体にいい酢の種類とその効能|血圧、血糖値、動脈硬化対策に正しい酢の摂り方
では、どのように酢を摂ればいいのだろうか。基本は1日に大さじ1杯の酢で効果を期待できるが、中山さんは、「1日に大さじ2杯の黒酢」が最も健康効果が高いと話す。
「食酢メーカーと共同で研究した結果、体重1㎏につき、0.5mlで健康増進につながるとわかりました。体重50㎏なら、約大さじ2杯です。それを3回に分けて摂取したところ、血圧やコレステロール値の低下が効果的に確認できました。かといって、たくさん飲めば飲むほど効果が上がるわけではないため、適量を守ってください」
弱酸性の酢は、摂り方を誤ると逆効果になる。
「一般的な酢の酢酸濃度は4.5%ほど。体にとって適度な刺激となる濃度は、0.8~1%ですから、摂取する時には5倍以上に薄めること。口内炎があった場合、酢を原液で口に含むと刺激が強くて悪化しますが、5倍以上薄めると修復効果があります。同じものなのに、薄めることでまったく効果が変わるのです。濃度が高い方が効果的だと思っている人がいますが、決してそんなことはありません」(中山さん)
高濃度の酢飲料の危険性を望月さんが補足する。
「酢酸濃度が30%の酢酸を摂取すると、激しい腹痛や嘔吐、血尿、さらに呼吸困難や全身の血管で血液凝固が発生する『播種性血管内凝固症候群』が起こったという報告があります。濃度30%ほどの酢酸は医療用として使われることがありますが、原液を経口摂取しないようにとの注意書きがあります。市販のお酢であっても、原液で飲んだり、過剰摂取することは健康被害のリスクを高めます」
「酢を飲むと歯が溶ける」「酢を飲むと体が柔らかくなる」は本当か
酢を飲むと酸によって歯が溶けるのではないかという説があるが、本多さんは、「溶けないとは言いきれない」と言う。
「酢酸には、カルシウムを溶かし出す作用があります。歯にもカルシウムが含まれるため、酢を摂取すると少しは溶けます。とはいえ、食事で摂取する程度の酢であれば、唾液によって修復されるので問題ありません。ただし、酢の原液を口に含んで、長時間、歯に酢酸が付着したまま放置していると影響がある恐れも。ほかに食事せず酢だけを摂取した後は、口をゆすいだり水を飲んだ方がいい」
また、昔からよく「酢を飲むと体が柔らかくなる」というが、こちらも「科学的な証明はされていませんが、酢のいくつかの効能を鑑みると、あながち嘘とはいえない」と沢木さんが言う。
「酢を摂ると血流がよくなり、毛細血管まで酸素と栄養素を送り届け、体を温めます。すると筋肉が柔らかくなり、体を動かしやすくなるとも考えられます」(沢木さん)
料理に酢を使えば、食材の栄養素を無駄にせず体に吸収することが可能だ。
「海藻類やにらなどの消化しにくい食材でも、酢が消化を助けてくれるため、ミネラルなどの栄養素をしっかり体に吸収することができます。酢特有のツンとくる刺激が苦手であれば熱を加え、酢の味をしっかり楽しみたい場合は、料理が出来上がってからかけるといいでしょう」(中山さん)
酢酸は熱に強く酸化しにくいので、加熱料理にも安心して使える。