白内障とは?|美智子さまも受けられた|症状・治療・手術のタイミングなど名医が解説
患者側にとって安心・安全な手術を気軽に受けられるいい時代になったといえそうだが、藤本医師は「半面、急速に進歩したことによる弊害を感じて反省するときもあります」とやや視線を落とす。
「周りの同世代の人たちに『白内障手術で眼がよくなった』と聞く機会が増えて、『今の白内障手術は万能なんだな』『私もお医者さんの言うとおりにしていれば治してもらえるだろう』と思っている人が多い気がします。確かに医師の話に耳を傾けていただきたいのは基本ですが、白内障手術は患者さん自身の選択に任される部分がいくつもあります。そこを疎かにすると思ったような治療効果を得られなかったり、手術自体を『受けなければよかった』と後悔したりすることになりかねません」
たとえば「いつ手術をするか」という選択。よほど重度の白内障でない限り、本人が日常生活で不自由を感じなければ急いで手術を受ける必要はない。とくに若い世代は、手術時期の見極めが重要だという。
「白内障手術は水晶体を人工の眼内レンズに置きかえます。水晶体には眼のピントを調節する機能があるため、それを除去するとピント調節ができなくなります。もともと老眼でこの機能が衰えている人なら、白内障をとり除いたことによる改善効果のほうをより強く感じるでしょう。しかし若い世代で老眼がそれほど進行していない場合、手術すると不便のほうをより強く感じ、『もっとあとにすればよかった』と後悔する可能性があるのです。手術を受けるメリットとデメリットを照らし合わせて、ご自分のベストのタイミングを選んでください」
藤本医師のこの項に関する説明をまとめると、次のようになる。
●白内障手術のタイミングを決めるときの目安
・メガネをかけても視力が両眼で0.7を下回った
・老眼がある程度、進行している
・本人が日常生活で「見えにくい」と感じている
●白内障手術を受けるメリット
・「眼がかすむ」「まぶしい」などの症状がなくなる
・屈折異常(遠視、近視、乱視など)を矯正できる
●白内障手術を受けるデメリット
・眼のピント調節機能を失う
・場面によってメガネの着用が必要になるケースが多い