白内障とは?|美智子さまも受けられた|症状・治療・手術のタイミングなど名医が解説
「眼内レンズは現在も新しい機能をもつ製品が続々と開発されていますが、ここでは1点にピントが合うようにつくられている『単焦点眼内レンズ』、遠方・中間・近方のうち2点にピントが合う『多焦点眼内レンズ』、さらにさまざまな機能を付加した『進化型の多焦点眼内レンズ』の3種類に分けて説明したいと思います」
この3種類にはそれぞれ幅広い度数が用意されている。メガネやコンタクトレンズを選ぶように患者の視力に合う度数を処方し、それによって遠視や近視、乱視などの屈折異常を矯正することができる。
それぞれの特徴は次のようになる。
●単焦点眼内レンズ
・遠方・近方のいずれかにピントを合わせ、その距離のものをはっきり鮮明に見ることができる
・プログラマーや縫製業など、同じ距離に位置するものを見ることが多い職業の人に向く
・公的な医療保険が適用される保険診療(3割負担なら手術代金は片眼36,000円が目安)
・ピントが合う距離以外のものを見るときはメガネ着用が必須
●多焦点眼内レンズ
・遠方・中間・近方のうち2点にピントを合わせることができ、遠近両用のメガネやコンタクトレンズに近い使用感
・選んだ2点の距離はまずまず見えるが、鮮明度は単焦点眼内レンズより低い
・メガネの使用頻度が単焦点眼内レンズより大幅に減り、まったく着用しないで済む場合も
・夜はハロー(光の周辺に輪がかかっているように見える現象)やグレア(光をまぶしく感じやすい現象)が強くなる傾向にあるため、夜間に運転する人には向かない
・公的な医療保険が適用されない自由診療(片眼の手術代金は40万~60万円が目安。ただし先進医療扱いになる場合も→(詳しくは次項を参照)
●単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの見え方の違い
●進化型の多焦点眼内レンズ
・3焦点回折型眼内レンズ(ファインビジョン)…遠方・中間・近方にピントが合う。自由診療
・EDOF眼内レンズ(ミニウェル)…夜間でもハロー・グレアが出にくい。自由診療
・完全オーダーメイド型多焦点眼内レンズ(レンティス)…遠方から近方までスムーズな見え方。自由診療
「気を付けたいのは、その眼内レンズを選んだら術後はどのような見え方になるかを把握しておくことです。たとえば『遠くは今でもよく見えるから、手術後は手元がもっと見えやすいように近方距離の単焦点眼内レンズを使いたい』という患者さんは術後の見え方を誤解しています。手術すれば水晶体のピント調節機能を失いますので、今までのような遠方の見えやすさはなくなり、眼内レンズの力で近方のみがはっきり見えるようになるのです」