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健康

認知症を引き起こす<アカン睡眠習慣>9選「発症リスクを高める睡眠時間、寝つけないときの対処法」など医師が解説

 同じことを何度も言う、忘れ物や探し物が多くなる、簡単な計算や仕事に時間がかかるといった症状があらわれる「認知症」。厚生労働省の推計によると、65才以上の高齢者の約5人に1人が認知症を発症するといわれている。超高齢社会の日本では誰もがなりうる認知症。そんな中、明らかになっていないことも多いが睡眠不足や睡眠障害が認知症の発症リスクを高めるという。認知症を引き起こす<アカン睡眠習慣>について専門家に話を聞いた。

教えてくれた人

中山明峰さん/睡眠専門医。医学博士。めいほう睡眠めまいクリニック院長。“Good Sleep, Good Life! 良い睡眠は良き人生に導く”を信念に、患者に寄り添った診断・治療を行う。著書に『60歳からの認知症にならない眠り方』(現代書林)など。

岩瀬利郎さん/精神科医。認知症サポート医。東京国際大学医療健康学部准教授、日本医療科学大学兼任教授。睡眠専門医、臨床心理士、公認心理師でもある。著書に『認知症になる48の悪い習慣 ぼけずに楽しく長生きする方法』(ワニブックス)など。

認知症のリスクが高まる睡眠時間とは?

「2021年にイギリスの科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』で報告された調査によると、睡眠時間が6時間以下だった人は7時間の睡眠をとる人に比べ、認知症のリスクが30%高かったそうです」

 とは、睡眠専門医の中山明峰さんだ。睡眠時間と認知症リスクの因果関係はまだ不明だが、判明していることもあるという。

「アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβは睡眠の質が悪いとたまりやすいことがわかっています。さらに充分な睡眠を確保すれば、脳内にたまったアミロイドβを減らせるという研究レポートもあります」(中山さん・以下同) 

 質のよい睡眠は認知症を予防するだけではない。昼間に活動するためのエネルギーもチャージしてくれる。

「しっかり睡眠がとれないと、日中の活動量が低下し、疲れやすくなって、活動意欲の低下にもつながります」

 そうならないためにも、最低7時間は睡眠時間を確保するよう努めよう。

認知症を引き起こす“アカン睡眠習慣”9選

【1】暖かいので重い布団が好き

寝返りしやすい軽いものを

 睡眠の質を高めるには寝具選びも重要。「ポイントは寝返りがしやすいかどうかです。かけ布団が重すぎると寝返りがしづらくなり、睡眠が阻害されます。羽毛など、軽くて体にフィットするタイプがおすすめ」(精神科医の岩瀬利郎さん)。

【2】寝る前に水を飲むのが習慣

寝る1時間前までに飲む

「寝る前にコップ2杯以上の水を飲むと、トイレなどで起きる確率が上がり、睡眠不足を招きます。睡眠時間を阻害する原因を減らすためにも、水分を摂るなら寝る1時間前までにコップ1杯だけとしましょう」(岩瀬さん)

【3】怖いので豆電球を点けたまま寝る

暗ければ暗いほど安眠に

「豆電球の光はまぶたを通して直接目に入るので消した方が安眠できます。暗闇が苦手なら、間接照明を床に置いて使用すると目を刺激しないのでおすすめ。寝室の温度は22~24℃、湿度は50~60%にしましょう」(中山さん)

【4】寝る前は必ずスマホをチェック

 眠くなるまではと、つい布団の中でスマホをチェックする人も多いだろう。しかし、入眠前の刺激は脳や体に悪影響を及ぼすという。「スマホやタブレットから発せられるブルーライトによって、脳が昼間だと錯覚し、睡眠に誘うホルモンのメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。さらに脳が覚醒して、たとえ眠ったとしても睡眠が浅い状態に。寝室にはスマホ類を持ち込まず、読書や音楽鑑賞をしてみてはどうでしょうか」(岩瀬さん)。

【5】夜、寝られなくなるので昼寝はしない

30分の昼寝で頭スッキリ

「昼間に30分ほど寝た方が、実は夜の睡眠の質は上がります。昼食後にお茶やコーヒーを飲んだら、椅子に座ったまま軽く目を閉じてみましょう。カフェインの覚醒作用で30分後ぐらいに、スッキリと起きられます。頭がクリアになって午後も活動的に動けます」(中山さん)

【6】風呂は朝シャワー派。湯船にはあまりつからない

風呂は入眠前に!

 湯船で温まって「入眠時は、体温を下げる必要があります。そのために鍵となるのが入浴。入浴前よりも深部体温が低下したときが就寝のタイミングとなるのですが、それは入浴後30分~1時間前後に訪れます。シャワーでは体が深部まで温まらないので、入浴は就寝前に湯船につかるのが理想的」(中山さん)

【7】予定がない日は一日中パジャマで過ごしている

パジャマには催眠効果がある

「“寝る前にパジャマに着替える”という行為には催眠効果があります。着替えることで睡眠へのスイッチが入るというわけです。

 ところが、一日中パジャマで過ごし、それが日常化すると催眠効果が薄れ、パジャマでいても睡眠スイッチが入らず、寝つきが悪くなってしまいます。

 結果、睡眠のリズムが崩れ、認知機能の低下をもたらします。起きたらとにかく着替える習慣を」(中山さん)。家着とパジャマの兼用も、着替える行為の省略になるのでやめた方がいい。

【8】どうせ閉めるのでカーテンやシャッターはずっと閉じたまま

起きたら太陽の光を浴びて

「睡眠を促すホルモンのメラトニンは暗くなると増え、明るくなると減るため、睡眠と覚醒のスイッチを切り替えるには明るさが大切。

 起床後は5~10分ほど太陽の光を浴びて。このとき、直射日光は避けつつ目から光を吸収するよう意識を。脳が覚醒し、夜も入眠しやすくなります」(中山さん)

【9】寝つけないときでも、がんばって寝る

起床時間を前倒しすると次は寝やすくなる

「どうしても眠れないときは、起床時間を30分ほど前倒ししてみてください。睡眠時間が減る分、翌日はしっかり寝られるようになります」(中山さん)

取材・文/鳥居優美 イラスト/サヲリブラウン

※女性セブン2024年2月8日号
https://josei7.com/

●長生きする”正しい昼寝”のコツを睡眠の専門医が解説「30分の昼寝で認知症の発症率7分の1に」

●女性も要注意「いびき」の原因と対策「睡眠時無呼吸症候群かも?」いびき解消枕の作り方をプロが解説

●日本人は「世界一睡眠が足りていない国民」だった!「明るすぎる照明」と「長風呂」が快眠を妨げる原因に

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