麻雀にパチンコ、“カジノ型”は、頑として動かなかった男性たちを引き寄せるエンタメ満載だった!【オバ記者は見た!新しいシニアライフ】
これまでにさまざまな体当たり企画にチャレンジしてきたバツイチ独身のオバ記者(61才)が、将来自分が送りたいシニアライフのことを考えて、あらゆる介護にまつわるモノ・コトに挑戦、体験記としてお届けしていくこの企画。シリーズ第3弾の今回は、カジノ型デイサービスを初体験! 関東・中部地区で20店舗展開する『デイサービス ラスベガス』の町田木曽店を訪れた。
ドアをオープンした途端に飛び込んでくるシャンデリア、パチンコのキラキラした光、そしてデイサービスとは思えないカジノ感満載の空間にオバ記者も大興奮。その様子をリポートします!
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自動ドアが開いたときから、“介護”も“デイサービス”も頭から吹っ飛ぶほどのラスベガス感。まさかここまでとは思わなかった。
パチンコ、マージャン、カラオケ、ゴルフ。日本全国、1万円札が飛び交っていたバブル期、“おやじギャル”と呼ばれた女たちが軽やかにおやじたちを転がしていた。残念ながら私は“ギャル”と呼ぶには年齢が行き過ぎていたけど、気がつくとひと世代、ふた世代上のおじさんたちのグチ聞き役。色恋抜きでマージャン、カラオケ、ゴルフ、飲み相手になって、楽しく過ごしたことは確か。そんな時期が7、8年続いたと思う。
そのうち私はマージャンの面白さに目覚め、連日連夜の雀荘通い。おじさんたちのグループと遊ぶことも少なくなり、30年の月日が流れた。年に数回、連絡を取り合う、おじさんグループの残党、Iさん(74才)は言う。
「男は仕事でも家族のことでも、自慢できることがあるうちはいいけど、それがなくなると誰とも会いたくなくなるんだよな」
さらに体のどこかが不自由な高齢者になると「ひきこもり」になって、デイサービスの男性利用者比率は20%ほどしかないという現実。これが社会問題になるのは当然だけど、どんよりした男に家にいられたら、家族はたまったものじゃない。
『デイサービス ラスベガス 町田木曽』ほか、全国で55拠点の介護施設を運営する日本シニアライフ株式会社の森 薫氏は、カジノ型デイサービスを始めた理由をこう語る。
「女性はいくつになっても、人の中に入っていくことに抵抗がない人が多い。だからどこのデイサービスも利用者の70~80%は女性。その中で男性はつまらなさそうな顔をしていました。では、男性が明日も行きたいと思える介護施設とはどんなところだろうと」
その答えが“ギャンブル”とは…。これ以上ない「正解!」に吹き出しそうになった。
昼食後、体操をしてから午後の部がスタート
館内に入ってすぐ、ずらりと並ぶのは最新のパチンコ台。中央のフロアにはマージャン台がところ狭しと設置されて、その向こうにはおしゃれなカフェコーナー。フロアの一角にはカードコーナーがあって、ディーラーがカードを配っている。スタッフの制服からも“介護”とか“医療”という雰囲気はまったく感じさせない。
「ところでカジノのご経験は? あっ、お好きですか。ではこちらにどうぞ」
さぁ~て、どのゲームから始めようかしらと心の中で、指をポキポキ鳴らしていた私にスタッフがすすめてくれたのが、なぜかイス。
「午後13時から、上半身5分、下半身5分の体操をします。アスレチックトレーナーが考案したオリジナルの“ベガストレッチ”で、これをしないとここの通貨の“1万ベガス”を渡せないんですよ」
万という単位が泣かせるではないの。どうやって増やそうかという意欲をかきたててくれるもの。
見よう見まね。トレーナーのかけ声と共に始まったストレッチをやってみる。たちまち筋肉がぷるぷるして、ジワッと汗が出る。高齢者と一緒にやることだからと正直、ナメてかかっていたけれどとんでもない。
「はあ~っ、これさえなければ天国なんだけどな~」
パチンコ台に背を向けて腕を伸ばしながら、作詞作曲家をしているという利用者のUさんがぼやくこと! そのぼやきも、どこか楽し気だ。
ギャンブルは楽しく脳の機能訓練をするためのもの。体の機能を高めるのはストレッチ。これを連動させることで「認知症の進行が止まった」という声が寄せられているという。
ストレッチが終わったら、それ行け! 心躍らせてマージャン台についた私を待ち受けていたのは…。
(つづく)
*ベガスは午前と午後で1人1万ベガスずつ渡される。お金を払う必要はありません。ゲームごとに稼いだベガスは、施設を利用している限り、貯金と同じようにどんどん貯めていける。パチンコのコインやカードゲームのチップに替えるベガスを貯めた分から引き出すこともできる。
【データ】
「デイサービス ラスベガス 町田木曽」
住所:東京都町田市木曽東4-10-25
電話:042-794-4212
URL:http://las-vegas.jp/
事業主体:日本シニアライフ株式会社
撮影/疋田千里
オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。『女性セブン』での体当たり取材が人気の自称“意識高い系”ライター。同誌で富士登山、AKB48なりきり、空中ブランコ、『キングオブコント』出場など、さまざまな企画にチャレンジ。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。全国各地の道の駅や温泉レポートも得意。ホテルの客室清掃バイトや銀座で手作りバッグ“出店”など、アラカンの現実を気の向くままに告白する体験記事も人気。
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