体にいい酢の種類とその効能|血圧、血糖値、動脈硬化対策に正しい酢の摂り方

1位 黒酢
「一般的な穀物酢が1Lあたり40g以上の米を使う規定になっているのに対し、黒酢は1Lあたり180gという規定なので、その分アミノ酸が豊富。血圧、血糖値、コレステロール値、中性脂肪を下げ動脈硬化の予防になります」(中山さん)
「米酢や果実酢と比べ抗酸化作用が強いという研究結果もあります」(望月さん)
「煮ものや照り焼きにおすすめ。色の濃い黒酢は、脳が錯覚して味を濃く感じる効果もあるため減塩につながります」(本多さん)

2位 米酢
「和祥との相性がよく、まろやかな酸味。クエン酸が疲労回復やダイエットにも効果的」(望月さん)
「昆布や煮干しを漬けておいて『だし酢』を作り、そこにミニトマトやきゅうり、キャベツなどを漬けると深みのある味わいの酢漬けができます」(本多さん)

3位 バルサミコ酢
「ぶどうを原料にした果実酢の一種。コクと甘みがあるので肉料理にも合います」(望月さん)
「香りが豊かで、ツンとくる刺激が少ないためサラダのドレッシングに最適。ポリフェノールも豊富」(本多さん)

4位 りんご酢
「ポリフェノールなどが豊富。ビタミンCを保護する効果も」(沢木さん)
「ナトリウムを排出するカリウムが多く、血圧が高めの人に最適」(中山さん)

5位 ワインビネガー
「ワイン用に搾った後のぶどうを再利用します。コレステロール抑制、抗酸化作用が期待できます」(山中さん)
「100gあたり22kcalとほかのお酢より低カロリーです」(望月さん)

6位以下
「玄米酢」/黒米酢とも呼ばれ、旨み成分を豊富に含む。
「きび酢」/さとうきびの搾り汁を発酵させて造る醸造酢。カルシウム、カリウム、鉄などのミネラルが豊富でエイジングケアに効果的。
「紫芋酢」/あやむらさきが主原料。ポリフェノール成分“アントシアニン”が眼精疲労を緩和する。

★摂らない方がいい酢

合成酢
「合成で作った酢酸を水で薄め、砂糖や調味料などを加えた酢。安いので大量に作ることができます。あまり見かけなくなりましたが、古いラーメン店などではテーブルに置かれているかもしれません」(中山さん)
「醗酵や熟成をさせていないため酢の健康効果はなく、添加物の危険性のみが残ります」(沢木さん)

調味酢・加工酢
「醸造酢に果糖ぶどう液糖や食品添加物を多用して味を調整、本来の酢とは別物です。添加物の有無は、値段には関係ないので必ず原材料を確認しましょう」(沢木さん)

4人の専門家が選んだ体にいい酢ダントツは1位は「黒酢」

 酢の効果や摂り方がわかったところで、やはり気になるのは、多種多様な酢の違いだ。風味だけでなく、より健康に効果的な酢はあるのだろうか。今回、4人の専門家に「体にいい酢」について話を聞き、その意見を総合的にまとめたところ、ダントツの1位は「黒酢」だった。  

 黒酢は、玄米、大麦などを原料に、1年以上の発酵熟成期間をかけて作るため、黒褐色になることから黒酢と呼ばれる。

黒酢には、血圧、血糖値、コレステロール値や中性脂肪を下げる効果があるので、心臓疾患の原因となる動脈硬化の予防になります。内臓脂肪も減らすため、肥満予防にも効果的です。ほかの穀物酢にも同様の効果がありますが、黒酢の5~8倍の量を摂らなければ同じ効果は得られません。私が研究で使用しているのは、添加物を加えず、1年以上かけて自然熟成させた黒酢。黒酢を選ぶ時は、保存料や添加物が入っていないこと、熟成期間が1年以上であること、原材料と使用量が必ず明記されているものを選んでください」(中山さん)

 沢木さんは、玄米だけを使った「米黒酢」をすすめる。

「米黒酢は、精米されていない玄米を1Lにつき180g以上使って造られ、ミネラルや食物繊維など、玄米の栄養がそのまま含まれています」

 黒酢は、まろやかな酸味とコクも特徴だ。酢豚や焼きそばなどの中華料理に使うのもいいが、ドリンクにするのもいい。

「黒酢ドリンクは、くせがなく飲みやすい。米酢や果実酢に比べて、アミノ酸が豊富に含まれているので、吸収がよく、疲労回復効果も高い。また黒酢には強い抗酸化作用があるという研究もあります」(望月さん)

 2位にランクインしたのは、「米酢」。

「米酢のクエン酸には疲労回復効果があります。さらにエネルギー代謝を活発にするので、ダイエットにも強い味方です」(望月さん)

 しかし、選ぶ時には商品名をよく見たい。

「家庭ではよく米酢が使われますが、『純米酢』と、単なる『米酢』は質が違う。米酢は醸造アルコールが使われていることがあり、この醸造アルコールとはエタノールのこと。エタノールには中毒性があると指摘されています。ぜひ純米酢を選んでほしい」(沢木さん)

 3位は、バルサミコ酢。ぶどうを原料にした果実酢で、ドレッシングとしてサラダにかけたり、肉料理の味付けのポイントに使ったりと、イタリアでは日本の米酢のように一般的に使われている。

「ぶどうが原料のバルサミコ酢は、赤ワインと同じように、ぶどうポリフェノールが豊富に含まれているのでコレステロールの抑制に効果的です」(中山さん)  

 続いて、バルサミコ酢と同じ果実酢の「りんご酢」が第4位。爽やかな風味が特徴で、酢が苦手な人でもドリンクにすれば飲みやすい。

「水やソーダでりんご酢を薄めて、食欲がない時は食事前か食事の最中に、胃腸が弱い場合は食後に飲むのがいい。原料がりんごなので、カリウムやりんごポリフェノールを多く含み、むくみ予防や抗酸化作用を期待できます」(望月さん)

 第5位は「ワインビネガー」。バルサミコ酢と同じくぶどうを原料としているが、バルサミコ酢より酸味が強く魚料理に向いている。

「ワインのように“赤”と“白”があり、赤は抗酸化成分が、白は抗菌成分が豊富です。ほかの酢より低カロリーなところも優れています」(望月さん)

 基本的には、添加物が入っていない純粋な酢なら、栄養や健康効果に大きな差はない。また酢は、長期保存に適した調味料なので、高温と直射日光を避ければ開封後も常温で2年は保存できる。

「酢そのものが殺菌作用を持っていますし、製造工程で不純物が取り除かれているため、30℃の部屋に置いていても、すぐに腐るようなことはありません。開封後も日の当たる場所を避けて、常温保存で問題ありません。しかし、加工している酢は、開封後は常温で保存できなかったり、賞味期限が短いものもあるので注意してください」(中山さん)

 いろいろな酢を買って、調理方法に合わせて使い分けてもいいだろう。一方で、専門家たちがおすすめしない酢もある。合成酢や調味酢の添加物の危険性については前述したが、沢木さんはそれ以外にも避けてほしい酢があるという。

「価格があまりにも安すぎる酢は危険です。穀物酢など、1本100円前後という商品も見かけますが、産地が不明瞭な米や小麦、酒かす、とうもろこしなどの穀物が使われている可能性があります。遺伝子組み換えの農作物が使われている恐れもあり、健康被害のリスクがあります」

 意外なものとしては、健康食品としてのイメージが強い「もろみ酢」は、食酢の中には入らない。

「泡盛を蒸留させた後に残る酒かす(もろみ)を原料としており、主成分はクエン酸です。酢酸菌を使って発酵させていないため、食酢には含まれません。アミノ酸やミネラルなどの栄養素は豊富ですが、疲労回復や血圧低下など酢酸の効果を得たい場合は、食酢の方がいいでしょう」(望月さん)

 また、沢木さんは「子供にこそ純粋な酢を摂らせてほしい」と話す。

「子供は酢の酸っぱさが苦手の場合が多いですが、酸味は学習して獲得する味覚です。子供の時に食品添加物の味に慣れてしまうと、正しい味覚の獲得ができず、大人になっても健康にいい食材の味が苦手なままという大きな弊害を生みます」

 酢が私たちの健康を支えてくれるのは、夏だけの話ではない。家族の一生の健康に大きな役割を果たしてくれるのだ。

※女性セブン2019年7月11日号

●「酢納豆」を食す三浦雄一郎氏 84才で身体測定は20代の数値

●大豆のすごいパワー|寝ていても筋力が40%増える理由

●その不調、梅雨のせいかも|気象病とは?チェックリスト、症状、対策

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