専門家直伝「減塩アイデア」17選「ドレッシングよりマヨネーズ」など調味料の使い方で工夫を!
少し歩いただけで汗がしたたる季節、「塩分チャージ」は熱中症対策にも欠かせないが、摂りすぎは禁物。日本人の塩分摂取の目標は1日に6.5g未満(女性の場合)とされているが、実際には10gほど摂っているとの推計も。過剰に摂れば生活習慣病やむくみの原因にもつながる塩分をほどよく減らすための「減塩術」はこんなにあるんです!
※レシピの分量は2人分です。※塩分量は1人分です。
※電子レンジは600Wを使用しています。※塩は天然塩を使用しています。
※分量の()内のgは正味量です。
教えてくれた人
■今泉久美さん/料理研究家
栄養学に基づいた塩分控えめでおいしい料理に定評。女子栄養大学栄養クリニック特別講師。雑誌、テレビなどでも活躍。近著に『「豆」を食べる習慣が体を守る!』など。
■金丸絵里加さん/管理栄養士
料理研究家、フードコーディネーターとして活躍するほか、栄養指導や飲食店のメニュー開発などにも携わる。『10分で作れる! やせるおつまみ』など著書多数。
■佐野こころさん/医学博士
大手料理教室のヘルスケア部門立ち上げなど女性のライフスタイルから考える健康や食事の情報を発信。書籍に『最強の健康法 ベストパフォーマンス編』がある。
■清水加奈子さん/管理栄養士
国際中医薬膳師、国際中医師、調理師の資格を持ち、中医学に基づいた薬膳レシピやダイエットレシピが得意。監修書に『太らない食べ方 新装版』など。
■中沢るみさん/管理栄養士
栄養カウンセラーとして「食でカラダ革命」をテーマに企業や学校などで、体だけでなく心も元気になる食べ方や、体や心の不調を解消する食の講演を行う。
■牧野直子さん/管理栄養士・料理研究家
女子栄養大学在学中から栄養指導にかかわり、ダイエットやメタボ対策レシピなども多数発信。『おいしい かんたん 作りおき 高血圧・減塩レシピ』など著書多数。
【アイデア1】サラダは市販のドレッシングではなく良質なオイルを使った手作りドレッシングで
「自分で作ると、市販のものより塩分調整がしやすい」(牧野さん)、「自分で作れば同じ味に飽きることもなく、添加物なども避けられる」(金丸さん)
●万能フレンチドレッシング簡単レシピ
酢1/3カップ、オリーブオイル(または米油)1/2カップ、塩小さじ1、砂糖小さじ1/2、こしょう適量を混ぜ合わせる
「生野菜にも温野菜にも合いますよ」(牧野さん)
【アイデア2】もずく酢を味つけに使う
「もずく酢は1パックあたり1g程度のものが多いので、オリーブオイル、こしょうそれぞれ適量と合わせた創作ドレッシングはおすすめの組み合わせ。サラダはもちろんお豆腐にかけてもおいしい」(清水さん)
【アイデア3】ドレッシングよりマヨネーズ、しょうゆよりぽん酢
「しょうゆよりもぽん酢の方が塩分量が少なく、さっぱりしていて夏にぴったり」(牧野さん)、「塩分量で考えるとドレッシングよりもマヨネーズの方が少ない。また、大さじ1の場合、しょうゆの塩分量は約3gでぽん酢なら約1.5gとおよそ半分」(清水さん)
【アイデア4】レモンや酢など酸味を活用する
「酸味を加えることで味が際立ち、塩分が少なくても満足できる」(金丸さん)、「レモン、酢、黒酢などの酸味は塩分の物足りなさを補足してくれるので減塩につながる」(清水さん)
【アイデア5】昆布やかつおぶしなどだしを効かせて
「だしの旨みによって塩分を控え目にしても味が濃くなる。おすすめは体内のナトリウムを排出するカリウムが豊富な昆布。粉末昆布も塩味を足したいときに便利ですが昆布茶は塩分が大量に含まれるので逆効果」(中沢さん)
【アイデア6】ゆずこしょうと塩は“共演NG”
「ゆずこしょうは酸味づけやスパイスとしても活用できますが塩がしっかり入っているので、他に塩分は入れないで。お肉や魚への下味として使用する場合も、量と他の調味料との兼ね合いに気をつけて」(金丸さん)
【アイデア7】毎日少しずつ味を薄くしていく
「3日~1週間ほどで舌は味の変化に慣れていくので、一気に減らすのではなく少しずつ薄味に慣れる練習を」(金丸さん)、「いつもしょうゆやドレッシングを2回しかけているならまずはひと回しにしてみるなど使う量を減らしてみて」(牧野さん)
【アイデア8】唐辛子や山椒は塩味を強く感じさせる
「唐辛子の辛み成分であるカプサイシンや、山椒の辛み成分であるサンショオールには塩味を強く感じさせる効果がある。一方、豆板醤は塩がしっかり入っているので使いすぎには注意して」(中沢さん)
【アイデア9】煮込みの味見はいったん味をなじませてから
「煮物や煮込み料理はグツグツしている状態や、煮上がってすぐだと味がしっかり入っていないため薄味と感じて調味料を多く入れすぎてしまう。1度冷ますなど時間を少し置いてから味を調整すると◎」(清水さん)
【アイデア10】サラダの野菜には先にオイルを絡ませる
●夏野菜の中華サラダ(塩分 0.6g)レシピ
<作り方>
【1】レタス2~3枚はひと口大にちぎり、水気をしっかり拭く。
【2】きゅうり1/2本は斜め薄切り、トマト1個(150g)はひと口大の乱切りにし、長ねぎの白い部分5cmは白髪ねぎにする。
【3】ボウルに【1】と【2】を入れ、ごま油大さじ1を加えて全体に絡める。酢大さじ1/2、塩・砂糖各小さじ1/4、こしょう少量を加えてざっと混ぜる。
「オイルで野菜をコーティングすることで水っぽくならず調味料がしっかり絡んで少ない量で味が決まります」(今泉さん)
【アイデア11】ごま油やオリーブオイルでコクを出す
「香りの強いオイルにはコクがあって味に深みを出すので、調味の仕上げに加えたり、下味に使用することで塩分量の多い調味料の使用を抑えられる」(牧野さん)
【アイデア12】「ノンオイルドレッシング」はNG
「市販のドレッシングの中でも塩分量が多いのが中華ドレッシングや和風ドレッシング。そしてそれより多いのが実はノンオイルのもの」(清水さん)、「ノンオイルだと旨みやコクが不足し、カバーするために塩味が足されていることが多いので要注意」(牧野さん)
【アイデア13】調味料は「目分量」ではなく「きっちり計量」
「目分量で計算すると入れすぎてしまうので、きっちり計ることが大切」(佐野さん)
【アイデア14】香味野菜をたっぷり使う
「しそやしょうが、にんにくなどの香味野菜はだしや酸味と同様、少ない塩分量でも香りで満足感を与えてくれる」(牧野さん)
【アイデア15】スパイスの香りで満足感アップ
「カレー粉などは減塩につながるだけでなく、食欲増進効果で夏バテ予防にもいい」(佐野さん)、「照り焼きやから揚げなどいつもの料理に少し加えると味変にもなるし、しょうゆや塩の量を抑えられる」(金丸さん)
【アイデア16】減塩調味料の「甘み」にだまされない
「減塩調味料の中には甘みが強いものがあり、そうすると塩分を加えたくなってしまうので気をつけて。“減塩のものだから”とついつい使いすぎてしまうことにも注意が必要」(金丸さん)
【アイデア17】味つけは「ピンポイントでする」とメリハリがつく
「料理全体に均一に味をつけようとすると濃くなってしまうことがある。たとえばちらしずしは数種類の刺身だけ漬けにしてしっかり味をつければ他は薄味でも締まる」(今泉さん)
撮影/深澤慎平 レシピ・調理・塩分計算/今泉久美 取材・文/平井薫子 取材/小山内麗香、三好洋輝
※女性セブン2024年8月1日号
https://josei7.com/
●減塩でもコクとうまみの最高のだしでおいしい!「きのこの汁もの」レシピ12選