になるリスクを上げる、と言えます。
2024年に新たに出された「認知症発症の修正可能な因子の割合」と、同2020年版をご覧ください。
4年の間に生活習慣病と認知症の関係がいっそう明らかになり、こうした因子が認知症のリスクになる確率がより高く評価されたわけです(集団寄与危険割合5%増)。
さらに注目すべきは、寄与率の高い項目として「LDLコレステロール高値」が入り、「視力障害」も追加されたこと。
実は、これらは生活習慣病と深く関係する事項で、「メタボリックドミノ」という生活習慣病の連鎖を示す図とも合致しています。
LDLコレステロール値が高いなどの脂質異常は、動脈硬化を起こし、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞をまねく要因となることがよく知られているでしょう。一方、視力障害と生活習慣病の関係はややわかりにくいかもしれないので、説明しておきましょう。