記者が10年以上悩んだ赤ら顔は「顔のメタボ」とも呼ばれる炎症性疾患だった!腸内環境も関係するという原因、症状と治療・対処法を皮膚科医が解説
「特に、SIBO(シーボ)(小腸内細菌異常増殖)という疾患(小腸に菌が繁殖するとお腹がパンパンに張って、便秘や下痢になる疾患)が注目されているのですが、酒さのある人の罹患率は、ない人に比べて約10倍も高く、SIBOを治療すると酒さが治るという報告もあります。食後30分~1時間くらいでお腹がパンパンに張って苦しくなったり、ガスが出るようなら、SIBOを疑った方がいいでしょう」
SIBOに対しては、小腸の悪玉菌を殺す抗生物質で治療可能だが、強い薬である上、殺菌しただけでは再発することも多いのが現実だという。
「体に負荷をかけすぎず、SIBOを治療するためには、食事の管理がベスト。ある種の糖が有害な菌を増やすことがわかっているので、これらを避ける食事をするのがおすすめです。注意すべき糖は、以下の4種類なので、小麦を避けることから始めるといいでしょう。私の感覚では、SIBO患者と、酒さ患者の65%は、小麦を制限することで症状が改善しています」
だが、小麦以外に原因があることも多いため、「食日記」をつけて症状が出る食品を探すことも必要だ。
「体にいいとされるごぼうやヨーグルト、きのこ類が原因の場合があります。加齢によって消化酵素が減り、その影響で原因物質が消化できなくなったことも考えられます。ただ、アレルギーではないので、原因となる食品も症状が落ち着けば、気をつけながらですが、食べることもできますよ」
酒さは“顔のメタボ”ともいわれるだけに、食生活を管理しながら根本から治す必要があるようだ。
SIBO(シーボ)を疑ったら気をつけたい糖と主な食品
腸によいとされる食品も、腸に病気がある人にとっては逆に負担となるので注意。原因特定のために、まず3週間ほど以下の食品を食べるのを控えて、お腹の調子をみてみよう。
【1】オリゴ糖(ガラクトオリゴ糖とフルクタン)
小麦、大麦、玉ねぎ、ごぼう、納豆、にんにく、ビールなど
【2】二糖類(乳糖またはラクトース)
牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなど
【3】単糖類(果糖またはフルクトース)
果物(すいか、メロン、なし)、はちみつなど
【4】ポリオール(多価アルコール、糖アルコール)
マッシュルーム、カリフラワー、甘味料(キシリトール、マルチトール、ソルビトール)など
酒さの診断~治療の流れ
【STEP1】受診:一般皮膚科を受診
素肌の状態を診てもらうため、メイクはせずにスッピン状態で受診するのが望ましい。だが、スキンケア&日焼け止めは塗布してOK。診察では、アレルギーの有無について伝え、炎症の原因に心当たりがある場合は、それも伝えるとよい。
【STEP2】病名
記者Yの症状では以下の4つの病気が考えられる。
<1>酒さ
<2>接触皮膚炎
<3>アレルギー性皮膚炎
<4>アトピー性皮膚炎など
下の3種(2〜4)の皮膚炎は、それぞれの病気に合った治療が行われる。
【STEP3】「酒さ」と診断された場合の対処法
・スキンケアなどでセルフケア
・食事の見直し
・保険適用治療
→炎症を抑える内服薬として抗生物質や漢方薬、炎症を抑える塗り薬などを処方。
・保険適用外治療(自由診療)
炎症を抑える塗り薬や、赤みを抑えるレーザー治療など。
【STEP4】「酒さ」の治療
<内服薬>
・抗生剤:ビブラマイシンなど、保険適用される抗生剤が数種ある。
・漢方薬:加味逍遙散(かみしょうようさん)、清上防風湯(せじょうぼうふうとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、温経湯(うんけいとう)、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)など。
<外用薬>
・ロゼックスゲル0.75%(メトロニダゾール):2022年5月から保険適用になった塗り薬。
・イベルメクチン:ニキビダニが生息している場合に使われる。
・アゼライン酸:殺菌・抗炎症・抗酸化作用がある。
<保険適用治療>
・フォトフェイシャル:IPLという光を皮膚に照射し、赤みなどの皮膚トラブルを改善する治療。治療時間は15~20分程度で、ダウンタイム(※1)はほぼない。目安は全顔で3万~5万円。
(※1)ダウンタイムとは、治療や手術の後、回復するまでにかかる時間や期間のこと。
取材・文/山下和恵 撮影/菅井淳子 イラスト/きくちりえ(Softdesign)
女性セブン2024年2月22日号
https://josei7.com/
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