《4大認知症をどう防ぐか》専門医が解説する「生活習慣病」と認知症の深い関係 寄与率が高い項目として「LDLコレステロール高値」も
メタボリックドミノの最下流に「失明」とあります。
日本で失明原因の第1位は緑内障で、病気の原因ははっきりしていないとされているものの、欧米では、緑内障は「さまざまな原因で起こる視神経障害を含む病気の重積」、とくに視神経周囲の血流の悪化の影響大、と考えられているようです。
すると、この血流の悪化というのは、全身の、生活習慣病の原因となる血流の悪化の一部でしょうから、メタボリックドミノに緑内障の、(視力障害の末の)失明が含まれます。
さらに日本で失明原因の第2位は糖尿病性網膜症なので、やはり糖尿病由来の(視力障害の末の)失明もメタボリックドミノに含まれます。
視力障害が認知症と関係すると考えられるのは、私たちが「視覚」から実に多くの情報や刺激を受け取って生活をしていて、視力障害や失明によってそれが閉ざされてしまうためです。適切な眼科治療を受け、メガネなどの補助具を利用して視力を維持すると、認知症のリスクも低下するということです。
そもそもメタボリックドミノは上流の「メタボリックシンドローム」の手前までであれば、生活習慣の改善で後戻りでき、その先も、治療と生活習慣の改善で悪化予防が可能ですが、下流のある時点から不可逆的になってしまうと考えられています。
生活習慣病と認知症は密に関係していて、ドミノの上流にいる時点で生活習慣病を予防すること、病気になっても悪化を防ぐ治療をすることは、認知症の予防につながると言えるでしょう。
なお、日本最大の疫学調査として知られる久山町研究(九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野久山町研究室)でも、糖尿病や高血圧と認知症が密接に関係していることを示すデータは多数出ていて、研究室のホームページで公開されています。
生活習慣病予防のセルフケアのポイントは、バランスのいい食事、規則正しい生活、人とのつながりを保ち、話すこと、体を動かすこと、役割や目的をもって生きること、です。