「定食より丼物を選ぶ」「朝食前にランニング」が血糖ブースターの引き金に… 薬に頼らず血糖値を下げる“生活習慣”と“体操”を専門医が指南
食事や生活リズムが崩れやすい年末年始。食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足で通常よりも血糖値が上がっている人も多いはず。上がってしまった血糖値を下げ、服薬の煩わしさからもおさらばする方法を「ミスター血糖値」の異名を持つ医師に教えてもらった。
教えてくれた人
矢野宏行さん/やのメディカルクリニック勝どき院長、著書に『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』(アスコム刊)がある
血糖ブースターをオフにする「バンザイストレッチ」&「肩ぐるぐる体操」
血糖値も薬に頼らず下げることができるーーそう断言するのが、やのメディカルクリニック勝どき院長で「ミスター血糖値」の異名を持つ矢野宏行さんだ。
「血糖値は主に食事での糖質摂取や、空腹時に筋肉や脂肪に蓄えた血糖をエネルギーとして取り出す『糖新生』という体の仕組みによって上昇します。問題は日々の生活習慣のなかに、この糖新生を過度に引き起こす引き金があること。私はこれを『血糖ブースター』と表現しました。逆に言えば、血糖ブースターをオフできれば、血糖値は自然と下がります」(以下、矢野さん)
血糖ブースターのオン・オフを切り替えるスイッチは、食事や運動、就寝時間といった日常生活のいたるところにあると矢野さんは言う。
「食生活の乱れや体が過度なストレスに晒されると必要以上に血糖値を上げるホルモンが分泌され、血糖ブースターがオンになります。具体的には白米を好んで食べる、コーヒーや栄養ドリンクの多量摂取、激しい運動や熱い湯温での入浴などです(本文下部のリスト参照)」
血糖ブースターをオフにするために意識したいのが、食事の順番だ。
「肉や魚、野菜を先に食べてご飯を後に食べることが重要です。炭水化物に含まれる糖質は体へ吸収されるスピードが速いため、すぐに血糖値の上昇に繋がりますが、おかずを先に食べることで糖の吸収が抑えられ、血糖値の上昇が緩やかになる。ご飯を先に食べる人と後に食べる人の食後1時間後の血糖値を比較すると、前者は199で後者は126と、最大約70mg/dLも差がついたという調査結果もあります。早食いも血糖ブースターをオンにしやすいので、最低15分以上を目安によく噛んで食べましょう」
一方、運動には血糖値を下げるイメージがあるが、「種目」によっては逆効果になると矢野さん。
「卓球やテニス、バドミントンなどのように対戦相手がいてストレスが大きく、俊敏な動きが求められるスポーツはアドレナリンを分泌して血糖値を上げてしまう。ウォーキングやスイミングなど自分のペースで無理なくできる有酸素運動なら血糖ブースターをオフにできます」
有酸素運動は食後15分以内に行ないたい。
「食後30分〜1時間で血糖値が上がるので、その前に有酸素運動をすれば効果的です」
血糖ブースターをオフにするチェックポイント
※血糖値を上げる生活習慣/血糖値を下げる生活習慣/ポイント
【チェックポイント1】
<血糖値を上げる生活習慣>
食事はご飯から食べる
<血糖値を下げる生活習慣>
肉、魚、野菜を先に食べる
<ポイント>
食事でご飯をすぐに食べずに肉、魚、野菜から食べることでご飯に含まれる糖質の急激な吸収を抑える
【チェックポイント2】
<血糖値を上げる生活習慣>
丼物を食べる
<血糖値を下げる生活習慣>
定食を食べる
<ポイント>
丼などをかき込むと血糖値が急激に上がるので、なるべく定食を選んで最低15分かけて食べる
【チェックポイント3】
<血糖値を上げる生活習慣>
食べてすぐに寝る
<血糖値を下げる生活習慣>
寝る2時間前には食事を済ませる
<ポイント>
食事と食事の間を10時間は空けないと血糖値が十分に下がらない
【チェックポイント4】
<血糖値を上げる生活習慣>
熱い湯、サウナに入る
<血糖値を下げる生活習慣>
40℃程度の風呂に10分以内の入浴をする
<ポイント>
風呂が熱すぎると交感神経が優位になり、血糖値も上がりやすい
【チェックポイント5】
<血糖値を上げる生活習慣>
朝食前のランニング
<血糖値を下げる生活習慣>
朝食後15分以内にランニングをする
<ポイント>
食後、急激に血糖値が上がる前に有酸素運動をすることで血糖値の上昇を抑える
【チェックポイント6】
<血糖値を上げる生活習慣>
人と競うスポーツをする
<血糖値を下げる生活習慣>
誰とも競わないウォーキングをする
<ポイント>
卓球、テニス、バドミントンなど活動量が大きく人と競う運動はストレスにより血糖値が上がりやすい