高血圧・高脂質・高血糖が引き起こすリスク 医師がすすめる食事の“置き換え”「うどんはそばに」「肉は鶏肉を」「砂糖よりはちみつ」
加齢とともに気になる体の衰え。そこに大きく関わっているのは血管だ。動脈硬化や高血圧など血管に関する病気はよく聞くが、なかなかイメージしにくい血管の健康の重要性と手軽にできる食事の改善方法について、『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)の著者で内科医のドクターハッシーこと橋本将吉さんに教えてもらった。
教えてくれた人
橋本将吉(ドクターハッシー)さん/内科医
東京都出身。高齢者向けの訪問診療『東京むさしのクリニック』院長。2011年に「医学教育という専門領域から、日本と世界の明るい未来を創造する」という理念の元、リーフェホールディングス(旧リーフェ)を設立。医学生向けの個別指導塾『医学生道場 』(https://igakuseidojo.com/)の運営や、YouTuber『ドクターハッシー(内科医 橋本将吉)』として健康情報の発信。2022年9月に健康や医学を医師から学ぶ事のできるサービス『ヘルスケアアカデミー』 (https://healthcare-academy.co.jp/)をリリース。2か月で300人を突破。
血管は健康の重要なライフライン
栄養と酸素を運ぶ血管。成人の体の中にあるさまざまな血管をつなぎ合わせると、約10万km=地球2周分の道ができるといわれている。血管は弾力性があって丈夫にできており、内壁は血液がスムーズに流れるようになめらかにできている。
「栄養などを運ぶ力に大きく影響しているのが、血管であり血流です。栄養を隅々まで運ぶ運搬力、傷ついた体を修復する回復力、有害物質を体外に排泄する解毒力、体に害を及ぼす敵から身を守る防御力、体を思い通りに動かせる運動能力、物事をしっかりと認知する認知力、これら6つの力にすべて関わっています」(橋本さん・以下同)
しかし、血管は加齢や生活習慣によって、でこぼこして硬くなっていき、動脈硬化を起こしてしまう。動脈硬化が起きて血管が弱った状態になると、運ばれる栄養や酸素が少なくなったり滞ったりして、臓器がダメージを負い、使えなくなることも。すると、体が一気に衰えてしまうのだ。
血管の不調は“3高”を健康診断でチェック
健康に大きく関わる血管だが、不調に気づきにくいという特徴がある。血管が硬くなったり、不要なものがこびりついたりしても、見ることも知覚することもできない。手足が痺れる、胸が苦しい、ろれつが回らないなどの自覚症状が出てきたときには、すでに動脈硬化が進んでいる状態だ。
そのため、自覚症状が出る前から血管の健康に意識を向けることが必要。まずは健康診断で数値を目の当たりにして、意識を向けることが大切だと橋本さんは語る。
「高血圧・高脂質・高血糖は血管をボロボロにする“3高”。この3つを気づかうことで、健康な血管を守ることができます」
高血圧・高脂質・高血糖が血管に悪影響をもたらす理由
高血圧の主な原因は、塩分のとりすぎ。塩に含まれるナトリウムは、水分を引き寄せる効果があり、血中のナトリウムが増えすぎると、細胞にある水をどんどん引き寄せてしまい、血管の水分量が増えて、血管がパンパンに膨らんでしまう。そして大量の血液が荒々しく血管に圧力をかけ、血管が傷つきやすくなるのだ。また、体重の増加やストレスによっても、血圧が高くなり続ける危険性がある。
高脂質は、余分な脂によって引き起こされるもの。脂はLDLコレステロールやHDLコレステロールという形で血管内を移動しているが、LDLコレステロールが血管にくっつくと、マクロファージという細胞が異物を認識し、多く集まって血管がぐちゃぐちゃとした状態になり、炎症を引き起こす。さらに炎症した部分を硬い細胞でふさぐことで、血管に硬いコブのようなものができ、何個もこのコブができてしまうと、血流が悪くなって運搬力が下がり、最終的に動脈硬化を起こしてしまうのだ。
高血糖は、血糖値がずっと高い状態のことで、糖を運ぶ役割をする細胞に合図を出すインスリンの分泌量が低下し、インスリンを出す膵臓自体も疲労してしまう状態のこと。インスリンがずっと多い状態でも、各細胞の反応も悪くなり、血液中に糖が残ってしまう。糖が血管の壁にくっつき、糖化が起こると、LDLコレステロールと同様に血管に炎症が起きてしまい、動脈硬化を促進する原因となる。