2025年は大相続時代到来?「家じまいに関する意識調査」から空き家問題の課題をレポート
続いて経験者には実際の売却期間を、検討者には想定する売却期間を尋ねた。経験者の最多回答は「3か月~6か月未満」(31.1%)となった一方で、検討者では「3年以上」(22.9%)が最多となり、実際の売却期間と検討者の想定では大きな差があることが判明した。
一般的に相続税の支払いは現金一括払いであり、かつ亡くなってから10か月以内には現金化する動きが必要となる。また、売却が決定してから引き渡しまでは3~4か月かかるため、実際に検討できるのは3~6か月が限度のようだ。既に相続税を支払っている場合でも、Q1の結果で1位であったように、家の修繕費や管理費、固定資産税などが負担になり売却を決めた人も多いだろう。経験者の売却期間が短いのにはそういった相続税支払いや管理・維持コストが関係していることが推測される。
Q4:経験者が苦労したことや後悔したこと
次いで経験者に、家を売却した際に苦労したことや後悔したことについての質問を実施。2位「依頼をする不動産会社を複数しっかり比較しなかった」(26.7%)は売却価格面での後悔に紐づくものと思われ、1位の「思うような価格で売れなかった」(39.1%)と合わせると多くの人が売却価格面での後悔をしていることが明らかとなった。
一方で、「(不動産以外の)売れそうなものがあったが、手間と時間で売ることができなかった」が20.8%で3位にランクイン。5人に1人が、価値がありそうで本当は売りたかったけれど売却のための手間が面倒であったり、退去まで時間がなく売ることができなかった、という後悔を抱えているという結果となった。この「残置物」をどう価値化するかは、今後の大相続時代の課題となるだろう。
また、売却の方法によっては、想定外のコストや手間がかかることも。売却が長引くほど管理などのコストが掛かるほか、仲介の場合は家の取り壊しや残置物の処分なども自ら手配し支払う必要があったり、購入希望者の内乱に都度立ち会う必要があったりと、家が遠い場合は手間が増える点にも注意しておきたい。
Q5:検討者が一番心配や不安なこと
検討者に対しては、売却を検討する中で心配や不安なことは何かを尋ねた。その結果、最も多かった回答は「希望の値段で売れるか」(37.6%)となり、やはり価格面での心配が強いことが窺える。続いて2位が「売却にかかる手間」(16.1%)。そして3位の「何もわからないのが不安」(15.2%)、4位の「売却や相続に関する税金関連の知識がなく不安」(14.0%)と、知識面での不安を抱える人も多いことが判明した。