2025年は大相続時代到来?「家じまいに関する意識調査」から空き家問題の課題をレポート
次いで検討者に、売却を検討しつつもそれに至っていない理由を尋ねると、「特に理由はない(面倒だ、など)」が21.1%で1位という結果となった。さらに、「情報は集めているが、検討をする時間的な余裕がない」(18.3%)が3位、「家の片づけが終わらない」(16.3%)が5位など、時間に関係する回答が目立った。
検討者が家じまいを考えているにも関わらずできていない最大の原因に理由がないという驚きの結果に。前問の知識面での不安を抱える人が多いという結果と併せると、わからないからこそ「なんとなく面倒くさそう」と思ってしまう人が多いことが最大の要因だと考えられる。この点が解決しないと、将来「なんとなく空き家」が発生する可能性も高まると言える。
また、3位や5位にランクインしているように、相続世代の時間のなさも大きな一因となっているようだ。いかに手間をかけずに手続きを進められるかも、家じまいを進めるポイントになるだろう。家の片付けについては、終活も含め早めの準備や家族・親族との話し合いが必要であると同時に、経験者の多くが時間的余裕のなさのせいで売れるはずのものが売れなかったと後悔していることと併せて、家じまいの家財をどうするかは今後の大きな課題となりそうだ。
Q7:経験者の売却方法
続いて経験者に、売却方法について尋ねた。すると7割以上が「不動産会社の仲介」(72.3%)と回答し、2位の「不動産会社の買い取り」(17.4%)に55%ほどの差をつける結果となった。
一方、最近は不動産会社各社で直接買い取りの強化の動きが見られる模様。今後は直接買い取りの割合が増えていく可能性もあるようだ。
Q8:会社選びの重視ポイント
最後に、会社選びの際に重要視するポイントについての質問を行った。すると検討者では「査定価格が納得がいく」(35.7%)が2位と10%以上の差をつけて圧倒的な1位だったのに対し、経験者では「会社が信頼できる」(21.4%)が「査定価格が納得がいく」(21.1%)を超えて1位となった。
また、経験者においては「担当者の説明が丁寧」(11.1%)や「友人家族などの紹介」(11.4%)など、信用できる相手なのか、という項目に票が多く集まる傾向が見られた。知識や経験がない、かつ時間も割きにくい中での大きな金額の取り引きだからこそ、最終的には信頼性の部分を重視した人が多い結果となった。
調査結果を振り返って
所有者の高齢化や逝去などをきっかけに、家じまい=自宅売却を検討し始めるケース、及び子供が実家を売却することを考えるケースが増えている。その背景には、このまま家を残して亡くなって子供や親族に迷惑をかけることを不安視したり、介護施設などへの入居を決めたりといったことがあるようだ。
アンケート結果でも、使う見込みがなくなった家の維持費や修繕費を筆頭に、親世代の高齢化及び逝去をその理由として挙げている回答が多い。住宅ローンや税金の納付が重荷にというケースや、介護施設への入居費用捻出といったケースもあり、自宅・実家を維持するのに専ら経済的な負担が大きくなったこと、それを解決する手段として売却を検討していることが窺える。
住み慣れた我が家、思い出の詰まった実家を、後悔なく家じまい・実家じまいするためには、何かと時間と手間が掛かることも判明した。なんとなくわからないまま空き家にしてしまわないためにも、他人事ではなく自分事として考えておく必要がある。まだ早いと思う内にも一度家じまいについて考えてみてはいかがだろうか。
【データ】
オープンハウスグループ
https://openhouse-group.co.jp/
LIFULL
https://lifull.com/
【調査概要】
調査期間:2024年7月22日~7月24日
調査対象:実家や生家の売却を経験した、もしくは検討している男女
調査方法:インターネット調査
有効回答数:700名(経験者350名、検討者350名)
※オープンハウスグループの発表したプレスリリース(2024年9月10日)を元に記事を作成。
図表/株式会社オープンハウスグループ提供 構成・文/秋山莉菜
●松本明子さんが振り返る「本当に大変だった“実家じまい”それでも、自分でやってよかった」と語る理由